近年、競争上の優位性を確立するDX(デジタルトランスフォーメーション)の実現が企業に求められています。今回は、帝国データバンクが実施した「DX推進に関する企業の意識調査(2022年9月)」から、企業のDX推進状況と兼業・副業人材の外部からの受け入れ状況について見ていきます。
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調査は2022年9月15日~30日、全国2万6,494社を対象に行われ、1万1,621社から有効回答を得ました。
1.DXに取り組んでいる企業は15.5%
DXについて、どの程度理解し取り組んでいるか聞いたところ、「言葉の意味を理解し、取り組んでいる」企業は15.5%でした。これに「意味を理解し取り組みたいと思っている」(24.2%)を合わせると、4割近い39.7%の企業がDXへの取り組みに前向きであることがわかりました。
(【画像出典】帝国データバンクプレスリリース)
「言葉の意味を理解し、取り組んでいる」企業を規模別にみると、「大企業」が26.6%と最も多く、特に1,000人超の企業では半数近い47.8%に及びました。
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2.人材やスキル、ノウハウ不足などが課題
DXに取り組むうえでの課題については、1位「対応できる人材がいない」(47.4%)、2位「必要なスキルやノウハウがない」(43.6%)と、スキル・ノウハウ不足を挙げる企業は4割以上に上りました。
また、3位「対応する時間が確保できない」(33.3%)、4位「対応する費用が確保できない」(27.5%)と、時間・金銭面における制約を課題とする企業も多いことが判明しました。
(【画像出典】帝国データバンクプレスリリース)
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3.リスキリングに取り組んでいる企業は48.1%
リスキリングについて、何らかの取り組みを1つ以上実施している企業は48.1%。取り組み内容トップ3は、1位「新しいデジタルツールの学習」(48.4%)、2位「経営層による新しいスキルの学習、把握」(38.6%)、3位「従業員のデジタルスキルの把握、可視化」(32.3%)でした。
(【画像出典】帝国データバンクプレスリリース)
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4.兼業・副業人材の外部からの受け入れに前向きな企業は21.9%
デジタルスキルなどを有する兼業・副業人材の外部からの受け入れについて調べると、「現在、外部から兼業・副業人材を受け入れている」は3.3%、「現在、外部から兼業・副業人材を募集している」は1.2%で、兼業・副業人材の受け入れ、募集を実施している企業は4.5%でした。
さらに兼業・副業人材の受け入れ、募集を実施している企業に、「現在受け入れていないが、今後、受け入れを検討している」企業(17.4%)を合わせると21.9%となり、約5社に1社の企業が兼業・副業人材の活用へ前向きであることが明らかになりました。
(【画像出典】帝国データバンクプレスリリース)
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5.まとめ
帝国データバンクは今回の調査結果を受けて、
「リスキリング、兼業・副業人材の活用の推進に向けては、具体的な好事例を社会全体で共有する仕組みが必要であろう。
また、企業の人手不足割合も高水準で推移するなか、現在の自社において人手が不足していると認識している企業ほど、兼業・副業人材の活用に前向きな傾向がみられた。
人手不足解消に向けた施策としても、リスキリングや兼業・副業人材の活用に向けた取り組みは今後重要となろう」
と指摘しています。
(【記事出典】帝国データバンク「DX推進に関する企業の意識調査」プレスリリース)
(記事執筆:御木本千春)