AI」という言葉をニュースなどで聞かない日はないというぐらい日進月歩で進化しているAIですが、そもそもAIってなんの略なのでしょうか。今回は、AIとはなんの略かの説明や、AIブームの変遷、対話型AIアプリについて紹介します。
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1.AIとはなんの略
AIとはArtificial Intelligence(人工の知性)を略した言葉で、日本語では「人工知能」と訳されます。
この言葉の歴史は古く、1956年に米ダートマス大学で開催された計算機知能の研究会で、ジョン・マッカーシー教授によりこの名称が提案され、それ以来「AI=Artificial Intelligence」と呼ばれるようになっています。
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2.AIの定義とは
しかし、問題は、今日になってもAIの定義が確定していないことです。ジョン・マッカーシー教授は次のようにAIを定義しました。
「知的な機械、特に、知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術」。
しかし、「知的」が具体的に何を指すのか、それを定義することは難しいため、AIの定義は研究者によって異なっているのが現状です。このマッカーシー教授の定義を拡大解釈すれば、大きな数を足したり引いたりするのは人間だけが持つ知的な能力ですから、電卓やそろばんもAIと言えるのです。
一方で、一般の人の間のAIのイメージは「特定の知的能力で、人間を超えるもの」というものが多いかと思います。そのため、電卓やそろばんをAIと呼ぶ人はほぼいません。時間はかかるものの、人間にも大きな数の計算はできるからです。
一方で、機械学習やディープラーニング(深層学習)、生成AIといった技術は、人間が手計算でやろうと思えばできなくはありませんが、とても人間の人生の時間ではやり切ることができません。そのため、「人間を超えた能力」であると考え、AIと呼ばれます。
また「人間と区別ができない知性と感情をもつ機械、プログラム」という定義をする人もいますが、今度は「感情」が具体的に何を指すのかが明確ではなく、人によって具体的に何を指すのかが異なっています。
(さまざまな研究者のAIの定義。【画像出典】総務省「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究報告書」(野村総合研究所作成))
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3.強いAIと弱いAI
米国の哲学者、ジョン・サール氏は「強いAI、弱いAI」という分類を提唱しています。
3.1.弱いAI
弱いAIは特化型AIのことです。特定のタスクに特化したAIのことで、具体的には画像認識や音声認識、翻訳、自動運転などです。すでに性能の高い弱いAIが続々として登場してきて、日常生活やビジネスの現場で活用されています。
3.2.強いAI
強いAIは汎用型のAIのことです。人間の知性を完全に模倣し、人間と同様の知的活動ができる存在です。SF映画に登場するAIは、その多くが汎用型AIとして描かれます。
ChatGPTなどの対話型AIが登場して、さらには画像、動画なども理解できるマルチモーダル対応が進み、本格的な汎用型AIが登場するのではないかと期待されています。
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4.AIの歴史
AIという言葉が生まれたのは1956年であり、1950年代からAIの研究は始まり、すでに70年の歴史があります。
しかし、AIの研究はブームのように盛り上がり、ブームが去ると冬の時代を迎えるということを繰り返し、現在は第3次AIブームであると言われます。
(AIは過去にブームと冬の時代を繰り返してきた。現在は第3次AIブームと言われる。【画像出典】総務省「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究報告書」(野村総合研究所作成))
その歴史の中で、現在のAIに結びつく技術について知っておくが必要です。
4.1.第1次AIブーム:推論と探索
この時代のAI研究は、まず人間の知的活動を理解することから始まりました。推論とは、人間の思考過程を記号で表そうとするものです。思考過程を記号で表すことができればプログラムにすることができます。また、探索とはコンピューターに選択肢を生成させ、それを適切に選ぶ技術のことです。
例えば、将棋のプログラムで、次の一手をすべて列挙させ、最も正着の手を選ぶなどです。
パーセプトロンなども考案され、今日のAI技術の基礎が築かれます。しかし、パーセプトロンは条件が整った限定的な問題にしか対応することができず、現実にある複雑な問題には対応できないことが数学的に証明されると、AIブームは急速に萎んでいきます。
4.1.1.パーセプトロン
パーセプトロンは、人間の神経細胞を模した回路のことです。複数の入力があり、入力値の合計が一定の閾値を超えると出力をするという仕組みです。人間の神経を機械で模倣すれば、人間と同じようなことができるのではないかということから考案されました。このパーセプトロンを複数組み合わせることで、簡単な図形を見て、その形を判定するなどいうことにも成功しています。
4.1.2.ニューラルネットワーク
このパーセプトロンを大量に組み合わせたネットワークが、ニューラルネットワークです。理屈では、人間の脳の構造を模倣したものであり、巨大なニューラルネットワークがあれば人間の思考を再現できるはずでした。しかし、そのような巨大なニューラルネットワークを構築するには、技術が不足しており、本格的な開発はコンピューターが発達するまで待つ必要がありました。
4.2.第2次AIブーム:知識表現
コンピューターの活用が広く社会で行われるようになると、再びAIブームが起こります。特に注目されたのがエキスパートシステムでした。これは、専門家がもつ知識をルールとして表現し、コンピューターが医療診断や株価予測などをするというものでした。
しかし、そのルールは人間が教えなければならないという課題がありました。専門家の知識には、言語化が難しい暗黙知も多く、むしろその暗黙知が専門家の専門家たるゆえんであったことから、第2次AIブームも下火になっていきます。
4.3.第3次AIブーム:機械学習
2000年代になるとコンピューターの性能があがり、個人が所有するパーソナルコンピューターでも大規模な演算ができるようになりました。
特に統計学で、演算を繰り返すことで精度をあげるということが可能になりました。これが機械学習です。それまでのAIは人間がルールを教えてやらなければなりませんでしたが、ニューラルネットワークを使った機械学習を行なうことで、AIは教材から自分でルールを学んでいくことができるようになりました。これが大きな突破口となります。
また、2006年にはディープラーニングが登場し、さらには生成AI、対話式AIと進化が加速している状況です。
4.3.1.機械学習
人間がルールを教えるのではなく、AIが教師データを参考に自分でルールを学習していく方式。犬の写真を見せ学習させ、それから動物の写真を見せると犬であるかどうかを判定できるようになります。
4.3.2.ディープラーニング
深層学習とも言われる。ニューラルネットワークを多層化すると、学習が効果的に行なわれ、精度が著しく向上することが発見され、画像や映像の判別などでの主流の方法となりました。また、生成AIの重要な技術のひとつにもなっています。
4.3.3.大規模言語モデル(MML)
言語のつながる確率を学習させ、会話をシミュレートするAIプログラムは1960年代から存在しますが、学習するパラメーターを一定以上に増やすと、出力の精度が急速にあがる現象が発見され、対話型AIが一気に実用的なものになりました。
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5.おすすめの対話型AIアプリ
対話型AIは、すでにほぼすべての業務で必須のツールになっています。その役割は「アシスタント」です。
例えば、外国語の文章を翻訳させたり、要点をまとめさせたりすることは実用レベルになっていますし、報告書や提案書の下書きを生成させるという使い方も広く使われるようになっています。
ただし、使いこなすには指示を明確に伝える必要があります。これはプロンプトと呼ばれる命令文をいかにうまくつくるのかという技術で、プロンプトエンジニアリングとも呼ばれます。
これからは、ビジネスパーソンの基本スキルに、プロンプトエンジニアリングが入ることは間違いありません。このようなスキルについても、すでに入門書、解説書が多く出版されていますが、自分で試行錯誤をする経験も必要になります。
対話型AIアプリは、スマートフォンアプリにもなっていて、インストールして使ってみるのもおすすめです。
5.1.ChatGPT
OpenAI社のChatGPTが使える公式アプリです。音声でのやり取りにも対応していることが特徴で、声を使って会話をするように使うこともできます。また、外国語にも対応をしているため、外国語会話の練習に使っている人も増えています。
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5.2.Microsoft Copilot
マイクロソフト社が提供しているアプリです。Copilotの特徴は、何かを尋ねた時にソースとして参照したウェブのリンクを表示してくれることです。調べ物をする時には、Copilotの回答を読み、さらにソースのウェブページを読むことで、正確な調査ができます。調べ物をすることが多い人におすすめの対話型AIです。
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6.まとめ
AIとはArtificial Intelligence(人工の知性)を略した言葉で、日本語では「人工知能」と訳されます。しかし、「知性」という言葉が具体的に何を指すのかが、研究者により異なるため、AIが指す範囲や定義については確定していないということも考慮する必要があります。