同意や合意を意味する「コンセンサス」は、ビジネスシーンで多用される言葉です。しかし、言葉を聞いたことはあっても正しい使い方がわからないという方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、コンセンサスの基本的な意味からビジネスシーンでの具体的な活用方法まで、例文を交えて詳しく解説します。効果的にコンセンサスを取るコツも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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1 コンセンサスとは
ビジネスシーンにおいて、「コンセンサス」という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。ここではまず、コンセンサスの詳しい意味と重要性を解説します。
1.1 コンセンサスは「同意」「合意」の意味
コンセンサスは英語で「consensus」と表記され、「同意」「合意」「一致した意見」という意味があります。グループ内のメンバー全員がある程度の合意に達し、共通の見解が形成された状態を指します。
これは必ずしも全員が完全に同意しているわけではなく、一定の妥協を通じて合意点を見出すプロセスのことです。ビジネスにおいては、正式な決定の前に意見の調整を行う「根回し」や「交渉」という意味で使用されることもあります。
1.2 ビジネスでコンセンサスが重要な理由
ビジネスの場では、異なる立場の意見を尊重しながら意思決定を進めなければなりません。そんなとき、コンセンサスが形成されていると、関係者間の摩擦が減少して協力体制が整うため、プロジェクトのスムーズな進行が期待できます。
コンセンサスは参加者の納得感を得やすくし、業務の実行力を高める効果があります。
2 コンセンサスの使い方と例文
「コンセンサス」という言葉は、実生活でどのような使い方をされるのでしょうか。ここでは3つの使い方について、例文を挙げながら解説します。
2.1 「コンセンサスを取る」
「コンセンサスを取る」という表現は、関係者全員からある程度の合意を得られるよう調整する際、いわゆる根回しが必要な場面で使用します。「コンセンサスを取る」の例文は以下のとおりです。
- 新しいプロジェクトの方針について、チーム内でコンセンサスを取る必要があります
- 各部署のリーダーと事前に話し合い、コンセンサスを取ったうえで会議に臨みました
2.2 「コンセンサスを得る」
「コンセンサスを得る」は、関係者の同意や支持を集め、一定の合意が形成できたという意味合いが強い表現です。「コンセンサスを得る」の例文は以下のとおりです。
- プロジェクトの進行スケジュールについて、チームリーダーの間でコンセンサスを得ました
- 条件交渉において経営陣からコンセンサスを得たので、このまま交渉を進めます
2.3 「コンセンサスを形成する」
「コンセンサスを形成する」は関係者全員が理解し、ある程度の合意に達する状況を作る際に使用します。「コンセンサスを形成する」の例文は以下のとおりです。
- 部門ごとの意見が異なるため、まずはコンセンサスを形成するための会議を設定しました
- 新しい福利厚生プランの導入に際しては、従業員のコンセンサス形成が必要不可欠です
3 コンセンサスを活用するシーン
ビジネスにおいて、コンセンサスはどのような場面で使用されるのでしょうか。以下は、コンセンサスが活用されやすいビジネスシーンの例です。
3.1 事前の根回しが重要な組織改革
組織改革には複数の部門や利害関係者が関わっており、全員が納得し協力しながら進められる体制を整えなければなりません。そのためには、根回しによって各部門の意見を事前に収集・調整し、反発を抑えることが大切です。
このプロセスを通じて関係者間の共通認識が形成され、改革への支持が得やすくなります。改革を円滑に進めるには、コンセンサスが重要な鍵となるのです。
3.2 全員の合意が必要な新規プロジェクトの立ち上げ
新規プロジェクトを成功させるには、各メンバーが目標や役割を理解し、内容に同意していることが重要です。コンセンサスを得ることでメンバー全員が責任を持ち、効率的に動ける基盤を形成できます。
また、意見の衝突やリスクを最小限に抑えられるため、無駄な時間やコストを省くこともできます。そのため、立ち上げ段階でのコンセンサス形成はスムーズなプロジェクト進行において欠かせないプロセスです。
4 コンセンサスの類語
コンセンサスと似たような意味を持つ言葉も存在します。ここでは、コンセンサスの類語として「アグリーメント」と「オーソライズ」の2つを紹介します。
4.1 アグリーメント(agreement)
一般的に「合意」や「協定」を意味する言葉です。コンセンサスが複数人の同意を得た状態を指すのに対し、アグリーメントは主に相手が一人の際に使用します。具体的にアグリーメントは、販売契約・雇用契約・賃貸契約・国際貿易協定・合意書などで活用されています。
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4.2 オーソライズ(authorize)
「正当であると認めること」「公認すること」という意味の言葉です。公的に権限を持つものが、特定の行動やアクセスを許可する際に使用されます。例えば、金融取引において、顧客が特定の支払いを行うために銀行から承認を得るプロセスがオーソライズです。
5 「コンセンサス方式」「ネガティブ・コンセンサス方式」とは
会議などで意見が割れた際は、最も多くの支持を集めた意見を採用する「多数決」が採用されることが多いです。一方、「コンセンサス方式」「ネガティブ・コンセンサス方式」という方式もあります。ここでは、それぞれの方法について解説します。
5.1 コンセンサス方式とは
参加者の意見を調整し、全員が合意に達することを目的とした意思決定の方法です。コンセンサス方式では、参加者全員で意見交換や対話をしながら、それぞれが納得できる合意点を見つけていきます。
全ての関係者が意思決定に関与するため、幅広い視点を取り入れられるのは大きなメリットです。ただし、コンセンサスを得るには時間を要することが多いため、急いで結論を出す必要がある会議などには不向きと言えます。
5.2 ネガティブ・コンセンサス方式とは
全員が同意した場合に採決となる「コンセンサス方式」とは逆に、全員が反対した場合に否決となるのが「ネガティブ・コンセンサス方式」です。つまり、一人でも反対する人がいなければ、その提案は承認されたとみなされます。
ネガティブコンセンサス方式は、特に時間が限られている場合や、迅速に決定を下す必要がある場面で有効であり、国際貿易機関(WTO)の採択でも採用されることがあります。ただし、意見の多様性が十分に反映されない可能性もあるため、適用する際には注意が必要です。
6 コンセンサスのメリットとデメリット
スムーズな業務遂行において欠かせないコンセンサスですが、いくつかのメリットとデメリットがあります。それぞれどのようなことが考えられるのかをチェックしておきましょう。
6.1 コンセンサスのメリット
コンセンサスを得ることで意見の対立が減少し、メンバー間の信頼関係がより強固なものになります。メンバー全員の合意を目指すため抵抗も少なくなり、目標に向かって一致団結できるのもコンセンサスのメリットです。
また、多様な意見を取り入れられるので、より包括的な意思決定が可能になります。これまで受動的だったメンバーも、自分の意見に責任感が発生するため、主体性をもって仕事に取り組めるようになるでしょう。
6.2 コンセンサスのデメリット
コンセンサスを形成するためには、多くの意見を調整し、合意に達するよう努めなければなりません。意思決定に時間がかかるので、迅速な対応が求められる場面では不向きです。
また、 意見の調整が重視されると自分の意見を主張しにくくなり、グループ全体が同じ方向に流される「グループシンク」が発生することがあります。こうなると、せっかくの多様性が失われ、メンバーのモチベーションも低下してしまう恐れがあります。
7 コンセンサスを取る3つのコツ
ビジネスでコンセンサスを取るためにはどうすれば良いのでしょうか。ここでは、上手にコンセンサスを取るための具体的なコツを3つ紹介します。
7.1 明確な目標を提示する
目標が明確であれば、参加者全員が同じ方向に向かって意見を出し合うことができるので、無駄な議論や脱線の防止になります。
また、共通の目的に向かって協力しようという意欲を促したり、目標に照らし合わせて妥協点を見つけたりすることにもつながります。したがって、コンセンサスを取る際には、初めに明確な目標を提示し、参加者がその目標に基づいて意見を交わすのが効果的です。
7.2 相手の意見を尊重する
相手の意見を真摯に受け止めることで信頼感が生まれ、円滑なコミュニケーションが可能になります。意見交換が活発になれば、さらに変わったアイデアや面白い視点が生み出され、イノベーションが促進されるかもしれません。
また、意見の尊重は反発や対立を避けることにもつながり、結果的に妥協点を見つけやすくなることも考えられます。
7.3 妥協できるポイントを見つける
意見が対立した場合でも、妥協できるポイントを見つけることで対立を緩和し、前向きな議論を継続させられます。妥協ポイントを見つけるには、先入観を持たずに話を聞き、相手がどのような懸念を抱いているのかを把握することが大切です。
その際は自分の意見に固執せず、共通の利益を見出して提案したり、「この部分は譲れないが、この部分はあなたの意見に同意する」と譲り合いながら交渉したりするのが効果的です。
8 ビジネス以外のコンセンサス活用例
ビジネスシーン以外でも「コンセンサス」という言葉はよく使用されます。ここでは、ビジネス以外のコンセンサス活用例を5つ紹介します。
8.1 コンセンサスゲーム
参加者が協力して意見をまとめたり合意を形成したりすることを目的とした体験型のゲームです。このゲームでは、特定の課題が提示され、参加者は異なる意見や立場を持つ仲間と協力して解決策を見つけます。
コンセンサスゲームは、コミュニケーション力の向上や意思決定のプロセスを体感するため、教育機関や企業研修などの場で広く活用されています。
8.2 市場コンセンサス
特定の市場において、多くのアナリストが立てた予測の平均値を指します。例えば株式市場では、利益や配当、レーディングなどの予想平均値を意味し、「コンセンサス予想」と呼ばれることもあります。
市場コンセンサスは、投資家たちがどのような判断を下すべきかの指標として使用されています。
8.3 コンセンサスアルゴリズム
ブロックチェーン技術において、新しいブロックを追加する際の合意形成方法の一つであり、仮想通貨の取引で活用されています。
仮想通貨では不正を防ぎデータの一貫性を保つため、多くのネットワーク参加者が同じデータを共有し、参加者全員が同じ結果に合意することが求められます。この仕組みがコンセンサスアルゴリズムと呼ばれます。
8.4 医学的コンセンサス
医療分野における特定の問題に関して、専門家たちが総意として公表した見解やガイドラインを指します。これにより、治療法や診断基準が統一され、患者に対する医療の質と安全性が向上します。
医学的コンセンサスは、科学的な研究結果や臨床経験に基づいて形成されており、医療現場の意思決定に重要な役割を果たします。
8.5 国民のコンセンサス
政治において使用される表現であり、特定の政策について国民の合意を得ることを指します。具体的には、「まず国民のコンセンサスを得るべきだ」「国民のコンセンサスが得られなければ断念せざるを得ない」といった使われ方をします。
国民のコンセンサスは、民主的な意思決定の基盤として重要であり、政府が政策を策定する際の参考となります。一般的に国民のコンセンサスは、選挙・市民活動・メディア・公共の議論などを通じて示されることが多いです。
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9 まとめ
コンセンサスとは、特定の問題について参加者全員が合意に達するプロセスや状態を指します。ビジネスにおいては、あらかじめメンバー間の意見を調整しコンセンサスを得ることで、無駄な議論や対立がなくなり、意思決定がスムーズに行えます。
また、コンセンサスはチームの結束力を高め、メンバーのモチベーションアップにもつながります。コンセンサスを取る際は、明確な目標の提示や意見の尊重などを意識することが大切です。コンセンサスを上手く活用して、業務の効率アップを目指しましょう。
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