寝不足の状態では、仕事のパフォーマンスに悪影響を及ぼすだけでなく、心身に大きな負担がかかります。
十分な睡眠をとって取り組むのが理想ですが、寝不足のまま作業を進めなければならない時もあるでしょう。
この記事では、寝不足の時に仕事を乗り切る方法や、寝不足が招くトラブルについて解説します。寝不足の原因をしっかりと把握したうえで、睡眠時間の確保または、睡眠の質を高める方法を実践してみましょう。
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1. 寝不足になる原因
多くの人が「寝不足=避けるべき」と分かっているのに、どうして寝不足になってしまうのでしょうか。ここでは、過去に厚生労働省が行った調査結果をもとに寝不足に陥る原因を3つ挙げて解説します。
寝不足の原因 | 割合 |
---|---|
遅くまで仕事をしている(仕事・勉強・通勤・通学などで睡眠時間がとれないから) | 31.2% |
眠りが浅い・睡眠時間が短い(なやみやストレスなどから) | 29.1% |
夜にスマートフォンやテレビを見ている(自分の趣味などで夜ふかししたから) | 22.2% |
原因を把握しておけば、上手くコントロールをすることができ、寝不足を回避できるかもしれません。
1.1. 遅くまで仕事をしている
仕事量が多すぎて、睡眠時間を削らなければならない人もいるのではないでしょうか。
厚生労働省が実施した調査によると、睡眠不足の原因は性別によって異なり、アンケート回答者のうち 40.2%の男性が「仕事・勉強・通勤・通学などで十分な睡眠時間がとれていない」と回答していることが分かりました。
一方、女性は「なやみやストレスなどから」と回答する人がもっとも多く30.4%、年齢別で見ると、25〜34歳は「育児のため」と回答した人が30.5%を占めていました。
なお、女性においても「仕事・勉強・通勤・通学などで十分な睡眠時間がとれていない」と回答している人は、23.7%と多くの割合を占めています。
残業が多く、寝不足の状態が長期的に続くと、思考力や活力が低下し、作業効率が下がるだけでなく、心身に不調をきたす可能性があるので注意が必要です。
【関連記事】「仕事量が多いのはなぜ?原因や多くなる人の特徴、調整方法について紹介」
1.2. 眠りが浅い・睡眠時間が短い
悩みやストレスを抱えていて、「眠りが浅い」「寝つきにくい」という方もいるのではないでしょうか。
厚生労働省の「睡眠不足の理由」によると、「悩みやストレスなどから」睡眠不足に陥っていると回答した人は、29.1%と「仕事・勉強・通勤・通学などで睡眠時間がとれないから」に次いで多い結果となりました。
また、「トイレ(尿)が近いから」という理由で睡眠時間が短い人の割合も多く、男性11.3%、女性11.0%となっています。
1.3. 夜にスマートフォンやテレビを見ている
「スマホやテレビが見たいから睡眠時間を削った」という経験がある人も多いのではないでしょうか。
厚生労働省の調査結果によると、「自分の趣味などで夜ふかししたから」と回答した人が22.2%と多くの割合を占めていました。
また、寝る前にスマホやテレビをみることで脳が錯覚を起こし、睡眠のリズムが崩れやすくなります。それにより、寝つきが悪くなり、結果夜更かしをしてしまうことになります。寝る前のスマホやテレビは極力控えることが大事です。
【関連記事】「【社会人の睡眠時間】短くなりがちな睡眠時間の中で睡眠の質を高める方法」
2. 寝不足でも仕事を乗り切る方法
どのような仕事にも責任が伴うので、十分な睡眠をとって取り組むことが理想です。しかし時には寝不足のまま作業を進めなければならないこともあるでしょう。
ここでは、寝不足の状態で仕事を乗り切る方法を7つご紹介します。
2.1. 紅茶やコーヒーを飲む
紅茶やコーヒーに含まれるカフェインは、覚醒作用があるため摂取することで一時的に眠気を覚ましてくれます。また、集中力を高める効果も期待できるため、作業効率が向上するメリットもあります。
コンビニエンスストアや自動販売機で手軽に購入できるので、眠気が覚めないときに頼ってみるのも良いでしょう。
しかし、カフェインは摂りすぎると、体に害を及ぼす可能性があるので、下記の量を目安にしてみてください。
飲み物・食べ物の種類 | カフェインの量(100ml) |
---|---|
コーヒー(ドリップ式) | 60mg |
缶コーヒー・コーヒー飲料 | 10未満~90mg |
紅茶 | 30mg |
なお、健康な成人において適切なカフェイン摂取量は、1日400mgまでとされています。コーヒーであれば、1日2〜3杯が適量だと言えるでしょう。
2.2. 仮眠をとる
眠気が強くて仕事にならない時には、15分〜30分ほど仮眠すると良いかもしれません。わずかな睡眠時間でも、体に溜まった疲労を回復し、脳をリフレッシュできます。
厚生労働省が公表している「健康づくりのための睡眠指針 2014」では、昼間に仮眠をすると「その後の覚醒レベルを上げ作業能率の改善を図ることに役立つ」と記述されています。
しかし、仮眠時間が長くなると、目覚めが悪くなりやすいため、30分以内の仮眠が望ましいようです。
【出典】厚生労働省 「健康づくりのための睡眠指針 2014」
【出典】厚生労働省「良い睡眠で、からだもこころも健康に。」
2.3. 外の空気を吸う
仕事中に強い眠気に襲われた時には、外の空気を吸うと脳がスッキリとする可能性があります。
二酸化炭素の濃度が高くなると、疲労感や注意力が低下し、眠気を誘発する可能性があります。締め切った部屋で仕事をしていると、二酸化炭素の濃度が高まりやすいので、定期的に換気をしたり外気浴をしたりして外の空気を吸ってリフレッシュしましょう。
2.4. ストレッチをする
ストレッチを行うと、気分転換になり、眠気を覚ますことができます。
デスクワークの人は、パソコン作業で首や肩、腰、手首などが疲れやすいので、気持ちの良い程度に伸ばしましょう。
肩と首まわりのストレッチ方法をご紹介します。
- 椅子に座ったまま天井を見上げるように顔を上にあげる
- 床を見るように首を下に曲げる
- 左右にも交互に倒す
各15秒×2セット行い、固くなりやすい筋肉をほぐしましょう。ストレッチ中は、息を止めずに自然な呼吸を繰り返すことを意識してみてください。
2.5. マッサージやツボ押しをする
眠気を自分でコントロールするのは難しいので、マッサージやツボ押しで居眠り防止をしましょう。簡単なマッサージやツボ押しは、オフィスや電車の中でも手軽に行えることが魅力です。
眠気覚ましとして効果的な「中衝(ちゅうしょう)」のツボ押し方法をご紹介します。
中指の爪の生え際より2〜3mmほど下を深呼吸しながら1回10秒×2〜3セット繰り返しましょう。反対の手の親指と人差し指で中衝を強めにつまむようにします。
眠気覚ましに加え、イライラを落ち着かせる効果も期待されるので、ストレスが溜まっているときにもお試しください。
2.6. タスクの優先順位を見直す
強い眠気を感じる時は、頭を使う作業や複雑な業務は避けて簡単なものから取り掛かりましょう。
まずはタスクの優先順位を見直して、眠気に襲われながらもこなせそうな作業をピックアップします。
今後の業務の流れを把握し、タスクの順番に問題がないか確認したうえで、寝不足な日の仕事を乗り切りましょう。
2.7. 誰かと会話をする
人と会話をすることで、脳が活性化され、一時的に眠気を感じにくくなります。
職場の人と会話ができる環境であれば、相手の状況を見て、話を振ってみると良いかもしれません。
また、リモートワークの方は、眠気を感じやすい時間帯に打ち合わせや会議の予定を入れると目が冴える可能性があります。
【関連記事】「じめじめした季節は睡眠にも悪影響! 湿度指数と睡眠の質の関係」
3. 寝不足によって起こるトラブル
寝不足の状態で仕事を続けると、下記のようなトラブルが起こる可能性があります。
● 集中力が続かなくなる
● ミスが増える
● 感情のコントロールが上手くできなくなる
● モチベーションが低下する
● 体調を崩す可能性がある
● 太りやすくなる
3.1. 集中力が続かなくなる
睡眠による休養感が得られない状態では、日中の注意力や集中力が低下しやすくなるでしょう。業務に集中しにくくなるため、作業効率が下がってしまう可能性があります。
仕事の効率が低下すると「仕事が終わらないから、翌日の業務量が増える」という悪循環に陥るケースもあるでしょう。
仕事で最大限のパフォーマンスを発揮するためにも、十分な休養が必要です。
3.2. ミスが増える
寝不足の状態は、集中力や意欲が低下しやすいため、ミスが増える可能性があります。
また、前日は寝不足のまま仕事を乗り切るつもりでも普段通りの時間に起床できず、寝坊して職場の人や取引先に迷惑をかけてしまうかもしれません。
仕事のミスが増えると自分の評価が低くなる可能性もあるので、十分な睡眠をとるまたは、眠気覚ましの方法を試して乗り切りましょう。
3.3. 感情のコントロールが上手くできなくなる
睡眠不足な状態が長期的に続くと、感情のコントロールが上手くできなくなります。
例えば、普段は気にならないようなことでもイライラしてしまったり、些細なことでストレスを感じたりします。
「健康づくりのための睡眠指針 2014」によると、睡眠不足は、心の健康を保つうえで重要な認知機能の低下が生じると示されています。
さらに、睡眠不足は感情調節や遂行能力をつかさどる「前頭前野」や「大脳辺縁系」の代謝活性を低下させ、ストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」の分泌量を増加させることが分かりました。
寝不足な状態では、ストレスが蓄積しやすく、感情のコントロールが難しくなるので、業務や人間関係に支障をきたす可能性があります。
3.4. モチベーションが低下する
睡眠不足の状態では、意欲が低下しやすくなります。疲労感や意欲の減退などの症状を伴うので、業務に支障をきたす可能性が高いでしょう。
また、寝不足の状態が何日も続いてしまうと、回復のスピードが遅くなるので、「十分に寝ても疲れがとれない」という悪循環に陥ります。
仕事に対するモチベーションが低下してしまうと、「何のために働いているのか分からない」「仕事をする意味を見出せない」といったネガティブな思考になるので注意が必要です。
【関連記事】「仕事に意味を見出すには?必要性やメリット、見出す方法を紹介」
3.5. 体調を崩す可能性がある
「健康づくりのための睡眠指針 2014」では、睡眠不足の状態が続くと、頭痛やその他のからだの痛み、消化器系の不調などが表れると示されています。
また、免疫力が低下しやすくなるので、体調を崩してしまう人も多いでしょう。さらに、同資料では寝不足や不眠が生活習慣病の危険を高めることも分かっています。
早期的に睡眠問題と向き合い、適切に対処することができれば、生活習慣病の予防につながる可能性があります。
3.6. 太りやすくなる
睡眠不足によって肥満やメタボリックシンドロームの危険を高めてしまうこともあります。
睡眠時間が短くなると、私たちの脂肪細胞から分泌される「レプチン(食欲抑制ホルモン)」の分泌が低下します。
レプチンは、満腹中枢を刺激し、「食欲の抑制」と「消費エネルギー増進」の作用があるため、分泌が低下すると太りやすくなってしまうのです。
寝不足な状態が長期的に続く人は、体に脂肪が蓄積しやすくなるので、睡眠時間の確保はもちろんのこと、食生活の見直しや、定期的な運動を行うようにしましょう。
【関連記事】「若手社会人の27%が"ほぼ毎日"「始業時に疲労感や眠気」--「CHILL OUT」調査」
4. 寝不足にならないためにできること
寝不足の状態は、体への負担が大きく、業務にも支障をきたすため、何とかして回避しなければなりません。下記の5つを試すことで寝不足を防げる可能性があるので、実践してみてはいかがでしょうか。
● 睡眠の質を高める
● 寝る前に軽く体を動かす
● 夕食やお風呂の時間を見直してみる
● ベットや枕を変えてみる
● 仕事量を見直す
4.1. 睡眠の質を高める
わずかな時間でも心身ともに休養させるために、睡眠の質にこだわりましょう。
睡眠の質を高めるには以下のような方法があります。
● 寝る前にスマホやPCの操作を控える
● 浴槽に浸かる
● ストレッチをして血行を促す
● 身体にあった寝具を使う
● アロマオイルを使用してリラックスをする
睡眠不足の解消は、睡眠時間を増やすだけでなく、快眠できるような工夫が大切です。
4.2. 寝る前に軽く体を動かす
軽く体を動かすことで、適度な疲労感を得て快眠につながります。
寝つきが良くなったり、途中で目が覚めることが減ったりするため、睡眠の質が高まるでしょう。
また、厚生労働省のデータによると、運動習慣がある人は、運動をしていない人に比べて70%以上も睡眠の質がよいことが分かっています。
軽いウォーキングやストレッチ、ジョギングなどでも良いので、取り組みやすいものにチャレンジしてみましょう。
4.3. 夕食やお風呂の時間を見直してみる
夕食やお風呂の時間を見直すことで、眠りにつきやすくなる可能性があります。
具体的には、寝る直前の食事は控えたり、夕方以降はカフェインを飲まないようにしたりして工夫をしましょう。
睡眠直前の2時間以内に食事を摂ると、睡眠の質が低下する可能性があるといわれています。仕事や家庭の都合上、難しい場合もありますが、なるべく就寝時間から逆算して食事をとるようにしましょう。
また、カフェインには覚醒作用や利尿作用があり、眠り妨げる原因になるため、夕方以降はカフェインを含むコーヒーや紅茶、ココア、栄養ドリンクなどを控えることが大切です。
4.4. ベットや枕を変えてみる
ベッドや枕などの寝具を変えることで睡眠の質が高まる可能性があります。
また、寝室の環境を整えることも重要ですので、下記の3つを見直してみましょう。
● 光:夜は光の量を減らして、朝は光を取り入れる
● 温度:季節に合わせた温度調整をする
● 音:静かな環境を作る。リラックスできる音楽を流す
なお、眠たくなってから寝床につくことも大切です。
4.5. 仕事量を見直す
大量の仕事を1人でこなしている場合は、仕事量や内容、流れを見直す機会を作りましょう。
仕事量が多くなる原因として、「仕事の見通しが立てられない」「新しい案件を振られる」「人手不足」などが挙げられます。
ゴールを逆算してスケジュールを立てたり、チームで仕事を分担をしたりして負担を軽減させることが大切です。
また、効率的に仕事をこなす方法を試しても改善が見られないなら、上司への相談や転職を検討するのもよいでしょう。
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5. まとめ
仕事や生活上の都合で夜間に十分な睡眠時間を確保できない人もいるでしょう。睡眠の質を高めたり、仕事量を見直したりして十分に休養できるように工夫をすることが大切です。
心身ともにリフレッシュするためには、「軽く体を動かす」「夕食やお風呂の時間を見直す」「ベットや枕を変える」と良いかもしれません。
寝不足でお悩みの方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
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