ビジネスでも恋愛でも、会話をスムーズに進めるためには、「いい質問」をすることが重要です。質問の仕方には大きく「オープンクエスチョン」と「クローズドクエスチョン」の2つがありますが、今回はそれぞれのメリット、デメリット、実際に質問する際のコツなどを紹介します。
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1.オープンクエスチョンとは
オープンクエスチョンとは、回答の範囲を制限しない質問です。アンケート調査の自由記述などが該当します。「はい」「いいえ」、「正/誤」、多肢選択、または数値や星評価で答える方法と異なる質問になります。
2.オープンクエスチョンの具体例
オープンクエスチョンには、以下のようなものが挙げられます。
- 休日は何をしますか?
- この写真をみてどう感じましたか?
- 現在お使いの製品について、どういった点に不満を感じておられますか?
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3.オープンクエスチョンのメリット
以下では、質問をオープンクエスチョンでする場合のメリットを紹介します。
メリット(1)--多くの情報が引き出せる
オープンクエスチョンの質問は、より詳細な情報を引き出すのに有効です。たとえば、会社が提供する特定のサービスの経験について、あらゆる側面から詳細な情報を収集したい場合、オープンクエスチョンが適しています。
また、インタビューの場合は、もっと聞きたい部分を掘り下げて、追加情報を得ることができます。
メリット(2)--想定外の回答を得られる
回答に制限がないため、これまで考えもしなかったような情報を得ることができる可能性があります。
メリット(3)--会話を繋げやすい
回答者の答えを質問者がさらに深堀りしたり、別の質問に繋げたりすることができます。
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4.オープンクエスチョンのデメリット
オープンクエスチョンにもデメリットがあります。以下のようなものとなります。
デメリット(1)--想定外の方向に会話が逸れる可能性
回答者の答え次第で、想定外の方向に会話が逸れてしまうことがあります。そのことで、会議やヒアリングの時間がかかってしまう可能性があります。
デメリット(2)--信頼関係によって回答の質が変わる可能性
インタビューを行う際など、相手との関係によっては、本音を語らなかったり、適当な答えしか返ってこなかったりすることがあります。
デメリット(3)--回答者から情報を上手く引き出せない可能性
尋ね方によっては、回答者が返答に困ってしまい、上手く情報を引き出せない可能性があります。また、顧客が何も意見を持っていなかった場合は、答えることが難しくなります。
どのような質問をすれば相手が答えやすいか、質問の仕方にも注意する必要があります。
また、具体例を挙げるなどして、答えやすくするなどの工夫が必要になるでしょう。回答者には回答の内容を考える時間もある程度必要になります。
デメリット(4)--データ分析と解釈の困難さ
データの分析や解釈が難しくなります。オープンクエスチョンで得られた情報は、数値として簡単に計算することができず、主観的な情報が含まれているため、データの解釈は人によって異なる場合があります。
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5.オープンクエスチョンが有効なケース
オープンクエスチョンは回答者の気持ちや考えを深堀りしていく場合に有効です。また、相手の自由な意見を引き出したいときや、想定していなかった新しい情報を得たいときに特に効果的です。そのため、顧客訪問後のヒアリングによく使われます。
また、社会学や心理学では、しばしば質的アプローチと言われるインタビュー調査が、参加者の主観的な経験や、彼らが抱えている困難などを明らかにする目的で行われます。
6.クローズドクエスチョンとは
クローズドクエスチョンとは「はい/いいえ」と答えてもらう質問、多肢選択式の質問、または「1~10のスケールでこの製品にどの程度満足していますか」など回答が限定的になる質問です。
6.1.クローズドクエスチョンの具体例
クローズドクエスチョンの具体例は以下のようなものになります。
- この商品は好きですか?
- 毎日健康な食事をとっていますか?
7.クローズドクエスチョンのメリット
以下では、質問をクローズドクエスチョンでする場合のメリットを紹介します。
メリット(1)--回答者が答えやすい
クローズドクエスチョンは、「はい」「いいえ」や「全く良くなかった-とても良かった」など、選択肢を選ぶことで回答できる質問になっています。そのため回答者が答えやすいというメリットがあります。
メリット(2)--回答を素早くもらえる
クローズドクエスチョンは、簡単に早く回答してもらうことができます。そのため、参加者の時間や労力を削減できます。また、多くの回答数を集めることができるというメリットがあります。
メリット(3)--相手の決断を促せる
「~を利用されますか?試してみますか?以上のご契約内容でよろしいでしょうか?」などの質問を行うことで、相手の決断を促すことができます。
8.クローズドクエスチョンのデメリット
クローズドクエスチョンにも、オープンクエスチョンと同様、デメリットがあります。
デメリット(1)--想定外の回答は得られない
既に選択肢が決められているため、新しい情報を得ることが難しくなります。
デメリット(2)--尋問されているような印象を与える可能性
「納期を守らなくて良いのか?」「相手の気持ちを考えているか?」という質問は、尋問調に聞こえるため注意が必要です。
デメリット(3)--会話を繋げにくい
クローズドクエスチョンは「はい/いいえ」で終わる形式であるため、それだけで会話が完結します。そのため回答を深堀りしたり、次の会話に繋げたりしにくくなります。
9.クローズドクエスチョンが有効なケース
成約に向けた商談の誘導など、相手の決断や行動を促進させるために使われることがあります。また業務完了の確認など、状況を素早く把握するために使用されます。
10.2つのクエスチョンを使いこなすポイント
オープンクエスチョンにもクローズドクエスチョンにも、それぞれメリット、デメリットがあることをご紹介しましたが、この2つをうまく使いこなすころで、会話がスムーズになります。
ポイント(1)--クローズドクエスチョンからオープンクエスチョンへ
初対面や会話の糸口を掴む際は、クローズドクエスチョン→オープンクエスチョンの流れが有効です。
例えば「映画鑑賞は好きですか?」というクローズドクエスチョンから初めて、「どんな映画が好きですか?」「なぜそのシーンが好きなのですか?」と会話を繋げることができます。
答えやすいクローズドクエスチョンで会話のきっかけを掴み、オープンクエスチョンを中心に相手の回答を深堀りすると良いでしょう。
ポイント(2)--相手の性格を考える
相手が話し上手ならオープンクエスチョン、話し下手ならクローズドクエスチョンなど、相手の性格に合わせて使い分けるのもよいでしょう。
ポイント(3)--5W1Hを意識して、質問の幅を広げる
「この商品は売れると思いますか?」というクローズドクエスチョンから「この商品は誰に(Who)売れると思いますか」「この商品はいつ(When)売れると思いますか」「どうしたら(How)この商品が売れると思いますか」というように5W1Hを意識したオープンクエスチョンに質問を拡大することで、新しい観点を獲得・提供することができます。
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11.クエスチョンを使う際の注意点
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを駆使することで、会話の主導権を握れたり、素早く情報を聞き出せたりする可能性がありますが、無闇に質問ばかりしてしまうと期待した効果が得られない可能性が高まります。
そこで、ここではクエスチョンを使う際の注意点を解説します。
注意点(1)--信頼関係の構築を優先する
上手い質問をしようと自分のことばかり考えて、相手への配慮が欠けてしまうと信頼関係が構築されず、相手の本音を聞き出すのが困難になってしまいます。
まずは、信頼関係を築くことに注力しましょう。
まず、クローズドクエスチョンや世間話などから会話をはじめてお互いの人となりを少しでも理解できると信頼関係が築きやすいでしょう。
その後にオープンクエスチョンを使うことで、より会話が広がり、聞き出したい情報やニーズ、困りごとなどの吐露などに繋がります。
大前提として、人間同士のやりとりであること、相手との信頼関係をないがしろにしないことを踏まえて、丁寧なやりとりを心がけましょう。
注意点(2)--誘導尋問・詰問調にならないようにする
先述の通り、クローズドクエスチョンは図らずも尋問されている印象を与えてしまう可能性があります。
そのため、「クローズドクエスチョンを3回する場合はオープンクエスチョンを挟む」などの基準を設けておくと良いでしょう。
また、ビジネスにおいては、上司から部下へのクローズドクエスチョンが連続してしまうと、教育のつもりでもパワハラと思われてしまう可能性もあるため注意が必要です。
質問する意図は、相手の考えや気持ちを伝えてもらうことで、こちらが期待する答えを相手に言わせるためではありません。
相手への配慮を忘れないようにしましょう。
12.まとめ
アンケートやコミュニケーションを行う際は、質問の形式を検討することが必要です。そうしないと、目的にそぐわない回答が多く返ってきたり、得たい情報が得られなかったりする可能性があります。
2種類の質問(オープン/クローズドクエスチョン)のメリット・デメリットを理解して、どちらを使うか決めたり、会話の流れに応じて使い分けたりすることが大切です。