面接では、自社の社風や業務内容に適しており、活躍できる人材であるかを判断するために、「あなたの強みは何ですか?」と問われることがあります。
ここでは、好印象を与えられる強みの伝え方を例文つきでご紹介します。
併せて、自分の強みを見つけるためのコツや強みの種類について解説しているので「自分の強みが見つからない」という方はぜひ参考にしてみてください。
1. 「強み」と「長所」の違い
「強み」とは、仕事で成果を出すための力のことです。一方で、長所とは本人が元々持っている優れた人柄や性格のことを意味します。
強みは、会社や組織、周囲の人に提供できるメリットのことを指します。面接時に「強み」を聞かれたときには、利益に直結することを選択し、回答しましょう。
具体的には、「私は、継続力に長けているため、取り組みに失敗をしても方法を見直して改善し、結果が出るまで継続することができます。」など、企業にとって必要な人材だと思われるような内容がおすすめです。
【関連記事】「自信が持てない若手社会人が自分の強みを見つけて活用する方法は?--日立ソリューションズ・伊藤直子氏に聞く」
2. 面接で「強み」を聞かれる理由
面接で「強み」を聞かれる理由を把握し、質問意図と異なる回答をしてしまわないように注意が必要です。基本的に採用担当者は、「あなたの強みは何ですか?」という質問を通じて、下記の3つを判断します。
● 自社の社風や仕事内容に合う人間性なのか
● 客観的に自分を分析できているのか
● 入社後に活躍できる人材なのか
応募者本人の口から入社後に活かせる経験やスキルを聞き、自社で長期的に活躍してくれる人材であるかを判断しているのです。
また、長所の見つけ方やアピール方法に関しては、以下の記事をチェックしてみてください。
【関連記事】「【長所一覧・例文付き】自分の長所を見つける方法やアピール方法をご紹介」
【関連記事】「【短所一覧・例文付き】面接で短所を伝える際の注意点や長所への転換方法」
3. 強みにはどんなものがある?
面接や書類選考における自己PRで評価されやすい「強み」についてご紹介します。
「自分の強みが分からない」「強みを言語化できない」という方は、ぜひ参考にしてください。
3.1. 相手の立場に立って話を聞くことができる
相手の立場に立って話を聞くことができるのは、立派な強みだと言えるでしょう。相手の気持ちを汲み取りながら、物事を考えられるので、良好な人間関係を保てたり、仕事を円滑に進めることができたりと企業にとっても大きなメリットがあります。
また、話を聞くだけではなく共感し、相手の真意に気づけることも高く評価されるポイントの一つです。
3.2. 責任感が強い
責任感は、面接の自己PRの題材として適しています。「物事を最後までやり遂げられる」「失敗しても諦めずに解決策を考えられる」という能力は、企業にとって貴重な人材になり得るからです。
しかし、責任感は人によって捉え方が異なるため、面接時には下記の3点を含めて伝えるようにしましょう。
● 具体的にどのような責任感なのか
● どのような場面で発揮されるのか
● どのように貢献できるのか
仕事を途中で投げ出すことなく、目標設定をしたうえでコツコツと業務を遂行できるイメージが湧けば好印象を与えられます。
3.3. 忍耐力がある
企業によっては、「困難な状況下でも投げ出さずに努力できる人材」を求めています。そのため、忍耐力の強さは高く評価されます。
業務量が多く、タスクが複雑化している場合も、ポジティブに変換し、気持ちを立て直せるような忍耐強い人は、どの会社でも重宝されるでしょう。
忍耐力があることをアピールする際には、ただひたすら耐えたというエピソードではなく「達成できたこと」や「成果につながったこと」も併せて伝えることが大切です。
3.4. 協調性がある
周囲と円滑なコミュニケーションを図りながら、業務を遂行できる「協調性」も企業から評価される強みの1つです。
企業は、協調性のある人材に対し、チームワークに貢献して成果を出してくれる、あるいは取引先と良い関係性を築いてくれるといった期待を抱くでしょう。
特に、チームワークを活かして成果を出す仕事や、幅広い年齢層の人とコミュニケーションを取る仕事では協調性のアピールは有利に働きます。
協調性については下記で詳しく解説しています。
協調性の意味とは?協調性がある人の特徴や面接でアピールするコツを紹介
3.5. 適応していく能力が高い
適応力は、好印象を残せるアピールの一つです。具体的には、予想外なことが起きても臨機応変に対応できたり、新しい場所でも力を発揮できたりといったことが挙げられます。
適応力が高い人は、社交性があり、物事に対して柔軟に対応できるので、伝え方を間違えなければ企業に良いイメージを与えられるでしょう。
【関連記事】「若手ビジネスパーソンが準備しておくべき「スキルセット」とは」
4. 面接の自己PRで強みをアピールするための例文を紹介
面接の自己PRで評価されやすい「強み」を、下記の5つに分けて例文と共にご紹介します。
● 「傾聴力」の場合
● 「責任感」の場合
● 「忍耐力」の場合
● 「協調性」の場合
● 「適応能力」の場合
4.1. 「傾聴力」の場合
「相手の真意を読み取る力がある」「相手の本心を引き出す力がある」という人は、傾聴力を自己PRの「強み」としてアピールしましょう。
私は、傾聴力があり、相手の表情から心情を汲み取り、円滑なコミュニケーションを図れることが強みです。
相手の意見や感情に真剣に向き合い、話を聞くだけではなく、共感したり、理解したりすることでより深いコミュニケーションを築くことができると考えています。
現在、保育士として働いており、園児の表情や言動、行動をしっかりと観察し、園児一人ひとりに合った声かけやサポートを工夫しています。
はじめは心を閉ざしていた園児もいましたが、徐々に心を開いてくれて、今では「先生大好き」と言ってくれるようになりました。
御社の保育施設でも園児に寄り添って丁寧にコミュニケーションをとることを心掛けていきたいです。
上記のように保育のほか、看護や介護、営業、接客など「傾聴力のある人材」を求めている業界は多くあります。
ただ単に聞くのが上手なだけではなく、真意を引き出したり、相手の言動一つで違和感に気づけたりといった能力が伝えられると高く評価されるでしょう。
4.2. 「責任感」の場合
責任感の強さは、会社で活躍するために必要なスキルの一つです。面接時に責任感を強みとしてアピールする応募者も多いため、ありきたりな表現は避けて、差別化することが大切です。
具体的には、下記のように困難を乗り越えたエピソードを盛り込むと、採用担当者にあなたの魅力をしっかりと伝えることができます。
私の強みは、責任感があることです。私は、IT管理に携わっております。新しいシステムを導入する際には、多くの部署と連携を取り、サポートに務めて参りました。
導入後に問題が発生しないように、部署ごとに聞き取りを行い、意見を反映できるように工夫しました。さまざまな意見をまとめるのは困難でしたが、途中で投げ出さずに継続した結果、新システム導入後の環境を整備でき、責任を果たせたと感じています。
4.3. 「忍耐力」の場合
困難や逆境などの状況に耐えて、目標に向かって努力できる能力「忍耐力」は、多くの企業で求められています。
忍耐力を強みとして伝えるなら、忍耐強く業務を遂行したエピソードを交えることがポイントです。
私は、困難な状況でも、忍耐強く対応することを心掛けています。システムトラブルが発生し、1ヵ月分のデータが消えてしまいましたが、1週間で約2,000ページに及ぶデータをコツコツと入力し直し、月末処理に間に合わせることができました。
気の遠くなる作業でしたが、1日にどれくらい入力すれば良いのか逆算して計画を立てて根気よく作業をすれば乗り越えられることを実感できました。
御社の仕事においても、この粘り強さを活かして取り組んでまいりたいと考えております。
「ただ耐えただけ」「努力をしただけ」ではなく、努力した結果、どのような成果を挙げられたのかまで伝えられるようにしましょう。
上記の例文でいうと、努力した結果、月末処理に間に合わせることができています。大きな成果でなくても良いので、「逆境を打破するために、どのような計画を立てたのか」「どのような過程で困難を乗り越えられたのか」というポイントを意識してみましょう。
4.4. 「協調性」の場合
協調性は、役割や立場、考え方が異なる人とも意思疎通を図り、円滑に業務を遂行できる能力です。
私の強みは、良好なチームワークを築けることです。前職では、新人教育を任されました。新人は何も分からない状況であることを理解したうえで、一つ一つ丁寧に教えて、分からないことがあればすぐに聞ける関係性の構築にも努めました。
その結果、気兼ねなく話せる良好なチームワークを築くことができ、協力しながら業務を遂行でき生産性の向上にもつながりました。
御社に入社した際には、協調性を活かして貢献していきたいと考えています。
ただ「周囲と仲良く仕事ができる」だけでは不十分ですので、具体的にどのように貢献できたのかを過去の経験と共に伝えるようにしましょう。
4.5. 「適応能力」の場合
適応能力は、どのような状況でも冷静かつ柔軟に対応できる能力のことです。環境に適した行動や考え方に切り替えられるため、仕事の環境やチーム、方針などが変動しやすい企業では適応能力のある人材は重宝されるでしょう。
適応能力を自分の強みとしてアピールする場合の例文をご紹介します。
私の強みは、環境に適した対応が取れることです。
私は、カフェで接客の仕事をしていました。マニュアルどおりの接客に加え、年配の方にはドアの開け閉めを代わりに行ったり、小さなお子さまが来店された際には、シールをサービスしたりと相手に合わせた対応を意識しました。
その結果、「あなたが居るからここに来ている」と言ってくれる方も多く、リピート客も増えました。御社でも環境に適した最善策を見つけて、貢献したいと考えています。
上記は、「相手に応じて対応を変えたことでリピーターが増えた」という成功体験を交えた自己PRとなっています。
【関連記事】「【集団(グループ)面接のマナーと対策】自己PRや質問・回答例についても紹介」
5. 自分の強みを見つけるためのコツ
「自分の強みが分からない」「上手く言語化できない」という方も多いのではないでしょうか。ここでは、自分の強みを見つけるためのコツを5つに分けてご紹介します。
また、面接での長所・強みを効果的にアピールする際の回答のポイントも併せて確認しておきましょう。
5.1. 自己分析を行う
自己分析を行うことで、自分の「長所・短所」「得意・不得意」「価値観」などを客観的に把握し、「強み」を見出すことができます。
自己分析の結果は、転職・就職活動をするうえでの判断基準になるので、方向性を間違えることがなくなるでしょう。
自己分析をすることで、向いている仕事が分かったり、さまざまな質問にも応用できるようになったりします。自分の「強み」をより正確に把握し、採用担当者に伝えるために自己分析を行いましょう。
5.2. 友人や知人からの他己分析を行う
他己分析とは、他者から見た自分の印象や性格、長所・短所を知ることです。自己分析とは違った視点で客観的に自分を分析することが可能で、より深く理解できるようになります。
「他者に気配りができる」「笑顔を絶やさない」など自分にとって、無意識のうちにしていたことでも他人にとって魅力に感じている場合があります。
思いも寄らない「強み」が見つかるかもしれないので、信頼のおける相手に他己分析をお願いしてみてはいかがでしょうか。
5.3. 自分の弱みも一緒に見つける
自分の長所や強みよりも、短所や弱みを見つける方が得意という方は、その思考を利用して強みを見出しましょう。
「内向的な性格」を弱みだと感じている場合、「落ち着きがあり、常に冷静な判断を下せる」というように強みとして言い換えることができます。
短所・弱み | 言い換え |
---|---|
心配性 | ・問題点に気づきやすい ・計画性がある |
優柔不断 | ・慎重に判断できる ・情報収集能力が高い |
頑固 | ・意見がブレない ・堂々と自分の意見を伝えられる |
緊張しやすい | ・責任感がある ・慎重に取り組むことができる |
人見知り | ・他人を尊重できる ・周囲に配慮できる |
短所だと感じているものでも、ポジティブに転換すれば、長所や強みになる可能性があるので、弱みにも目を向けてみましょう。
5.4. 自己分析診断ツールを利用する
「自分の強みは何となく分かったけど、上手く言語化できない」という方は、自己分析診断ツールを活用しましょう。
いくつかの質問に答えるだけで、自分の性格や価値観、適性のある仕事について深く知ることができます。
なかには、理想的な流れで自己PRを作成してくれるツールもあるので、文章の作成が苦手な人にもおすすめです。
5.5. キャリアアドバイザーに相談する
キャリアアドバイザーとは、求職者が転職成功できるようにさまざまなサポートを行うプロフェッショナルのことです。
求人情報の紹介や、書類添削、模擬面接などに加え、自己分析のサポートも実施しているので、強みを見出せない人はぜひ相談してみましょう。
多くの求職者を転職成功へと導いた実績のある専門家に、プロの視点からアドバイスを受けられるので、自分では認識していなかった強みが見つかる可能性もあります。
転職エージェントに無料登録をするだけで、キャリアアドバイザーに相談できるので積極的に活用しましょう。
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6. 自分の強みを伝えるためのポイント
自分の強みを伝える際には、下記の3つのポイントを意識しましょう。
● 結論から説明する
● 経験談を交えて伝える
● 入社後に強みをどう活かしていくかを伝える
6.1. 結論から説明する
自己PRでは、「私の強みは○○です」というように結論を先に述べます。聞き手にとって、結論の見えない話は、意図が分からず内容が入りにくくなるからです。
具体例を挙げると、「私の強みは、人一倍責任感があることです」「私は、傾聴力に長けており、相手の気持ちを汲み取りながらコミュニケーションを図れることが強みです」などとアピールしたいことを第一に伝えてみましょう。
はじめに結論を伝えると、面接官が「いまから○○(強み)に関するアピールを聞く」と事前に認識できるため、要点を押さえながら説明を聞くことができます。
6.2. 経験談を交えて伝える
スキルを裏付けるエピソードを交えて伝えると、説得力が高まります。
例えば、「私の強みは、コミュニケーション能力が高いことです。」と伝えたところで、具体的なエピソードがなければ、採用担当者に「本当なのか」「どうしてそう思ったのか」と懸念されます。
結論を伝えた後で採用担当者に納得してもらえるように、根拠となる経験談を具体的に説明しましょう。
6.3. 入社後に強みをどう活かしていくかを伝える
はじめに結論として「強み」をシンプルに伝え、根拠となるエピソードを説明します。最後に入社後に強みをどのように活かしていくのか伝えることで、採用担当者は、応募者が自社で活躍する姿がイメージしやすくなるでしょう。
自分の強みをアピールするのではなく、応募先企業との相性や活躍のイメージを伝えることが高評価を得るポイントです。
採用担当者は、「自社で活かすことができる能力」を持っているのかを知りたいので、ピンポイントで伝えると良い結果につながるでしょう。
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7. まとめ
面接では、「強み」について聞かれることがよくあります。
面接官が強みについて質問する背景には、自社に適した人材であるか、また入社後に長期的に活躍できるのかを判断したいという意図があります。
質問の意図を読み取り、企業への適性や、入社後に活躍できる将来性をアピールすることで、好印象を与えられるでしょう。
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