協調性のある人は、ほかのメンバーと協力し、チーム全体の目標達成に向けて努力することができます。チーム全体の生産性や効率性が向上し、成果を生みやすいため、多くの企業でも「協調性に長けている人材」が求められています。
とはいえ、「協調性って何?」「面接でどんな風にアピールしたらいいの?」と悩む人も多いのではないでしょうか。この記事では、面接の自己PRで協調性をアピールするコツを解説しています。
併せて、協調性のある人・ない人の特徴、協調性を身に付ける方法もまとめました。自分の協調性がある性格を面接時のアピールポイントにしたいという方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
1. 「協調性」とは
協調性とは、自分と異なる意見や価値観を持つ人たちと、最適な関係性を保ちながら協力できる能力のことを指します。
他人と関わるうえで、「意見や考え、価値観が合わない」と感じることは誰にでもあるでしょう。
そのような場面において、協調性のある人は、相手と円滑なコミュニケーションを図りながら、双方の意見を出し合い、現状を改善へと導くことができます。
協調性が高い人が1人でもいれば、仕事がスムーズに進んだり、職場の雰囲気がよくなったりするので、企業などの組織にとって貴重な人材と言えるでしょう。
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2. 協調性が企業に重視される理由
企業は採用活動を行う際に、求職者の協調性の有無をチェックしています。
一般社団法人日本経済団体連合会が公表している 「新卒採用に関するアンケート調査結果」では、47.0%と約半数の企業が選考時に「求職者の協調性を重視している」と回答しています。
多くの企業が協調性のある人材を求めている理由は、周りの人と協力しながら、目標達成に向けて行動できるからです。
円滑なコミュニケーションを図り、効率よく業務を遂行できるため、生産性の向上にもつながります。
協調性のある人が1人でも多くいる職場は、風通しがよく、良好な人間関係を築ける傾向にあります。従業員同士が尊重し合い、高いモチベーションを維持できるので、選考の際には協調性の有無が重視されるのです。
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3. 協調性のある人の特徴
協調性のある人は、以下のような特徴を持っています。
● 良好な人間関係を築くのが得意
● 先読みして行動・フォローができる
● 相手の意見を素直に受け止められる周りと協力して進めることができる
● 説明するのが上手・言語化が得意な
3.1. 良好な人間関係を築くのが得意
協調性のある人は、他者への配慮ができ、明るくポジティブなため、周囲から好かれやすい傾向にあります。
相手の立場や感情を察しながら、意見を受け入れてくれるので、どこへ行っても良好な人間関係を築けることも特徴です。
コミュニケーション能力が長けており、年齢や性別、国籍など関係なく幅広い人脈を築くことができます。
3.2. 先読みして行動・フォローができる
協調性が高い人は、洞察力や観察力に優れているため、常に状況を把握できています。相手の表情の変化や空気間の違和感にも敏感ですので、物事を先読みした行動やフォローができることも特徴です。
また、周囲の人が困らないように、「いま、自分にできること」を探して努力を積み重ねているので、ほかの人よりも先に行動に移すこともできます。
3.3. 相手の意見を素直に受け止められる
協調性のある人は、自分の意見を主張し過ぎることがなく、相手の意見を素直に聞き入れられます。相手の言動を頭ごなしに否定しないため、他者から信頼を得やすいことも特徴です。
不当な意見に直面した場合でも、すぐに否定をするのではなく、相手の立場や感情を汲み取りながら理解しようと努めます。そのうえで、話し合いをして双方に納得できる最適解を見出すことができるのです。
3.4. 周りと協力して進めることができる
協調性のある人は、周りの意見を取り入れながら、目標達成に向けた行動を起こせます。個人での成果よりも、チームワークを優先して物事を進められる点が特徴です。
観察力や洞察力に優れているので、全体の状況や一人ひとりの様子を観察しながら、適切に対応できます。
困っていないように見える人や、フォローが不要だと誤認識されている人にもさりげなく声かけができるため、チームワークの向上に貢献できるのです。
3.5. 説明するのが上手・言語化が得意
協調性のある人は、相手の気持ちを汲み取りながら、分かりやすく説明することが上手です。伝え方を一歩間違えれば、トラブルに発展するようなことでも、状況を冷静に判断しながら正しく言語化して解決へと導きます。
また、相手の話をじっくり聞いて共感し、迅速に解決策を提案できるので、クレーム対応もスムーズにこなせる人が多いです。
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4. 協調性のない人の特徴
協調性のない人の共通点として、下記のような特徴が挙げられます。
● チームプレー・集団行動が苦手
● 他人の意見を素直に受け入れることが難しい
● 融通が利かない
4.1. チームプレー・集団行動が苦手
協調性のない人は、自らのこだわりを優先したいため、他人と共に行動するのが苦手な傾向にあります。
チームや集団のなかでは、暗黙のルールがあり、自分の意見がとおりにくくなるので、苦手意識を持つ方もいます。
また協調性のない人は、「自分ひとりで行動した方が成果を発揮しやすい」と考えているケースもあります。他人軸ではなく、自分軸で生きている場合、周囲の目はあまり気になりません。
4.2. 他人の意見を素直に受け入れることが難しい
協調性のない人の共通点として、プライドが高く、他人の意見を受け入れられないことも挙げられます。
共感力が低いため、相手の意見に対し、「それは間違っている」「その計画では失敗する」などと否定的な言葉を投げかけることも多い傾向にあります。
4.3. 融通が利かない
協調性のない人は、固定概念に縛られている傾向にあるため、融通が利きにくいことが特徴です。柔軟に他人の意見を取り入れることができず、自分の意見を押し通すことも傾向として挙げられます。
また、相手に否定されたり、宥められたりすることが苦手としている人もいます。その場合、人間関係でトラブルを招く可能性もあります。
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5. 協調性を身につける方法
「協調性を身に付けたい」「もっと協調性を高めたい」という方は、下記の3つの方法を実践してみましょう。
● 周りの人のいいところを探してみる
● 誰かの手助けをしてみる
● 相手の立場に立って物事を考えてみる
5.1. 周りの人のいいところを探してみる
協調性を培うためには、周りの人のいいところに目を向けることからはじめましょう。協調性のない人の特徴として、他人に対する興味が薄いといったことも挙げられます。また、会話をしたり、一緒に行動したりすることを面倒に感じる場合もあります。
協調性を高めるためには、自分以外のことにも興味を持って、意識的に相手のよい面を探すようにしましょう。
5.2. 誰かの手助けをしてみる
協調性のない人は、誰かの手助けをすることに苦手意識を持っている場合もあります。自分を軸として動いているため、手助けすることで自分のペースが乱されるのではないかと考える方もいます。
しかし、困っている人に手を差し伸べることで、相手から感謝されたり、それがきっかけで人間関係が良好になる可能性もあります。ポジティブな感情が高まることで、幸福感も得られます。積極的に人の役に立てるように考え、行動に移すことが大切です。
こうした経験を積み重ねると、人に親切にすることの心地よさを実感し、少しずつ協調性を身につけられるでしょう。
5.3. 相手の立場に立って物事を考えてみる
協調性のない人は、相手の立場に立って物事を考えることが苦手です。「自分ならこうするのに、どうしてできないのかな」というように自分中心で物事を考える傾向にあるため、他人の言動や行動を理解できないと感じます。
協調性を高めるためには、相手の状況をイメージする癖をつけることが大切です。例えば、いまどのような状況なのか、なぜその状況になったのかなど細かく想像したうえで、対話をしてみましょう。
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6. 面接・自己PRで協調性をアピールするコツや例文
ここからは、面接や書類の自己PRで採用担当者に協調性をアピールするためのコツをご紹介します。
6.1. 協調性を具体的な言葉にする
「私は協調性があります。」だけでは、抽象的で面接官に長所が伝わりづらく、説得力に欠けるため、具体的な言葉に変換してみましょう。
例えば、協調性は「場をまとめる力」「周囲を巻き込む力」「親しみやすい」などに言い換えることができます。
言葉だけで、面接官があなたの長所を鮮明にイメージできるように伝えることがポイントです。
6.2. エピソードを交える
具体的なエピソードを交えることで、採用担当者に「協調性のある人」だと納得してもらえます。自身の協調性を発揮してどのような成果につながったのかまで伝えられるようにしましょう。
例えば、「状況を把握しながら会話しやすい雰囲気を作った結果、メンバー同士の連携が強化され、チーム全体の目標を早期的に達成できた」など協調性の裏付けとなる内容を添えることが大切です。
6.3. 企業が求めている協調性を理解しておく
企業が求める「協調性」とは、立場や考え方が異なる人とも協力し、最適な結論を導き出す能力のことです。
具体的には、現状のフローにおける課題に対し、効率的かつ効果的な方法を見つけたり、それをシェアして組織全体をより良い方向へ向かわせたりできる人材を求めています。
協調性のある人材の理想像は、「集団行動ができる」「気遣いができる」だけではなく、企業に利益をもたらすということが重要になるのです。
自己PRで協調性をアピールする際には、企業や組織に利益を生むのかに重きを置くと良いでしょう。
6.4. 協調性をアピールする例文
協調性をアピールする例文をご紹介します。
私は、協調性があり、良好な人間関係を築けることが自身の強みだと感じております。
前職では、業務を効率的に遂行するために、常にチームのメンバーが求めていることや、どのように仕事を進める人なのかを考えて行動しました。メンバー一人ひとりに合ったサポートを行った結果、私と同じチームになれば仕事がスムーズに進むと喜んでもらえました。
貴社でも、協調性を活かして積極的にコミュニケーションを図りながら成果につなげていきたいと考えています。
上記は、面接の自己PRでも活用できるので、協調性をアピールしたい方は参考にしてみてください。
ただし、協調性をアピールポイントにする人は比較的多いので、内容がほかの求職者と被らないように自身の実体験を盛り込み、差別化しましょう。
「協調性をアピールする例文をもっと見てみたい」という方は、【例文つき】自己PRで協調性をアピールするには?効果的な伝え方をチェックしましょう。
7. まとめ
今回は、協調性のある人・ない人の特徴や、協調性を身に付ける方法、面接時にアピールする際のコツをご紹介しました。
協調性とは、自分とは異なる立場や価値観、考え方を持つ人たちとも、協力しながら最適解へと導ける能力のことを指します。
多くの企業が「協調性を活かして利益を生み出してくれる人材」を求めているので、面接時のアピールポイントにしてみてはいかがでしょうか。