学生時代に「レジュメ」という言葉を初めて知ったという方もいらっしゃるかと思いますが、では「レジュメとは?」と聞かれるとうまく説明できない、という方も少なくないのではないでしょうか。
今回は、「レジュメ」という言葉が理解しづらい理由や、「レジュメ」が使われる具体的な場面、アジェンダやサマリーとの違い、質の高いレジュメの作成方法などについて解説します。
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1.レジュメとは
レジュメとは、要約、要旨という意味のフランス語由来の言葉です。講演会やセミナーなどで、発表内容をまとめたものがレジュメです。聴衆がレジュメを見ながら講演を聴くことで理解をしやすくなります。
最近では、パワーポイントなどのスライド資料一覧をレジュメとして配布をすることも多くなりました。
2.「レジュメ」という言葉が理解しづらい理由
しかしながら、「レジュメってどんなもの?どのようにつくればいいの?」という方は多いのではないでしょうか。
言葉は知っていても、具体的にどのようなものか、今ひとつピンとこないところがあります。「レジュメ」が理解しづらい理由はいくつかあります。
2.1.日本語に「まとめ」「要旨」という言葉がある
「レジュメなどという使い慣れない言葉を使うのではなく、日本語でまとめや要旨と言えばいいではないか」と誰もが思います。
しかし、レジュメという言葉を使う人の頭の中のイメージは、まとめや要旨でも間違いではないけど、少し違うために、わざわざ「レジュメ」という言葉を使うのです。どのように違うのかは、分野、文脈、人によって微妙に違います。
そのため、レジュメという言葉がビジネスの現場で使われた場合は、相手がどのようなイメージを持っているかを確認し、共通イメージを形成しておく必要があります。
2.2.分野によってレジュメの形式、目的は大きく違う
レジュメという言葉は分野によって、まったく違ったものを指すことがあります。いずれも「まとめ」「要旨」ですが、まとめる時の着眼点や使用目的が大きく異なっているのです。
このため、異なる分野の人が「レジュメ」という言葉を使うと、誤解や混乱が起きることがあります。
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3.さまざまな分野で使われる「レジュメ」
レジュメはビジネスだけでなく、研究や教育、転職などでも使われます。それぞれに使用目的が異なり、形式も大きく違っています。
3.1.研究、教育分野
研究、教育分野では、講義のレジュメ、書籍や論文の内容を報告するレジュメ、研究内容を報告するためのレジュメなどがあり、それぞれで用いられ方や形式が大きく違っています。
3.1.1.講義レジュメ
講義のレジュメは、講師が学生に対して、その日の授業内容のポイントを箇条書きなどにして配布するものです。学生はレジュメを見ながら講義を聞くことで、講義の全体構成が見通せるようになり、理解がしやすくなります。現在では、パワーポイントで作成したスライドの一覧などをレジュメの代わりに配布することも多くなっています。
3.1.2.論文レジュメ
書籍や論文の内容を報告するレジュメは、文献研究の基礎資料とし、他人とも共有をするため、かなり厳格にフォーマットが決まっています。書籍、論文の章、節などの見出しをそのまま使い、内容を要約していきます。文献の内容を報告することが主眼なので、個人の意見や洞察などは入れません。
3.1.3.研究レジュメ
研究内容を報告するためのレジュメは、講義のレジュメと同じように、箇条書きなどを用いて簡潔に研究内容を報告するものですが、講義レジュメと異なるのは、その研究をするに至った問題設定、課題設定を冒頭に持ってくることです。
3.2.就職、転職分野
就職や転職をするときにも、「あなたのレジュメを提出してください」と言われることがあります。一般的には履歴書、職務経歴書に近いものですが、「レジュメ」と言われた時は、「あなたのまとめ」の意味が強くなっています。
単に学歴や職務経歴を箇条書きにするのではなく、あなた自身が業務に対して、どのような貢献をしたかを付け加える必要があります。企業側は、事実の列挙よりも、就職希望者、転職希望者が企業に対してどのような貢献をしてくれるのかを知りたがっています。
そのため、決まったフォーマットがあるわけではなく、自分をより伝えることができるフォーマットを考案することから、すでに自分のアピールとなっています。
なお、英語圏でレジュメ(resume)と行った時は、この履歴書、職務経歴書のレジュメを指すのが一般的です。
3.3.ビジネス分野
ビジネス分野では、会議のレジュメが最も多く使われます。会議の日時、場所なども記載されますが、最も中心になるのは議題の論点整理です。
どのような課題があって会議をしなければならないのかを簡潔にまとめ、どのような意見があるかを整理して記載します。
議題に必要な参考資料なども要約をして追加し、会議の参加者がこのレジュメをもとに議論をします。
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4.レジュメに似ている言葉との違い
レジュメには、似た言葉がたくさんあり、その違いを明確にしておかないと混乱をすることがあります。
4.1.日本語の「まとめ」「要約」
日本語の「まとめ」「要約」は、意味としてはレジュメに近い言葉ですが、レジュメという言葉が使われる時は、多くの場合、その形式など具体的なイメージまで意識をされて使われるのに対して、「まとめ」「要約」は概念にすぎません。
ですから、「会議の要約をつくってください」という指示をした場合、期待した形式とは異なる書類ができあがってくる可能性があります。
4.2.アジェンダ
アジェンダは「議題」「行動指針」などの意味です。場合によっては、「会議のアジェンダ」、「会議のレジュメ」の両方を作成することもあり得ます。いずれも会議の前に作成をし、参加者に配布する事前資料になります。
会議のアジェンダは、議題と会議の式次第や決定事項の効力などを記載したもので、会議の流れがどのように進むのかを理解してもらうためのものです。役員会などの重要会議では、個々の項目の予定時間なども記載されます。会議は、このアジェンダに従って進めていきます。
一方、会議のレジュメは、議論される議題について、簡潔に内容を示したものです。必要ならば統計資料なども添付をします。論点整理をして、参加者が建設的な議論ができるようにするためのものです。
4.3.サマリー
サマリーも「要約」「要旨」という意味ですが、ビジネスの現場では報告に使われることが多くなっています。会議のサマリーであれば、会議が終わった後に、どのような意見が出され、議論されたかを簡潔にまとめて報告をすることに使われます。議事録を簡潔にして読みやすくしたものです。
会議の参加者に配布されるのはもちろん、決定事項に関係のある社員にも配布されます。
4.4.アブストラクト
アブストラクトは「概要」「要旨」といった意味です。研究論文や報告書などの冒頭で、全体がどのような構成になっているのかを要約した文章です。どのような論文、報告書であるのかを短時間で理解し、それを頭に入れながら本文を読むことで、理解を助ける目的のものです。
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5.質の高いレジュメを作成するには
レジュメという言葉の理解が難しいのは、分野によって異なるものをレジュメと呼んでいることにつきます。さまざまな背景の人が集まった企業や団体などでは「レジュメ」という同じ言葉を使いながら、それぞれに意識をしている具体的なイメージが異なっていることがしばしばあります。
このことを無視して、自分のイメージでレジュメを作成すると、上司から「これはレジュメとは呼べない」と指導されることになりかねません。
5.1.ひな型を提供してもらう
もし、上司から「会議のレジュメを作成してくれ」と指示を受けたら、まずは、ひな型を提供してもらうことをお願いしましょう。レジュメの具体的なフォーマットは、分野によって異なりますし、同じ企業の中でも部署によって異なることすらあります。
また、レジュメの用途によっても異なります。
そのため、自分で勝手なイメージで作成するのではなく、ひな型を提供してもらいます。あるいはその指示を出した上司が、質が高いと認めている過去のレジュメを提供してもらいます。あとは、そのフォーマットに従って、書類を作成していけば、上司が求めているレジュメが作成できます。
5.2.ネットからひな型をダウンロードする
ひな型が社内に存在しないという場合は、作成依頼をした上司に素直にどのような項目を入れるべきか、指示を仰ぎます。その指示をもとにインターネットの検索機能を活用してひな型を探します。
「レジュメ ひな型」「レジュメ 書式」「レジュメ テンプレート」などで検索をすれば、無料で使用ができるさまざまなひな型が見つかります。その中から、上司の指示に合いそうなひな型を探して、アレンジをしてレジュメを作成します。
作成したら、上司に点検をしてもらい、改善点の指示を仰ぎます。レジュメが完成したら、それを個人的なひな型として保存しておけば、次回からは効率的にレジュメが作成できるようになります。
また、部署などでそのひな型を共有することを提案し、共通のひな形を使うことで、部署全体の業務工率を上げることに貢献ができます。
(【画像出典】「Windows×Macで使えるビジネス文章」。さまざまなビジネス文書のひな型をWord、Excel書類の形で配布しています)
(【画像出典】「経費削減実行委員会」。経費削減に役立つビジネス文書のひな型を配布しています)
6.まとめ
レジュメとは、要約、要旨という意味です。講演会やセミナーなどで、発表内容をまとめたものがレジュメです。
ただし、さまざまな分野で異なる目的のために使われるため、分野、目的、部署などによって具体的なフォーマットは異なっています。
レジュメという言葉を使う時は、相手側と同じイメージが共有できているかどうかを確認する必要があります。