【デフォルトとは】多くの分野で使われる「デフォルト」をそれぞれ徹底解説

【デフォルトとは】多くの分野で使われる「デフォルト」をそれぞれ徹底解説

ビジネスシーンに限らずさまざまな分野で使われる用語「デフォルト」。ただ異なった意味で使用されることが多いため混乱する方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は分野ごとの「デフォルト」の意味を徹底解説します。

(※もしかしたら仕事頑張りすぎ!? ... そんな方におすすめ『仕事どうする!? 診断』)

【関連記事】「【ビジネス用語一覧】よく使う用語集100選|意味を例文付きで紹介」

1.デフォルトとは

デフォルト(default)という言葉には、使われる分野によりさまざまな意味があります。

コンピューターなどのデジタルデバイスの世界では、初期設定標準設定の意味になります。

また、経済の世界では債務不履行の意味になります。

デフォルトの元々の意味は、怠慢、不履行などです。

コンピューターの初期設定では「各用途別の設定は行われていない」という意味であり、経済の債務不履行では「本来返済すべき債務を返済しない」という意味になります。

post1042_img1.jpg

【関連記事】「【パラメーターとは】意味や各分野での使われ方をわかりやすく解説」

2.各分野で使われるデフォルト

2.1.デジタル分野で使われるデフォルト設定

コンピューターやデジタルデバイスで使われるデフォルト設定は「初期設定」の意味です。

例えば、スマートフォンの文字入力では、フリック入力やキーボードによるかな入力、さらには英語、中国語、スペイン語などの入力もできます。

しかし、どの文字入力法を使うのかは人によって異なります。

そこで、日本においては、メーカーは多くの人が使うであろうキーボードによるかな入力をデフォルト設定とし、かな入力が使える状態で出荷をすることがあります。

標準設定と呼ばれることもあります。

その後、ユーザーは自分の用途に合わせて、自由に設定を変更してもらいます。

2.2.経済分野で使われるデフォルト

経済分野で使われるデフォルトとは、債務不履行のことです。

期日までに約束した返済や利払いをしないことを指します。

債権者は、債務不履行が生じると、貸しているお金や投資しているお金を一括で返済してもらうことを要求できる場合があります。

しかし、一括返済というのは現実には難しい事が多く、多くの場合、デフォルトを起こした企業は破綻をして整理することになります。

そのため、経営が厳しくなった企業は、いかにして破綻を回避するか、デフォルトを起こさないように資金繰りをするかということに追われるようになります。

なお、債務不履行は国や自治体も起こすことがありますから、その場合も「〇〇国がデフォルトを起こす危険がある」などと報道などで使用されることもあります。

2.3.スポーツの世界で使われるデフォルト

スポーツの世界では棄権をすることをデフォルトと呼びます。

試合に出場できるのにしないからです。ケガなどの致し方ない理由による欠場ではなく、「出場できる権利をあえて放棄した」棄権に対して使われます。

試合に出場することは選手の権利でもあるけど義務であるという考え方から、棄権のことをデフォルトと呼びます。

2.4.プログラム開発で使われる「デフォルト値」

コンピュータープログラムでは、入力すべき入力値がない場合、処理によってはエラーが起きてしまうことがあります。

そのため、入力値がない場合にあらかじめ決められた規定値を代わりに使うことがあります。

例えば、会員登録をする時には、氏名や住所、性別、年齢などを入力する必要がありますが、すべてのユーザーがすべての項目を入力してくれるとは限りません。

しかし、未入力の項目があるとプログラムは誤作動をしてしまうことがあります。

そこで、年齢の入力がない場合は「-1」というデフォルト値を自動的に使うようにします。

これでプログラムの意図しない誤作動は避けられますし、集計をするときも「-1は未入力」と処理をすることができるようになります。

また、地図アプリなどでは、開いた時に現在地が中心になるようにすると使い勝手が高くなります。

しかし、地図アプリがスマートフォンの位置情報を利用するには、プライバシーに配慮する観点から、ユーザーに許可を求める必要があります。

そこで、多くの地図アプリでは、東京駅などのデフォルト値を使い、最初は東京駅を中心に表示します。

その後、位置情報の使用許可が得られると、現在地が中心に表示されるようになります。

この他、着信音なども自分で変更しなければデフォルト設定されている着信音が使われます。

post1042_img2.jpg

【関連記事】「【バレルとは】バレルという単位の意味と由来、原油価格や石油備蓄も解説」

2.5.PC・スマートフォンなどで使われる「デフォルトとして設定」

スマートフォンなどでChromeなどのブラウザを初めて起動すると「デフォルトとして設定しますか?」と尋ねられることがあります。これはそのスマホで「既定のブラウザにしますか?」という意味です。

メモやテキストに記載されているURLをタップすると、ブラウザが起動し、そのURLのページが表示されます。この時、どのブラウザを使うことにするのかが「デフォルトで設定する」の意味です。

Chromeをデフォルトに設定すると、URLをタップした時はChromeが開くようになります。

同様のことは地図アプリ、メールアプリ、カレンダーなどでもデフォルト設定をして、標準アプリを自分の好きなものに変えることができます。

変更できるアプリは機種によって異なるため、設定の「デフォルトのアプリ」などの項目をご参照ください。

2.6.日常会話で使われるデフォルト

デフォルトという言葉は、コンピューターの「デフォルト設定」から派生して、日常用語にもなっています。

「デフォ」と略されることもあります。本来の意味を離れて、「基本の」「普通の」「定番の」と言った意味になります。

「休日に遊びに行くならテーマパークがデフォでしょ」のように使われます。

2.7.マーケティングで使われる「デフォルト効果」

人間はいったんデフォルト設定を受け入れてしまうと、それが自分に不都合な部分があっても、コストを支払って変更する作業を避けようとする傾向があることが知られています。

マーケティングでは、このデフォルト効果を活用する場合があります。

例えば、オンライン会員などの入会時にメールマガジンを購読するかどうかを尋ねる項目があります。

この時、「購読する」にあらかじめチェックを入れておき、必要のない人には「購読しない」にチェックを付け替えてもらうようにします。

このようにすると、多くの人が「購読する」のままにするため、メールマガジンの購読率があがります。

このように、提供側が期待をする選択肢をあらかじめデフォルト設定にしておくという手法はさまざまなマーケティングで使われています。

これがデフォルト効果と呼ばれます。

post1042_img3.jpg

【関連記事】「【マージンとは】出版・小売・卸など業界・シーンごとの使われ方を解説」

3.デフォルトの語源

デフォルトの語源は、失敗(フォールト、fault)に意味を強める接頭語「de」がついたものです。

つまり、もともとは「大きな失敗」の意味でした。そこから「やるべきことをしない」という意味になっていきました。

経済分野でのデフォルトはまさにこの原義そのままの使い方です。

また、スポーツなどでの棄権では、選手はその大会に出場する権利があるとともに義務もあるという考えから、その義務を履行しない棄権をデフォルトと呼びます。

コンピューターの初期設定がデフォルト設定と呼ばれるのも「やるべきことをしない」という意味からきています。

元々、コンピューターは個人で買うものではなく、購入するのは研究機関や教育機関、保険会社などでした。

このような製品の納入では、顧客の要望に応じて各種設定をして納品するというのが普通のことでした。

しかし、コンピューターを個人も買うようになると、用途はさまざまであり、コンピューターメーカーがすべての顧客向けに設定をするということは現実問題としてできません。

そこで、ごく一般的と思われる設定をしておき、その代わり、設定を簡単に変えられる手段を用意するようになりました。

これも、本来メーカーがしなければならない設定をしていないと考え、デフォルトの設定というわけです。

【関連記事】「【ターゲティングとは】ターゲティングの手順やメリットなどについて解説」

4.まとめ

デフォルト(default)という言葉には、使われる分野によりさまざまな意味があります。コンピューターなどのデジタルデバイスの世界では、初期設定、標準設定の意味になります。また、経済の世界では債務不履行の意味になります。

この他、さまざまな分野、文脈でデフォルトという言葉は使われますが、原義は「やるべきことをしない」という意味です。

【関連記事】「【レジュメとは】場面ごとに異なる使われ方、アジェンダなどとの違いを解説」

原稿:牧野武文(まきの・たけふみ)
テクノロジーと生活の関係を考えるITジャーナリスト。著書に「Macの知恵の実」「ゼロからわかるインドの数学」「Googleの正体」「論語なう」「街角スローガンから見た中国人民の常識」「レトロハッカーズ」「横井軍平伝」など。

この記事をシェアしよう!