AIがどんどん生活の中で身近なものになり、その便利さを実感している方も多いと思います。中には、AIを使って副業ができないか、と考えている方もいらっしゃるでしょう。今回は、"AI副業"を成功させる5つのコツと"AI副業"の事例9つをご紹介します。
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1.AIで副業とは
実質賃金の低下傾向が少し前まで続き、さらには残業規制も始まり、実質的な手取り収入が目減りをしていると悩んでいる方も多いかと思います。
そんな人に「AIで副業」は気になることだと思います。
「そんないい話があるのだったらぜひやってみたい」という方もいれば、「話がうますぎて怪しい」と感じる方もいるでしょう。
しかし、AIで副業をするというのは難しくありませんし、知見を広げるという意味でもお勧めできる挑戦です。もちろん、「ラクして月100万円」などという過度な期待は禁物です。
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2.AI副業を成功させる5つのポイント
AI副業を成功させるには主に5つのポイントがあります。
2.1.効率をあげることで副業が可能に
従来、副業と言えば、データ入力やアンケートモニターなど単価が安いものが中心でした。
一方、翻訳や動画編集など単価が高いものもありますが、一定以上のスキルが必要で、なおかつ時間がかかるため、休日を利用して簡単に稼ぐというわけにもいきませんでした。
しかし、対話型AIなどを活用することで、多くの副業が効率的に行えるようになる可能性があります。
単価の安い副業であっても短時間で終わらせることができるようになり、同じ時間で多くの仕事がこなせるため、実質的な単価を引き上げる可能性も高まっています。
また、単価が高くてもスキルを必要とし、時間もかかる副業も、AIで足りないスキルを補い短時間でこなすことで、副業として稼ぐことができるようになるかもしれません。
例えば翻訳の場合では、1冊の本を翻訳するのはフルタイムのプロフェッショナルであっても数ヶ月かかることもある作業で、副業にするには難しい面がありました。
しかし、対話型AIに下訳をさせてそれを修正し、修正のための調査も対話型AIを活用するということをすれば、短い時間で作業をこなせるようになり副業にすることができる可能性が高まります。
2.2.過大な報酬を期待しない
時々「AI副業で月収100万円」などという記事を見かけますが、もちろん、そんなうまい話はそうそうありません。副業で始めて非常にうまくいき、本業にしてしまったような稀有な例にすぎません。
しかし、余暇の時間を活かして生活費の足しにする、趣味をするための資金を稼ぐことができるかもしれません。
2.3.自分のスキルを活かせる副業を選ぶ
仕事の大部分はAIがやってくれると言っても、自分にまったくスキルのない分野の副業は簡単にはできません。
例えば、英語が苦手な人がAI翻訳の副業をしても最後の仕上げができませんから、水準の品質を出すことができず、いずれ行き詰まってしまいます。
副業を選ぶときは自分のスキルを考慮して選ぶ必要があります。AIを使わなくてもできけど、AIを活用することにより短時間で仕上げることができる、というのが理想的です。
2.4."賞味期限"があるかもしれないと認識しておく
AI副業を一つに絞ると長く続かない可能性があります。そのため、常に新しいAI副業を探し続け、手を広げていく姿勢が必要になります。
例えば、ある商品の長所を文章にまとめてメーカーに納品し、メーカーで自社ブログの記事として利用するという副業を始めたとします。しかし、対話型AIを活用してブログ記事を構成するというのは多くの人ができそうなことです。
つまり、今は仕事になったとしてもすぐに無数のライバルが登場し、一人あたりの仕事の量は少なくなり単価も下げられていくことになります。
さらに、メーカー側で記事を制作する部署を設置すれば、仕事そのものがなくなります。AI副業は永遠に続くものではなく、いわば賞味期限のある仕事になる可能性がある、ということを意識しておく必要があります。そのため、常に新しい副業を探していく努力が必要になります。
2.5.プロンプトエンジニアリングのスキルは必須
例えば、AI副業で英文和訳の仕事をする場合、プロンプト(命令指示文)に「次の英語を日本語に翻訳してください」と指示をして、出てきた翻訳文を目で見て修正していくというのであれば多くの人ができそうなことです。
仕事として報酬をもらうためには、多くの人ができないであろう品質にしなければなりません。
そのためには、翻訳精度を上げるためのプロンプト、出力の文章スタイルを指定するためのプロンプト、誤訳を発見して修正するためのプロンプト、などの書き方を知っておかなければなりません。
このような具体的なプロンプトは、インターネット上の記事や書籍で探すことができます。AI副業をしながら、プロンプトエンジニアリングの調査、学習していき、プロンプトエンジニアリングのスキルを向上させていく必要があります。
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3."AI副業"の実例9選
AIを活用した副業にはさまざまなものがあり、すでにそのような副業を紹介する副業のポータルサイトも多数登場しています。
その中から、多くの人が行っているといわれている9つの副業をご紹介します。
3.1.文字起こし
テープなどに録音された取材、対談、講演などを文字データに修正する仕事です。
単純な文字起こしであれば、ChatGPTを利用した文字起こしサービスがいくつもあるのですぐに行うことができそうです。
また、誤字脱字などの発見や修正もChatGPTで適切なプロンプトを指定することで行えます。仕事そのものは副業ポータルサイトなどで見つけることができます。AIを使って最も手軽に始められる副業のひとつです。
ただし、多くの人ができる可能性が高いだけに単価が安いのが難点です。いかに効率的に作業を短時間で終わらせる環境をつくるかがポイントになります。
3.2.イラスト制作
WEBサイト上などに掲載するイラストを制作する仕事です。
イラストは画像生成AIにプロンプトを入力することで制作できます。
しかし、求められる水準のイラストを出力するにはプロンプトの技術が必要になります。
単品でも販売できるような質の高いイラストを生成するには高度なプロンプト技術が必要になりますが、記事の挿絵のようなものであれば生成AIでも要求されるレベルのものがつくれるかもしれません。
ただし、生成AIは幅広い素材から学習をしてイラストを生成するため、著作権を侵害しないように注意する必要があります。
3.3.翻訳
一定程度の語学力があれば、翻訳も始めやすいAI副業です。といっても小説のような"読ませる"翻訳には、翻訳とはまた別のスキルも必要なため簡単にはできません。
ただ、企業が必要としている外国語資料、レポートの類の翻訳業務であればAIを活用して求められる水準の成果物を納品できる可能性もあります。
ChatGPTなどでは、翻訳文のスタイル(ですます調、読む人のレベルなど)も指定ができますし、誤訳やわかりづらい表現を抽出して修正案を提案させることも可能です。
しかし最終的な確認や品質管理は人間がせざるを得ないので、AIを使わなくても自分で翻訳ができるぐらいのレベルの語学スキルは必要となります。
3.4.データ編集
依頼主の指示に基づいて、生データから必要なデータを抽出、整理する仕事です。
Excelなどでの業務が主になります。手作業で整理はできないレベルの仕事が多く、従来は、スクリプトやマクロを書いて整理をしていくことが主流でした。それにはプロブラマーに近いレベルのコーディングスキルと、データアナリストに近いレベルのデータリテラシーが必要でした。
しかし、今では対話型AI「Copilot」が組み込まれているため、プロンプトを書くことでデータ編集を自動化することができます。ただし、AIは万能ではなく、手作業をせざるを得ない部分も多くあること、プロンプトスキルの高低により作業効率が大きく違ってくることは理解しておく必要があります。
3.5.記事執筆
依頼主から記事として執筆すべき要点を指示され、それを文章に仕上げる仕事です。対話型AIはそつなく記事をまとめてくれるので、報道文、広報文、説明文などに向いています。
一方で、読ませる記事を生成するのは得意ではない部分もあるため、PV(ページビュー)を獲得しなければならない記事の生成には向いていないとみる人もいます。
3.6.プロンプト販売
対話型AI、生成AIのプロンプトの売買が始まっていて、取引サイトも登場しています。
非常に優れたプロンプトを発見、構築したら、プロンプトそのものが商品になります。中には、対話型AIや生成AIを研究して価値のあるプロンプトをつくり、販売することで生計を立てようとしている人もいます。
売れるレベルのプロンプトをつくるには試行錯誤に時間をかける必要があります。副業という気楽な気持ちではなく、将来は本業にするつもりぐらいに力を入れる必要があります。
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3.7.解説動画制作
世の中で話題になっているトピックに関する解説動画を制作して、YouTubeなどで公開し、広告料などを稼ぐ副業です。まず、検索数の統計などから人気になっているキーワードを抽出し、それが「米国大統領選」であるなら、ChatGPTなどの対話型AIで米国大統領選を解説する文章を生成します。
次に、画像系生成AIサービスの中にある「ナレーションから映像を生成する」機能などを使って動画を生成します。これで解説動画が完成させ、YouTubeなどで公開して広告収入を得るというものです。
ひとつの動画がいきなり何百万再生になるということはまずないと考えたほうがいいでしょう。しかし、長期にわたって再生が続くロングテールコンテンツになる可能性もあるため、辛抱強く動画の数を増やしていくと良いかもしれません。
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3.8.WEBサイト制作
WEBサイトを制作するにはデザインの知識と、HTML、CSSのコーディングスキルが必要になりますが、HTMLとCSSは多くの場合対話型AIで生成することが可能になりました。
生成AIと対話を重ねながらWEBサイトのデザインをつくり、それを実現するHTML、CSSコードを出力させることができることが多いです。
しかし、WEBサイトをデザインするには見た目がきれいかどうかだけではなく、ユーザーが理解しやすく使いやすくなっているかという人間工学的な知識も必要になってきます。また、出力されたコードはそのまま動作するわけではなく、さまざまな微調整も必要になってきます。
WEBサイトの制作をまったくやったことがない人がAIを使って制作するのは難しく、WEBサイトを制作できるスキルを持っている人がAIを使って作業を効率化するという使い方が適しています。
3.9.プログラミング
対話型AIはコードやプログラムも出力できるようになり、プログラマーは将来不要になるかもしれないとまで言われています。しかし、現在のAIの実力は、プログラムの下書きを生成してくれるレベルと考えておいた方がいいかもしれません。
AIが生成したコードをそのままビルドしても、動かないことが数多くあります。問題点を発見して修正をする作業が必要になり、それにはプログラミングスキルが必要になります。これもプログラマーが自分の仕事を効率化するためにAIを使うものと考えておいたほうがいいかもしれません。
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4.まとめ
対話型AI、生成AIの登場により、個人でできる副業の幅は大きく広がりました。うまく環境を構築することで、短時間で作業を完了できるようになったからです。
ただし、まったくスキルが不要というわけではありません。対話型AI、生成AIに命令を出すプロンプトの技術は必要になりますし、副業したい領域の専門スキルも必要になります。そのような準備と学習ができるのであれば、週末などを使って収入を増やすことが可能かもしれません。
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