【怒りタイプ診断あり】アンガーマネジメントとは?やり方を簡単に解説

ビジネススキル・マナー

仕事中などにイライラしてしまうことはありませんか?そのような「怒り」の感情をコントロールするスキルがアンガーマネジメントです。自分の怒りのタイプとその沈め方を知れば、今よりもっとポジティブに仕事と向き合えるでしょう

この記事では、アンガーマネジメントとは何か、「怒り」の感情をコントロールする方法とはどのようなものかについて、簡単に解説します。また、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会が開発し、著作権を有する「アンガーマネジメント診断」(©一般社団法人日本アンガーマネジメント協会)による怒りタイプ診断も紹介します。

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1. アンガーマネジメントとは?

アンガーマネジメントとは、怒りの感情を適切にコントロールし、問題解決を図るスキルやトレーニングのことです。

特に職場はさまざまな人間関係が行き交う場所であり、怒りの感情を適切に管理できれば、周りに八つ当たりしたり物に当たったりすることを防ぎ、良好な人間関係を築きやすくなります。

その結果、仕事の効率や生産性が向上するなど、多くのメリットが期待できるでしょう。

1.1. 心理学における「怒り」のメカニズムとは?

日常生活において怒りを感じる瞬間は少なくありません。穏やかな気持ちと正反対な怒りの感情は、心理学では「自分を守るための感情」とされています。

人は怒りを発する前に、悲しみや悔しさ、不安などの感情を心の中に蓄積しており、その容量を超えると、それらの感情が「怒り」として表にあふれ出てしまうというのです。

怒りの根底には、複雑に絡み合った悲しみや不安などの感情が存在し、解消できずに溜め込むことで、ストレスとなって心身に悪影響を与えることもあります。

一方で、怒りを表すことは心の中にある混沌(こんとん)とした思いを発散させ、防衛反応としての役割を持つという側面もあります。

1.2. アンガーマネジメントの定義

アンガーマネジメントは「怒りをコントロールすること」を指し、英語では「アンガー」が「怒り」、「マネジメント」は「管理する」という意味です。

1970年代のアメリカで発祥し、怒りの感情と上手に付き合うためのメソッドとして注目されました。このメソッドが大切にしている点は、単に怒りを抑えるだけではなく、怒る対象やタイミングを見極めることにあります。

近年は日本でもこの考え方が注目され、企業研修などにアンガーマネジメントを取り入れる企業が増加しています。

1.3. アンガーマネジメントの効果

アンガーマネジメントは、人と人の感情が交わる場で効果を発揮しますでは、アンガーマネジメントを身に付けることで具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか。

1.3.1. 異なる価値観を受け入れやすくなる

多様性の中で生きることが求められることの多い現代社会では、自分と異なる価値観を持つ人と接する機会も増えています。そうした環境下で他人とのズレを感じた際、「こうあるべき」という思いから怒りを感じてしまうこともあるでしょう。

しかし、アンガーマネジメントを身に付けることで、価値観の違いを冷静に受け止め、相手の考えを尊重しながら円滑なコミュニケーションを図ることができやすくなります。

1.3.2. 感情的にならず相手と向き合える

仕事も含めた日常生活の中で怒りが湧きやすい場面は多く、仕事でも家庭でも感情的になってしまうことがあります

例えば家庭において、子どもが言うことをきちんと聞かずに、ついてしまうような場合でもアンガーマネジメントのスキルがあれば怒りをコントロールでき、落ち着いて冷静に子どもと向き合えるようになります。

1.3.3. 問題を建設的にとらえられる

職場では、部下に依頼した仕事「他に急ぎの仕事があり、まだ対応できていません」と遅れていることを報告された場合「納期が迫っているのに、なぜまだ対応していないのか」と怒りを感じることもあるでしょう。

こうした場面でも、アンガーマネジメントのスキルがあれば「部下に仕事を依頼しすぎたかもしれない」「マネジメントが甘かった可能性がある」といった別の視点を持てます。また、自分の理想からくる感情を一旦横に置きながら、「部下が仕事をしやすくするには何が必要か」と考えられるようになります。

2. 【実践】アンガーマネジメント診断(©一般社団法人日本アンガーマネジメント協会)

怒りをコントロールするといっても、怒りを感じる理由は人それぞれです。そのため、アンガーマネジメントを身に付ける前に、自分がどのようなときに怒りを感じやすいかを理解することが重要です。

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会が開発し、著作権を有する「アンガーマネジメント診断」では、同診断を行うことで、自分の怒りのタイプが見えてきます。

2.1. あなたの「怒り」はどんなタイプ?(©一般社団法人日本アンガーマネジメント協会)

怒りのタイプを知ることにより、具体的に何をどうコントロールすることが効果的なのかが見えてくることでしょう。

以下の12個の質問に点数で答え、最後の計算式に当てはめてみてください。

【質問】

Q1. 世の中には尊重すべき規律があり、人はそれに従うべきだ
Q2. 物事は納得いくまで突き詰めたい
Q3. 自分に自信があるほうだ
Q4. 人の気持ちを誤解することがよくある
Q5. なかなか解消できない、強いコンプレックスがある
Q6. リーダー的な役割が自分に合っていると思う
Q7. たとえ小さな不正でも見逃されるべきではない
Q8. 好き嫌いがはっきりしているほうだ
Q9. 自分はもっと評価されていいと思う
Q10. 自分で決めたルールを大事にしている
Q11. 人の言うことをそのまま素直に聞くのが苦手だ
Q12. 言いたいことをはっきりと主張すべきだ



【点数】

まったくそう思わない・・・1点
そう思わない・・・2点
どちらかと言うとそう思わない・・・3点
どちらかと言うとそう思う・・・4点
そう思う・・・5点
すごくそう思う・・6点


【計算式】

Q1+Q7 の合計点が1番高い→ 「公明正大」タイプ
Q2+Q8 の合計点が1番高い→ 「博学多才」タイプ
Q3+Q9 の合計点が1番高い→ 「威風堂々」タイプ
Q4+Q10 の合計点が1番高い→ 「外柔内剛」タイプ
Q5+Q11 の合計点が1番高い→ 「用心堅固」タイプ
Q6+Q12 の合計点が1番高い→ 「天真爛漫」タイプ

合計点数が1番高かったものが、あなたの怒りのタイプだと言えます。同じ合計点があった場合は、どちらの性質も持っている可能性があると言われています。

(1)公明正大タイプ

【特徴】
自分の考え方や信念を大切にし、定めた目標に向かって努力するタイプです。正義感が強く、道徳心も高いので、他人から頼りにされるという長所を持ちます。

しかし、それゆえにルール違反や規則に従わない人を見ると、怒りが沸き、公共の場でも迷わず介入する場合もあります。

【イライラを減らすコツ】
道徳観や規範を大切にするタイプであるがゆえに、周りのちょっとした不正も許せないことが短所だと言えます。自分の価値観と他人の価値観は違うのだということを意識しましょう

また、自分の中のルールや規則を押し付けることなく、他人の考え方を受け入れるという寛容さを身に付けましょう。

(2)博学多才タイプ

【特徴】
向上心が高く、何事も挑戦しようという前向きなタイプです。完璧を追求し、困難な状況下でも物事をやり遂げようとする点が長所です。

しかし、完璧主義が災いして、自分にも他人にも厳しくなりがちです。優柔不断な人や考え方が違う人に対して、怒りを感じることが多いと言われています。

【イライラを減らすコツ】
物事に対して意欲的に取り組み、自分自身を成長させるのは素晴らしいことですが、周りには、それができる人ばかりではありません。

白か黒ではなく、中間もあって良いのだという意識を持ち、価値観が違う人に対する視野を広げると良いでしょう。

(3)威風堂々タイプ

【特徴】
自分に自信を持ち、リーダー的素質を兼ね備えるタイプです。頼りがいのある雰囲気は憧れの目で見られるときもあります。しかし、プライドが高く、思い描いていた方向に物事が進まなかったり、自分への評価を低くされたりすると怒りやストレスを感じます

【イライラを減らすコツ】
自分に自信があることはプラスにも働きますが、その自信がゆらいでしまうかのような出来事に遭遇することもあります。

そのときに、「自分自身を否定された」と思うのではなく、その状況の「最善の判断が採用された」と捉えましょう。また、他の人が評価されたからと言って、自分自身の評価が下がるわけではありません。

(4)天真爛漫タイプ

【特徴】
自分の気持ちを正直に伝えることができ、行動力もあるため、人から羨ましがられる存在であることも多いタイプです。ただ、素直すぎてストレートな物言いをし、空気を読むことが苦手なので、制限がかかる状況に身を置いていると、不満やストレスを感じてしまいます

【イライラを減らすコツ】
自分の気持ちに正直に、勢いで行動することも多いため、一旦立ち止まって考えたり、他人の意見を聞いたりすることを心がけることが大切です。

また、自分の意見を伝えることが美徳とは限らないということもあります。一旦相手の意見に従う方が上手くいくケースもある、ということを意識しておきましょう。

(5)外柔内剛タイプ

【特徴】
外見は穏やかに見えますが、確固たる自分の意思を持っているタイプです。自分の決めたことはやり通すことを信条にしていますが、その雰囲気ゆえに、他人から何かを頼まれることも多くなりがちです。

したくないことをしなくてはならなかったり、自分のルールに反している物事に出会ったりするとストレスの原因となり、ささいなことで怒りが生じることがあります。

【イライラを減らすコツ】
自分自身の信条を持っているため、それに合わない事を行うのが苦手です。しかし、自分の信条を緩やかにすることで、他人への怒りが軽減する可能性も高いです。

また、誰かに何かを頼まれても、それを制限したり、自分のためのストレス発散法を見つけたりすることで、心が安定する場合も多いでしょう。

(6)用心堅固タイプ

【特徴】
真面目な性格で、物事を自分自身で客観的に判断できるタイプです。慎重に行動するため、冒険は好みませんが、周りに頼ることが苦手なため、ストレスが溜まることが多いのが特徴です。

また、他人にレッテルを貼りがちで、自分と比較することで、ねたみや怒りの感情を感じることもあります。

【イライラを減らすコツ】
冷静に物事を見ることは大切ですが、他人を信用することができないと交友関係がスムーズに進まないことが多々出てきます。他人への思い込みを避け、時には周りに頼ることを心がけると、他人との距離も縮まり、楽になることができるでしょう。

3. アンガーマネジメントのやり方は?今日からできる3つのテクニック

自分の怒りのタイプが理解できたら、その怒りを上手にコントロールするためのテクニックを獲得して行きましょう。「衝動」「思考」「行動面」に焦点を当てた消化方法が、アンガーマネジメントのテクニックです。

テクニック1:イライラしたら6秒待つ

怒りは衝動的に出現しがちですが、この衝動をコントロールすることで、ストレスを避けることが可能となります。怒りが生じたとき、そのピークは6秒だと言われています。そのため、6秒を過ぎると、怒りの衝動は収まってきます。

しかし、怒りを感じたときに6秒待つということは大変なことでもあります。慣れるまでは、その6秒をやり過ごすために、怒りの詳細を紙に書き出すことがおすすめです。

また、深呼吸をして心を落ち着かせたり、その場を一旦離れたりするのも良いでしょう。

テクニック2:「~するべき」の境界線を広げる

怒りが生じたときに6秒間待つことができるようになったら、次のステップに進みましょう。

私たちが怒りを感じるのには、感情面だけではなく、思考面も密接に関連していると言われています。なぜなら、私たちの多くは「~するべき」という自分の中の価値観を持っており、他人がその考えと異なっていると、怒りを覚えるからです。

そのため、自分が考える「~するべき」と他人が考える「~するべき」の間にはギャップが存在することを理解することが重要です。そして、相手の価値観に対して、自分と違う考え方もあることを発見し、何もかも100%を求めないという考え方を持つことが大切です。

テクニック3:自分でできることに注力する

「6秒待つ」と「~するべき」という自分の価値観の境界線を広げることができるようになったら、自分の行動面に気を配ることに注力することが重要です。

具体的には、自分で行動できることにのみ目を向け、自分の力でコントロールができない事柄には、エネルギーを使わないようにするのです。

たとえば、何らかの事故で電車が遅れると、イライラすることもあるでしょう。しかし、これは自分でコントロールできる問題ではありません。

自分の力でコントロールできない事柄に怒りを感じても、無駄なエネルギーとなります。このことをスムーズに理解できるようになれば、怒る必要がない場面では怒らないということができるようになります。

4. アンガーマネジメントの理解・習得におすすめの本

アンガーマネジメントを習得するには、書籍を活用することも効果的です。アンガーマネジメントに関する出版物は数多くあります。ここでは、初めて学ぶ方にも分かりやすい本を紹介します。

(1)『アンガー・マネジメント―アメリカ・エグゼクティブの間で爆発的に普及!イライラ、ムカムカを一瞬で変える技術』(安藤俊介著)

ストレスが多いビジネスマン向けに、アンガーマネジメントを学び、そのスキルをさまざまなシーンで発揮できることを目的とした一冊です。

怒りを感じた際、自分の気持ちを相手に正しく伝える方法などのセルフマネジメント法が解説されています。怒りの日記の付け方も掲載されており、実用的な1冊です。

(2)『いつも怒っている人も うまく怒れない人も 図解アンガーマネジメント』(戸田久実著)

本書では、怒りをコントロールするアンガーマネジメントについて、図解を入れて分かりやすく解説しています。上記の本に比べ、ビジネスマンのみならず、老若男女の幅広い世代に対応できる内容です。

また、文字が大きめで挿絵が多いことから、忙しい方でも読みやすいのもポイントです。「イライラが解消した!」と読者の喜びの声も高い評判の本です。

5. アンガーマネジメントを学べる通信講座

アンガーマネジメントについて、学びながら資格を習得できる通信講座もあります。アンガーマネジメントを「本格的に学習したい」「資格を取得したい」という方は、ぜひ参考にしてください。

(1)日本アンガーマネジメント協会

アンガーマネジメントの資格を認定している団体の中で、最も知名度が高い団体の一つが「日本アンガーマネジメント協会」です。

日本アンガーマネジメント協会では、「アンガーマネジメントファシリテーター養成講座」という講座を行っており、アンガーマネジメントの知識や理論を学んで、人に教えられるようになるためのトレーニングを積みます。

知識、経験がない方でも、しっかりと基礎理論について理解を深めることができます。

(2)アンガーマネジメントジャパン

アンガーマネジメントジャパンでは、Zoomによるオンライン研修を開催しており、18歳以上の方であれば誰でも参加可能です。

「基礎研修」「応用研修」「実践リーダー研修」の全ての研修に参加すると、「AMJ(アンガーマネジメントジャパン実践リーダー)」の資格が得られます。

「ストレスマネジメント」「認知変容」「傾聴」「アサーティブ・コミュニケーション」を包括的に学ぶことができるため、日常生活に必要な知識や技術が習得できます。

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6. まとめ

私たちには、喜怒哀楽の感情があります。それは生きるうえで必要な感情で、ときには怒りも重要なエネルギーとなり得ることもあると言われています。

しかし、不必要な怒りは、自分の気持ちを苦しめるだけではなく、他人との関係も壊してしまいがちです。アンガーマネジメントを身に付け、怒りを上手にコントロールして、自分も他人もストレスが溜まらない生き方を目指しましょう。

(※どうしても職場で怒りをおさめられず、仕事を辞めたいと思っている方は以下の記事をご参照ください。)

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