アンガーマネジメントのやり方とは?誰でもできる実践方法を解説

ビジネススキル・マナー

仕事中や人間関係でイライラしてしまうことはありませんか?アンガーマネジメントとは、怒りを無理に抑え込むのではなく、感情に振り回されず上手に対処するための考え方・トレーニングです。

この記事では、アンガーマネジメントの基本と、今日から実践できる具体的な方法を分かりやすく解説します。

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1. そもそもアンガーマネジメントとは?

アンガーマネジメントとは、怒りの感情に振り回されずに適切に対処し、問題解決を図るスキルやトレーニングのことです。語で「アンガー」「怒り」、「マネジメント」は「管理する」という意味になります

アンガーマネジメントは1970年代のアメリカで発祥し、怒りの感情と上手に付き合うためのメソッドとして注目されました。このメソッドが大切にしている点は、単に怒りを抑えるだけではなく、怒る対象やタイミングを見極めることです。

近年は日本でもこの考え方が注目され、企業研修などにアンガーマネジメント取り入れられケースもあります

1.1. 心理学における「怒り」のメカニズム

日常生活において怒りを感じる瞬間は少なくありません。怒りの一因は、「こうあるべきだ」「こうして欲しい」といった理想と、そうはならない現実とのギャップにあるとされています。

誰しもこうしたギャップに遭遇することはありますが、心理学における一つの見方では怒りは悪い感情ではなく、「自分を守るための感情」です。人は怒りを発する前に、悲しみや悔しさ、不安などの感情を心の中に蓄積しており、その容量を超えると、それらの感情が「怒り」として表にあふれ出てしまう、という考え方があります

複雑に絡み合った悲しみや不安などの感情、解消できずに溜め込む、ストレスとなって心身に悪影響を与えることもあるでしょう

一方で、怒りを表すことは心の中にある混沌(こんとん)とした思いを発散させ、防衛反応としての役割を果たしているのです。

1.2. アンガーマネジメントの効果

アンガーマネジメントは、人と人の感情が交わる場で効果を発揮します。りの感情を適切に管理できれば、良好な人間関係を築きやすくなるでしょう。では、アンガーマネジメントを身に付けることで具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか。

1.2.1. 異なる価値観を受け入れやすくなる

社会で生きていくなかでは、自分と異なる価値観を持つ人と接する機会もあります。他人とのズレを感じた際、「こうあるべき」という思いから怒りを感じてしまうこともあるでしょう。

ンガーマネジメントを身に付けることで、そういった状況でも価値観の違いを冷静に受け止め、相手の考えを尊重しながら円滑なコミュニケーションを図りやすくなります

1.2.2. 感情的にならず相手と向き合える

常生活の中で怒りが湧きやすい場面は多く、仕事でも家庭でも感情的になってしまうことはあります

例えば家庭において、子どもが言うことをきちんと聞かずに、つい怒ってしまうような場面でも、アンガーマネジメントのスキルがあれ落ち着いて冷静に子どもと向き合いやすくなります。相手と適切に意思疎通するには、冷静さが欠かせません

1.2.3. 問題を建設的にとらえられる

例えば職場では、部下に依頼した仕事が遅れていることを報告された場合、「納期が迫っているのに、なぜまだ対応していないのか」と怒りを感じることもあるでしょう。

こうした場面でも、アンガーマネジメントのスキルがあれば「部下に仕事を依頼しすぎたかもしれない」「マネジメントが甘かった可能性がある」といった別の視点や、根本的な原因を探る考え方を持ちやすくなります

分の理想からくる感情を一旦横に置きながら、「部下が仕事を滞りなく進めるには何が必要か」など問題解決に向けた現実的な対策を考えられるようになるでしょう

ここからは、アンガーマネジメントの具体的なやり方について解説していきます。今日からできる方法6つをまとめましたので、ぜひ日常生活に取り入れてみましょう。

2.1. イライラしたら6秒待つ

怒りの衝動は最初の数秒が特に強いとされておりまずは6秒ほど待つ方法がよく知られています。6秒程度が過ぎると、最初の衝動は少し収まってくるでしょう

怒りは突発的に出現しがちですが、その衝動に上手に対処することで、人や物に当たるなど良くない行動を防ぐことができます。6秒で怒りがなくなるわけではありませんが、最初の衝動を乗り越えると冷静さを取り戻しやすくなるのです。

・6秒の間に実践できるテクニック

  • 深呼吸
    お腹を膨らませ、へこませるように大きくゆっくりと呼吸をする
  • ストップシンキング
    心の中で「ストップ」と命令する、真っ白な空間を思い浮かべるなど、意図的に思考を停止させる
  • コーピングマントラ
    「大したことない」「大丈夫」など、自分を落ち着かせる言葉を心の中で唱える
  • グラウンディング
    デスクの上、外の景色など、「今ここ」にある物や事に意識を向け、集中して観察する
  • スケールテクニック
    怒りの程度を10段階で数値化し、客観的に感情を把握する
  • タイムアウト
    その場を一旦離れ、物理的に怒りの原因と距離を取る

誰かに怒りの感情を抱いたとき、そのまま怒りとして相手に伝えてしまうと、単に不満をぶつける形になったり、相手を否定したり責めたりすることになりがちです。摩擦を避けるためにも、怒りではない伝え方に置き換えてみましょう。

代表的なのは、「I(アイ)メッセージ」という手法です。「あなたが悪い」「あなたがこうだから」など相手を主語にするのではなく、「I=私」を主語にして「私はこう感じている」「私はこう思う」と自分の感情を伝えます。そうすることで、怒りの背景にある不安なども伝わりやすくなるでしょう。

怒りを「相手へのリクエスト」に置き換えるのも良い方法です。「〜してくれない」「どうして〜しないの」ではなく、「こうして欲しい」という具体的な要望を伝えることで、スムーズな問題解決につながります。

2.3. 自分できることのみに注力する

自分自身が怒りの感情に振り回されないためには、必要以上の怒りを生じさせないことも大切です。自分がコントロールできない事柄に関しては、怒っても解決できません。そのため、怒ってエネルギーを使う必要はないことを理解しましょう。

例えば、何らかの事故で電車が遅れると、イライラしてしまうこともあります。しかし、これは自分でコントロールできる問題ではありません。遅れていることに怒る代わりに、スケジュールを立て直す、その場でできる準備を進めるなど、自分ができる対処に集中しましょう

2.4. 「~するべき」の境界線を広げる

私たちの多くは「~するべき」という自分の中の価値観を持っており、他人がその考えと異なっていると、怒りを覚えることがあります。しかし自分が考える「~するべき」と他人が考える「~するべき」の間には違いが存在するのも事実です。

そのことを前提に考えながら、自分の「~するべき」に固執することなく、ほかの人の立場・視点にも立ってみると良いでしょう。

「こんな考え方もあるんだ」などと、自分と違相手の価値観に対して、柔軟に受け入れる姿勢を持つことも大切です。

2.5. 怒りを分析して傾向を知る

怒りを感じているときは客観的な視点を失いがちですが、過度に感情的になってトラブルに発展するのを防ぐには自分を客観的に見ることは欠かせません。そこで役立つのが、怒りの詳細を書き出して記録する「アンガーログ」という手法です。

前述したスケールテクニックによる怒りのスコアを始め、どのような場面で怒りを感じたのか、日時や場所などを記録していくと、自分の怒りのパターンを把握しやすくなります。怒りのパターンが分かれば、適切な対処もしやすくなるでしょう。

2.6. ネガティブな感情をため込まない

悲しみや不安などネガティブな感情を抱え込んでいると、怒りを生じやすくなってしまいます。そのため、意識的に発散して、リラックスした気持ちやポジティブな気持ちを維持できるようにしましょう。

例えば、身近な誰かに悩みを聞いてもらったり、趣味や好きなことをして気分をリフレッシュする時間を作ったりすると効果的です。誰かに相談することで、ネガティブな感情をため込まないアイデアも得られるかもしれません。

3. 職場でアンガーマネジメントを実践するメリット

アンガーマネジメントは日常生活のさまざまな場面で役立ちますが、特に近年注目されているのは職場での実践です。ここでは、職場でアンガーマネジメントを実践するメリットについて解説していきます。

3.1. 適切なマネジメントにつながる

職場で怒りの感情が問題になりやすい場面として、部下のマネジメントが挙げられます。時には部下を叱る必要が出てくる場合もありますが、怒りに任せてしまうとパワーハラスメントなどにつながりかねません

アンガーマネジメントを身に付けることで、適切な指示や指導、管理を実現しやすくなります。的確なマネジメントは部下の成長につながるでしょう。

3.2. 適切な意思決定ができる

仕事をするうえでは、意思決定を求められる場面も多くあります。その時に冷静な判断ができなければ、ビジネスに大きな悪影響を及ぼしてしまうこともあるでしょう。

冷静さを欠く要因は怒りだけではないかもしれませんが、怒りへの適切な対処は理性を保って冷静に判断するために必要なことの1つです。

3.3. 生産性の向上に期待できる

従業員がアンガーマネジメントを実践すれば、良好なコミュニケーションを取りやすくなり、不要な対立がなくなったり、協力しやすくなったりといった効果が現れます。

その結果チームワークが向上して、スムーズな業務遂行や新たなアイデアの創出がしやすい環境が整い、生産性が向上するでしょう。

3.4. 従業員の心身の健康につながる

怒りと上手に付き合えることは、ストレスの軽減にも役立ちます。「ストレスは万病のもと」とも言われますが、ストレスが蓄積すると心身に不調をもたらしかねません

従業員それぞれがアンガーマネジメントを実践することで、必要以上の怒りによって自分自身にストレスが蓄積するのを防げます。また、職場環境が良くなることでストレスが軽減する効果も期待できるでしょう。

4. アンガーマネジメントの理解・習得におすすめの本

アンガーマネジメントを習得したい、もっと良く知りたいという方のために、おすすめの書籍を紹介します。アンガーマネジメントに関する出版物は数多くあります初めて学ぶ方にも分かりやすい本厳選しました

(1)『アンガー・マネジメント―アメリカ・エグゼクティブの間で爆発的に普及!イライラ、ムカムカを一瞬で変える技術』(安藤俊介著)

ストレスが多いビジネスマン向けに、アンガーマネジメントを学び、そのスキルをさまざまなシーンで発揮できることを目的とした一冊です。

怒りを感じた際、自分の気持ちを相手に正しく伝える方法などのセルフマネジメント法が解説されています。怒りの日記の付け方も掲載されており、実用的な1冊です。

(2)『いつも怒っている人も うまく怒れない人も 図解アンガーマネジメント』(戸田久実著)

本書では、怒りの感情と適切に向き合うためのアンガーマネジメントについて、図解を入れて分かりやすく解説しています。上記の本に比べ、ビジネスマンのみならず、老若男女の幅広い世代に対応できる内容です。

また、文字が大きめで挿絵が多いことから、初心者を含め誰でも読みやすいのもポイントでしょう。「イライラが解消した!」と読者の喜びの声も高い評判の本です。

5. アンガーマネジメントを学べる通信講座

アンガーマネジメントについて、学びながら資格を取得できる通信講座もあります。アンガーマネジメントを「本格的に学習したい」「資格を取得したい」という方は、ぜひ参考にしてください。

(1)日本アンガーマネジメント協会

アンガーマネジメントの資格を認定している団体の中で、最も知名度が高い団体の一つが「日本アンガーマネジメント協会」です。

日本アンガーマネジメント協会では、アンガーマネジメントファシリテーター養成講座」「アンガーマネジメント入門講座」「アンガーマネジメントキッズインストラクター養成講座」という3つの講座を開催しいます。

知識、経験がない方でもしっかりと基礎理論について理解を深め、実践スキルを身に付けることができるでしょう

(2)アンガーマネジメントジャパン

アンガーマネジメントジャパンでは、Zoomによるオンライン研修を開催しており、18歳以上の方であれば誰でも参加可能です。

「基礎研修」「応用研修」「実践リーダー研修」の全ての研修に参加すると、「AMJ(アンガーマネジメントジャパン実践リーダー)」の資格が得られます。

「ストレスマネジメント」「認知変容」「傾聴」「アサーティブ・コミュニケーション」を包括的に学ぶことができるのが特徴です。

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6. まとめ

私たちには、喜怒哀楽の感情があります。それは生きるうえで必要な感情で、ときには怒り重要なエネルギーとなり得ることもあると言われています。

しかし、不必要な怒りは、自分の気持ちを苦しめるだけではなく、他人との関係も壊してしまいがちです。そのため、怒りの感情に振り回されず、適切に対処することが重要だと言えます。

本記事で紹介したような、6秒待つ・怒る以外の伝え方に置き換える・怒りを分析するといった方法は、今日からでも実践しやすいアンガーマネジメントです。怒り上手に付き合いながら、自分も他人もストレスが溜まらない生き方を目指しましょう。

(※アンガーマネジメントを意識しても、職場でのストレスが強く仕事を辞めたいと感じる方は以下の記事をご参照ください。)

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