【MAツールとは】必要とされる背景と使用するメリット、主な機能を解説

【MAツールとは】必要とされる背景と使用するメリット、主な機能を解説

仕事をしていて、「MAツール」という言葉を聞いたことがあるけれども、どういうツールか詳しくは知らないという方もいらっしゃるかと思います。今回は、MAツールの概要と必要とされる背景使用するメリットや主な機能について解説します。

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1.MAツールとは

MAツールとはマーケティングオートメーションツールのことです。マーケティングを自動化するツールです。

主に、見込み客の名刺情報をマーケティング部門で一元管理をし、接触情報を記録し、確度の高い見込み客を可視化します。

営業部門は、優先度の高い見込み客に注力をすることで、効率的に商談化を行い、成約に結びつけるというものです。

MAツールは、マーケティング活動を自動化、効率化し、商談獲得数を最大化するツールです。

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2.MAツールを使用するメリット

MAツールの最もわかりやすいメリットは、名刺情報など見込み顧客情報の一元化です。

名刺は営業担当者が個人的に管理することが多かったのですが、このやり方だと名刺情報が分散をしてしまい重複があっても検出しづらいため、見込み客に同じカタログや招待状が2通以上届いてしまうという事が起こりえます。

その場合、見込み客からの信頼を失うことになります。

また、展示会、セミナーなど、さまざまな見込み客を獲得するためのイベントを行なっても、収集した名刺情報が別々に管理をされていると、確度の高い見込み客の検出が難しくなります。

展示会にも出席して、セミナーにも参加をした方は、製品に高い関心がある確度の高い見込み客です。

しかし、名刺情報が別々になっていると、突き合わせをしなければ優先すべき見込み客を抽出することができません。

MAツールでは、名刺情報を一元管理し、接触情報も更新されていくため、さまざまな条件で優先すべき見込み客を抽出することができます。

さらに、自社ウェブのアクセス情報、滞在時間などの製品に対する関心度をスコア化することも可能です。

このような優先度の高い見込み客を抽出して、電子メールを一斉配信するなどして、商談につなげることが可能になります。

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3.MAツールが必要とされる3つの背景

MAツールが必要とされる背景には、企業の状況が大きく変わったことがあります。

3.1.売上至上から利益重視へ

市場が成長をしている時は売上拡大が企業の主たる戦略になります。市場が拡大をしているので、売上を拡大することは比較的容易で、売上増が企業の成長につながります。

しかし、今は市場の成長が停滞する、あるいは場合によっては縮小する時代になりました。このような状況で売上を拡大させるのはきわめて難しいことになります。

そこで多くの企業では、利益を拡大することで業績をあげようとしています。

「質の高い製品だから高くても売れる」ということは少なくなりました。「質が高く、なおかつ適正価格であるもの」「コストと効能の見合い」を顧客企業や消費者が求めるようになっています。

3.2.決裁権者の個人的決断より組織による決断を重視

市場が成長している時代は、営業担当者と顧客企業の決裁権者の人間関係で導入や購入が決まるということが往々にしてありました。

営業担当者と顧客企業の間に信頼関係が構築されることで、顧客企業は不必要に細部まで検討することなく導入を決めることもあり、導入後に問題が発生しても営業担当者が誠意をもって対応をすればいい、といった考え方もあったのです。

しかし、現在は顧客企業は決裁権者一人で導入を決定するのではなく、関係部署に情報を回し、意見を求め、組織として決定をすることが主流になっています。

営業担当者の熱意よりも、より合理的な提案が求められるようになったのです。

営業担当者は顧客企業のニーズのヒヤリングをしっかりと行い、顧客企業の課題を解決する提案をする必要があります。

そのためには、名刺情報の管理、顧客への情報提供などの活動はMAツールで自動化をし、顧客との接触に時間を割けるようにする必要があります。

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3.3.顧客企業の購入プロセスの変化

市場が成長していた時代、顧客企業が製品を購入する必要が生まれた時は、まず、なじみのある提供企業に連絡をして、営業担当者からレクチャーを受け、それから比較検討を始めるというスタイルが基本でした。

しかし、今では購入を考えた顧客企業が最初に行うのはインターネットでの検索です。検索により複数の提供企業が見つかるため、最初から比較検討を行うことができます。

比較検討の後、有望な提供企業に連絡を取ります。この時点では、顧客企業の購入計画はかなり進んでいるため、提案できる内容に限界が生まれてしまいます。

理想を言えば、顧客企業が検索を始めた直後に接触をし、顧客企業の課題を解決する提案を行うべきなのです。それができれば、商談獲得につながる可能性が高くなります。

このため、MAツールには、見込み客をより詳細に把握し、適切な時期に適切な接触を行うことが求められています。

4.MAツールの主な機能と営業活動への貢献

MAツールには、リード(見込み客)の獲得から、商談化までのプロセスを管理する機能が備わっています。

4.1.リードジェネレーション(見込み客の獲得)

展示会、セミナー、ウェビナー、営業担当者の接触などで収集した名刺情報を一元管理します。

多くの場合、営業担当者が使っている名刺管理ソフトからデータを出力して、これをMAツールに取り込みます。

また、主要な名刺管理ソフトとの連携機能があって、ワンタッチあるいは自動的にMAツールに取り込むことも可能な場合があります。

また、重複登録があった場合、アラートなどが出て、統合する機能があるのが一般的です。

さらに、見込み客のレコードに、接触記録、メール配信などの履歴が追加されていきます。

4.2.リードナーチャリング(見込み客の育成)

見込み客のレコードに記録されるのは接触履歴だけでなく、顧客側の行動も記録されていきます。

例えば、自社のウェブへのアクセス履歴は重要で、接触頻度が上がるということは自社製品に関心があるということになります。

また、価格や契約内容を解説したページでの滞在時間が長くなるということは、商品に関して強い関心があり、購入を前提とした調査を行なっていると考えられ、きわめて確度の高い見込み客であるということになります。

このような見込み客をスコア化し、ダイレクトメールなどで適切な情報を適切なタイミングで届けることにより、見込み客のスコアを上昇させていきます。

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4.3.リードクオリフィケーション(見込み客の抽出)

見込み客との接触は電子メールの送信が主体になります。メール内にウェブのリンク先、資料請求先リンク、連絡先などのリンク情報を埋め込み、見込み客の反応を促します。

電子メールを送信するには次のような手法が多く用いられます。

4.3.1.メールマガジン

月に1回、週に1回などの間隔を決めて、定期的に送付するダイレクトメールです。

内容は、セミナーのお知らせ、新製品のお知らせなどの最新情報が中心になります。

あまりに送りすぎると、迷惑に感じられたり、迷惑メールに分類をされたりしてしまうことがあるので、頻度は抑えがちにし、内容も短く簡潔なものにします。存在を忘れられないために送るものです。

4.3.2.ステップメール

あらかじめ作成したシナリオに応じて送付する複数のダイレクトメールです。

例えば、メールマガジンに記載した新製品情報の詳細情報へのリンクをクリックした人に対して特別セミナーの案内のメールを、そのメールで参加申し込みをした人に対して導入事例を紹介したメールをなどと、見込み客の行動に応じて次々と異なるメールを配信します。

見込み客の関心の度合いが高まるにつれ、適切な情報が届くようにすることで、購入確度を効果的に高めていくことができます。

4.3.3.ターゲティングメール

商品の見込み客として、確度が高そうな見込み客のみを抽出して送付するダイレクトメールです。

その商品がターゲットとしている企業規模、業種、スコアなどの条件により見込み客の中から抽出をし、メールを送信します。

4.4.MAツールから営業アプローチへ

このようにリードジェネレーションで見込み客を獲得し、リードナーチャリングで育成し、リードクオリフィケーションで抽出をし、そこで営業アプローチをかけていきます。

営業アプローチをかける段階では、購入確度がきわめて高い状況になっているので、効率的な営業活動ができます。

それだけでなく、いわゆる「ご挨拶」「顔つなぎ」「商品説明」という段階の多くが不要になり、最初から顧客先企業の抱えている課題のヒヤリング、その解決手法の提案という、営業のスキルが活かせる本質的な業務に集中できるようになります。

MAツールはこのリードジェネレーション、リードナーチャリング、リードクオリフィケーションという3つの段階を自動化、効率化するツールです。

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5.MAツールとSFAツール、CRMツールとの関係

MAツールとよく似たツールで、SFA(Sales Force Automation)ツール、CRM(Customer Relationship Management)ツールと呼ばれるツールもあります。この2つは、MAツールと連結させて使うのが一般的です。

SFAツールは営業支援自動化システムのことで、営業担当者が営業アプローチをおこなった際の商談内容、聞き取り内容などを整理、一元管理することで、チーム全体で共有をし、より効果的なアプローチを可能にするためのものです。

CRMツールは顧客関係管理ツールのことで、すでに顧客となった人とのエンゲージメントを高め、追加購入などに結びつけることを目的としたツールです。いわゆるユーザー会、ファンクラブに近い結びつきを管理します。

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(MA、SFA、CRMの3つのツールを連携させることで、マーケティングから営業までのすべてのプロセスが自動化、効率化される。また、マーケティング部門と営業部門の情報共有もしやすくなる)

6.まとめ

MAツールとは、マーケティング業務を自動化、効率化するツールです。

見込み客を獲得し、メルマガなどで適切な情報提供を行うことで見込み客の確度をあげ、購入確率の高い見込み客を抽出し、営業部門に渡します。

MAツールにより、マーケティング部門と営業部門の業務は効率化され、確度の高い見込み客に注力できるようになります。

また、営業支援ツールであるSFAツール、顧客管理ツールであるCRMツールと連動して活用されることが多くなっています。

原稿:牧野武文(まきの・たけふみ)
テクノロジーと生活の関係を考えるITジャーナリスト。著書に「Macの知恵の実」「ゼロからわかるインドの数学」「Googleの正体」「論語なう」「街角スローガンから見た中国人民の常識」「レトロハッカーズ」「横井軍平伝」など。

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