客先での営業や社内の企画会議、チーム間のミーティングまで、プレゼンテーションを行う機会は多く、ビジネスの場に身を置く以上は避けて通れないものといっても過言ではありません。しかし、大勢の前で発言しなければならないことから苦手意識を持つ方も多いと思います。
そこで今回は、聞き手を惹きつけ納得感を与えられるプレゼンテーションのコツを紹介します。
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1.プレゼンテーションの構成要素
プレゼンテーションとは、相手に商品や企画、サービスに関する情報を分かりやすく伝え、その後のアクションを後押しするものです。そのための手段として、情報を声から耳に伝えるスピーキングと目から伝えるプレゼンテーション資料の2つの要素が用いられるのが一般的です。
プレゼンテーションにおけるメインはスピーキングであり、資料は補助的な役割ではありますが、だからといってスピーキングのみを重視し、資料のクオリティを疎かにして良い訳ではありません。必要な情報を分かりやすく伝えるスピーキングスキルと共に、その内容をビジュアル面から補強する資料の作成力も重要なスキルとなります。
プレゼンテーションでは、この2つの要素をバランス良く発揮することが重要です。
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2.プレゼンテーションのコツ【話し方編】
まず、プレゼンテーションにおける話し方のコツを見ていきましょう。プレゼンテーションでは、いかに聞き手をこちらに惹きつけるかが重要です。
(1)簡潔な自己紹介で場に一体感を作る
社内のチーム以外にプレゼンテーションをする場合は、最初に簡単な自己紹介を盛り込むのがコツです。聞き手を惹きつけその先のアクションを促すためには、プレゼンテーションの中身だけでなく、「この人の商品やサービスなら取り入れたい」と思わせる人柄も重要です。親しみを感じてもらえるようなラフな内容を自己紹介に盛り込むことで、聞き手が自らとの共通点を感じたり興味を抱いたりしてくれる可能性が高まります。
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(2)一番伝えたい事を明確にする
最も伝えたい事が明確化されていないと、聞き手は話がどこに向かっているのか理解しにくくなり、全体的に不明瞭な印象のまま終わってしまいます。そして、プレゼンテーション後の聞き手の具体的なアクションを促すことが難しくなります。
そうさせないためには、プレゼンテーション序盤で「このプレゼンテーションで最も伝えたい事=持ち帰ってほしいもの」を明確に伝えるのがコツです。
(3)分かりやすく・ゆっくり・はっきりと話す
プレゼンテーションでは、分かりやすく・ゆっくり・はっきりと話すのがコツです。プレゼンテーションの場では、緊張も影響し、どうしても早口になりがちです。自分では「遅いのではないか」と感じる程度のスピード感でも問題ありません。相手に正確な情報を伝えるためにも、ゆっくり、そしてはっきりと話すことを心がけましょう。
(4)相手に考えさせる時間を与える
プレゼンテーションでは、話し手が絶え間なく話し続けなければいけないと思っている人もいるかもしれません。しかし、普通の会話であればできる限り避けたい「間」をうまく利用するのがプレゼンテーションにおけるコツです。問いかけや重要なメッセージを投げかけた後にあえて間を作れば、その内容を聞き手が自発的に思考するのを後押しし、より惹きつけることが期待できます。静と動の使い分けを意識しましょう。
(5)双方向のコミュニケーションを意識する
聞き手をプレゼンテーションに惹きつけ一体感を作り上げるためには、「双方向のコミュニケーション」が大切です。プレゼンテーションというと「話し手が一方的に発表するもの」と捉えがちですが、聞き手に語りかける意識を持ちましょう。気持ちを乗せて話しているうちに、頷きや表情など何らかのリアクションを示しながらあなたの話を聞いてくれるはずです。
3.プレゼンテーションのコツ【質疑応答編】
プレゼンテーションの終盤では質疑応答の時間を設けます。質疑応答はその場で臨機応変に回答しなければならないため、慣れていない人にとっては苦手意識を持ちやすい時間です。しかし、以下4つのコツを覚えておけば、相手に納得感を与えやすい質疑応答ができます。
(1)想定される質問を事前に考えておく
質問事項をある程度想定し事前に回答内容を考えておくことが、プレゼンテーション当日に慌てずに済むコツです。想定される質問を考えることは、聞き手の視点で自らのプレゼンテーションを振り返ることにもなり、内容のブラッシュアップにも役立ちます。自分で考えるのが難しい場合には同僚に協力してもらうのもいいでしょう。
(2)結論ファーストで答える
質問を受けたら、まず結論を端的に伝えるのが質問者の満足度を上げるコツです。よくある「起承転結」に沿って話すと話が長くなり、何が結論なのか分かりづらくなってしまいます。経緯などの説明が必要な場合は、結論を答えたあとに補足として伝えるようにしましょう。
(3)質問のポイントを自分でまとめる
質問者の話が長かったり、質問の意図が分かりにくかったりと感じるケースもあるかと思います。その際には、質問者に対して「〇〇に関してということでよろしいでしょうか?」と質問内容のポイントをまとめて確認するようにしましょう。質問者の求める回答を的確に行うためのコツであり、他の聞き手に対する配慮にもなります。
(4)「次回」をうまく使う
質疑応答の場で詳細に答えるのが難しい場合、「次回」というキーワードをうまく使いましょう。「分かりません」「答えられません」で終わらせてしまっては、相手の要望を満たせないだけでなく、あなたが無責任な人間であると評価されてしまう可能性もあります。「この場でお答えが難しいため、分かりやすくまとめたうえで次回お伝えします」などと答えられれば問題ありません。
4.プレゼンテーションのコツ【緊張対策編】
複数人の前に立ち発言するプレゼンテーションは、誰でも多かれ少なかれ緊張するものです。緊張をゼロにすることは難しくても、最小限に抑え乗り越える術を知っておけば安心材料となります。以下3つのコツをぜひ実践してみましょう。
(1)念入りな準備を行う
プレゼンテーション前の念入りな準備は、プレゼンテーションを成功に導く基本的なコツです。「自分はあがり症ではないし大丈夫」と思っていても、その場の独特な雰囲気に影響され思いのほか緊張してしまうこともあります。入念な準備を重ねプレゼンテーションの内容や自分自身の振る舞いに自信が持てれば、堂々と本番に臨めて緊張も和らぐでしょう。
(2)暗記した通りに話そうとしない
入念な準備は大切ですが、話す内容を暗記することにこだわりすぎる必要はありません。暗記内容に依存して話そうとすると、記憶が飛んでしまったときにパニックの原因となり、緊張を増長させることになります。ところどころで見返す程度のトーク原稿を用意しておくのがプレゼンテーション成功のコツです。
(3)絶対に言うべき事はメモしておく
プレゼンテーションの場では、緊張のあまり頭が真っ白になり思考が止まってしまうことも考えられます。そのような事態に備え、あらかじめ「絶対に言うべき事」をメモに書き、手元に置いておくことが、緊張によるトラブルを乗り越えるコツです。話を再び軌道に乗せるためのトリガーとなるような単語、文章をメモしておくようにしましょう。
5.プレゼンテーションの注意点
続いて、プレゼンテーションの注意点を3つ紹介します。プレゼンテーションの成功をより近づけるための参考にしてください。
注意点(1)難しい言葉を乱用する
「専門用語など難しい言葉を使ったほうがスマートに見えるのではないか」「知識がある人間だと評価されるのではないか」と思うかもしれませんが、決してそのようなことはありません。聞き手に疑問を抱かせてしまうと、その後の内容が聞く人にとってスムーズに入ってこなくなってしまいます。
プレゼンテーションの目的は、情報を分かりやすく相手に伝えることにあります。誰が聞いても確実に理解できる言葉で話すようにしましょう。
注意点(2)余計な話をしすぎる
聞き手との和やかな雰囲気を作るため、プレゼンテーションの合間に余談を挟むのは良いことですが、やりすぎは禁物です。プレゼンテーションの本筋からかけ離れすぎると、聞き手の集中力が削がれるだけでなく、論点がブレて一貫性がなくなってしまいます。プレゼンテーションの目的を見失わないよう注意しましょう。
注意点(3)資料をそのまま音読する
プレゼンテーション資料をそのまま音読するのは避けましょう。資料はあくまでもトーク内容の補助的役割であると認識し、自分のリアルな言葉で伝えることを心がけてください。ただの音読では伝わらない熱意をきっと感じてもらえるはずです。
6.プレゼンテーションの出だしの話し方
前述の通り、プレゼンテーションの序盤で「聞き手を惹きつけるために自己紹介をする」「伝えたい内容を明確にしておく」ことは重要です。聞き手をさらに惹きつけるために、以下を意識してみてください。
- 出だしで印象に残る「聞き手の常識を覆す内容」を伝える
- 出だしの言葉に対して疑問を抱かせる
- 聞き手が共感できる内容を伝える
このように聞き手を惹きつける内容を用意するには、このプレゼンテーションを受けて「聞き手が何を思うのか?」「どんな疑問が浮かぶか?」など聞き手の立場になって考える必要があります。
7.プレゼン資料の作り方
プレゼンテーション資料はパッと見たときにすぐに情報が理解できるシンプルさを意識し、メインであるトークの邪魔にならないようにしましょう。一目で分かりやすいプレゼンテーション資料のポイントは以下の通りです。
- 1枚のスライドには一つのメッセージのみ記載する
- 一つの項目に複数のメッセージがある場合はスライドを分ける
- 冗長とならないよう文字数はできる限り少なく抑える
- 文字サイズは20ポイント以上、強調箇所は大きくしてメリハリを出す
- 図を積極的に使用する
- 使用する色は同系色でまとめる
上記のような点を踏まえて資料作りをすれば、情報が整理されていて一目で分かりやすいプレゼンテーション資料ができるでしょう。
8.プレゼン初心者がやりがちな失敗例
しっかり準備したプレゼンでも、いざ本番となると緊張してミスをしやすいです。
特に経験が浅い場合は以下のようなミスをしやすいので注意しましょう。
- 緊張のあまり話す内容がわからなくなってしまう
- 話し方やスライドの作りがいまひとつで、プレゼンで伝えたい内容が聞き手に伝わらない
- スライドに使用する色やアニメーションが多すぎ、大事なポイントが分かりづらい
- 本番と同等の環境でのリハーサルができておらず、スライドがうまく動作しない
このような失敗を減らすためにも、前述した話し方やプレゼン資料の作り方を参考にしてみてください。
9.まとめ
プレゼンテーションに慣れないうちは、難しく考えてしまい緊張するかもしれません。しかし、今回紹介したコツを意識しながら準備や練習を繰り返し、実践する数をこなせば、きっと理想的なプレゼンテーションが行えるようになります。
そして、コツと同様に大切なのは、商品やサービスの良さを聞き手に伝えたい、分かってほしいという気持ちです。あなたが熱意を持ってプレゼンテーションを行えば、聞き手の感情を動かし、その後のアクションと新たな発展に必ずつながるはずです。ここで紹介したことを一つひとつ着実に身に付けながら、理想のプレゼンテーションをぜひ実現してください。