AI面接とは? 求職者・企業のメリット・デメリット、AI面接の対策を解説

ビジネススキル・マナー

就職・転職活動などでの面接にAIを導入している企業などがあります。今回は、AI面接とはどういったものか求職者・企業それぞれにとってのAI面接のメリット・デメリットAI面接の対策について解説します。

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1.AI面接とは

AI面接とは、ビデオ会議システムなどを使い、求職者の面接をAIが行うものです。

AIが、求職者の表情、話し方、話の内容などを評価し、AIが採点します。大量にスタッフを雇用する必要がある企業でよく使われます。

また、一般的な企業でもスクリーニングに使い、一定以上の成績を取った求職者を、人間の面接官が、AI面接の結果を参考にしながら二次面接を行うということもあります。

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2.求職者にとってのAI面接のメリット

AI面接は求職者にとってもさまざまなメリットがあります。

2.1.24時間、どこからでも面接が受けられる

求職者にとっては、面接を受けに本社に出向いていくのは、時間がかかり、交通費もばかになりません。

しかし、AI面接であれば、自宅からでもスマートフォン、PCなどを介して受けることができます。希望するのであれば、海外に拠点がある企業の面接を受けることもできます。

2.2.緊張をせずに自分の考えを述べることができる

初対面の面接官に自分の考えを述べるというのは意外に難しいものです。相手がどのような考え方をする人であるかを把握しなければ、自分の考えが伝わる話し方がわかりません。

また、面接官の中には、メンタルの強さを測るために、意地の悪い質問をしたり、いわゆる圧迫面接に近い質問をしたりする人もいます。AI面接は、アバターが面接官になることがあるので、その場合は落ち着いて自分の考えを述べることができます。

2.3.評価基準が推測しやすい

人間の面接官の場合、どのようなポイントで評価されるのかを事前に知ることは簡単ではありません。面接官も人間ですから、人の好みもあり、面接スケジュールが詰まっていて疲労をしていることもあるからです。

また、人間の面接官は、文字では表しづらい、求職者の性格や人間性を見極めようとします。評価基準は、面接官によって異なる場合もあり、面接という短い時間の間に、それを察知して対応していくことが求められます。

一方、AI面接の場合、どのような評価基準を設けているかは企業により異なりますが、社会人としての基本スキル、常識があるか、その企業の文化に合う人かという基準で評価することが多くあります。社会人としての基本スキルや常識を身につけておけば、悪い評価をされることはあまりないでしょう。

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3.求職者にとってのAI面接のデメリット

AI面接は、求職者にとってデメリットもあります。

3.1.競争率があがる

AI面接は、24時間どこからでも受けることができるため、従来は遠方だからという理由であきらめていた求職者も応募をしてくることになります。

結果として、多くの求職者が面接を受けるため、採用競争率が高くなる確率が高まります。

3.2.個性や熱量を伝えづらい

AIが評価できるのは「社会人としての基本スキルと常識」などの客観評価であることが多いです。そのため、自分がユニークな人材であることをアピールしたり、その企業の事業に特別な思いがあることを語ったりしても、AI面接では評価されづらくなることもあります。

学歴、成績、課外活動、前職での経験といった履歴書に記載するような項目が評価をされることになるため、そのような項目が整っていない求職者は、AI面接を突破しづらくなる場合もあります。

3.3.AI面接特有のスキルが必要になる

AI面接の技術は発展中であるために完璧ではありません。例えば、画面にアバターが表示されると、話をする時に、そのアバターの目を見てしまうのが自然ですが、カメラを見て話をしないと印象点が下がるなどの矛盾が指摘されることがあります。

また、質問に答える時も、情熱的に話すのではなく、落ち着いて冷静にゆっくりと話をした方が印象点があがるとも言われます。AI面接の技術がまだ成熟をしていないために、このようなAI面接特有の対策が必要になります。

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4.企業にとってのAI面接のメリット

AI面接を行う企業にとってもAI面接は数々のメリットがあります。

4.1.幅広い人材を獲得できる

AI面接は、スマートフォンやPCで受けるのが一般的であるため、従来では面接にくるのがたいへんであった遠方の求職者も応募をしてくる可能性があります。寮や社宅などを整備することで、幅広い人材を求めることができるようになります。

4.2.面接官の業務効率があがる

企業としては大勢の求職者の面接を行い、その中から求める人材を厳選するというのが理想ですが、それを実施するには面接官の負担も考えなければなりません。AI面接であれば、数多くの求職者にも対応できます。

AI面接の結果により、スクリーニングを行い、そのデータを参照しながら人間の面接官が二次面接を行うようにすれば、人間の面接官は求職者の深いところまで評価できるようになり、その企業に適した人材を見つけることができるようになります。

4.3.評価基準が標準化できる

人間の面接官は評価基準がゆらぐことも少なくありません。面接官も人間である以上避けられない問題です。

AI面接では、一定の評価基準で評価をするため、このような人間の面接官による評価基準の揺らぎを少なくすることができます。

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5.企業にとってのAI面接のデメリット

AI面接は、企業にとってデメリットもあります。

5.1.評価基準の設定が難しい

AI面接では、客観的な評価が主となります。例えば「緊張度」「冷静さ」「論理性」などです。企業が求める人材の評価基準を言語化して、それをAI面接システムに学習させる必要があります。

これは簡単なことではなく、運用しながら微調整をし続けていくことが求められます。

5.2.コミュニケーション能力は人にしか評価ができない

企業に入社して、最も重要になる要素の一つがコミュニケーション能力になります。コミュニケーション能力は高い低いという特性の能力ではなく、その企業文化に適しているか適していないかという特性の能力です。

ですので、Aという企業ではコミュニケーションがうまく取れなかった人も、Bという企業に転職をしたらコミュニケーションが円滑になるということが起こります。

これはAIの客観評価では測りにくい能力です。多数の面接官が面接を行ったり対面をしたりして、面接官の「あの人ならうちの会社でうまくやっていける」という主観評価を総合して評価することがあります。AI面接は万能ではなく、AI面接と人の面接をうまく組み合わせていくことが必要です。

5.3.対策される可能性がある

AI面接は、客観的評価が中心となるため、質問の内容も一般的なものになりがちです。例えば「前職や学生の時にどんな困難に直面した経験がありますか。そして、それをどのように克服しましたか」などという質問はAI面接で出題される典型例です。

このような情報は、求職者の間ですぐに共有をされ、最も無難な解答例が出回ることにより、対策されてしまう可能性があります。最近ではChatGPTに想定質問を入力し、解答を出力させ、それを回答するということも行われているようです。

また、採用しているAI面接のシステムが何であるかが伝わると、そのシステム向けの対策をされてしまう可能性もあります。システムによっては「チームワーク、学び、成長」などビジネスの場でポジティブに使われるキーワードを多用すると、評価が高くなるものもあります。すでに海外では、AI面接対策オンライン講座などのサービスが始まっている国もあります。

6.AI面接で高評価を得るには

AI面接は、基本的なスキル、常識を中心に評価する傾向があります。そのため、高評価を得るには基本的なことをしっかりやるという王道しかありません。ネットを探せば、さまざまな想定質問が見つかりますので、それに対する回答を用意しておくことが何よりも重要です。

また、ChatGPTアプリは音声会話にも対応をしているため、ChatGPTに面接官を務めてもらい、模擬面接を数多くこなしておくことも有効です。リハーサルを数多くこなすことで、本番のAI面接でもあわてることなく、落ち着いた態度で、冷静に話をすることができ、高評価につながります。

また、このような基本的なことを数多くこなすことで、二次面接以降の人間の面接官による面接でもあわてることがなくなり、いい印象を持ってもらえるようになります。

7.まとめ

AI面接とは、ビデオ会議システムなどを使い、求職者の面接をAIが行うものです。AIが、求職者の表情、話し方などを評価し、AIが採点をします。

AI面接は社会人としての基本スキル、常識などを客観評価するものが多いので、基本対策をきちんと行うことが大切です。

操作などに不慣れであるとあわててしまうこともあるので、リハーサル、模擬面接を多めにこなしておくと良いでしょう。

原稿:牧野武文(まきの・たけふみ)

テクノロジーと生活の関係を考えるITジャーナリスト。著書に「Macの知恵の実」「ゼロからわかるインドの数学」「Googleの正体」「論語なう」「街角スローガンから見た中国人民の常識」「レトロハッカーズ」「横井軍平伝」など。

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