仕事中に眠気に襲われてしまうと効率が下がったり、ミスが増えたりするので、困っている人も多いのではないでしょうか。眠気は、身体が起こす生理現象ですが、適切な対処方法をとることで、眠気に打ち勝ち、仕事をテキパキとこなせるようになります。
今回は、仕事中に眠気が起こる原因と、眠気を覚ます効果的な方法をご紹介します。
仕事中の眠気を予防する方法もまとめていますので、事前に対策をして、眠気を防ぎ、仕事に集中できるようになるでしょう。
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1. 仕事中に眠気が起こる原因
仕事中に眠気を感じやすいことには、いくつか原因があります。原因を正しく理解し、適切な対策を打つことで眠気を解消できるので、下記の6つのなかから当てはまるものをチェックしてみましょう。
● 睡眠不足
● 私生活の乱れ
● 食後の血糖値上昇
● 職場環境によるストレス
● 薬の影響やホルモンの乱れ
● 不眠症(睡眠障害)
1.1. 睡眠不足
健康な人でも、睡眠不足な状態が続くと日中に眠気が起こります。この症状は、「睡眠不足症候群」と呼ばれており、平日の睡眠時間が3時間〜5時間短いことが特徴です。
睡眠不足症候群の人は、平日の睡眠不足を補うために、休日に9時間〜10時間と長く眠る傾向にあります。平日に十分な睡眠をとることで、仕事中に強い眠気を感じにくくなるようです。
慢性的な睡眠不足は、仕事中に眠気を感じるだけでなく、意欲低下や記憶力減退なども引き起こすので、日頃から十分な睡眠時間を確保するように意識しましょう。
【出典】厚生労働省「睡眠と健康」
【出典】厚生労働省「睡眠不足症候群」
【出典】厚生労働省「睡眠と生活習慣病との深い関係」
1.2. 私生活の乱れ
私生活の乱れが仕事中に眠気を起こす原因の可能性もあります。具体的には、不規則な食事や運動不足、アルコール・ニコチンの過剰摂取により、睡眠状態が悪化します。
● 禁煙・節酒:睡眠の質を向上させる
● 適度な運動:深い睡眠をもたらす
● 規則正しく食事をとる:体内時計が整う
生活習慣を見直すことで、睡眠の質が高まるので、日中に強い眠気に襲われにくくなるでしょう。
1.3. 食後の血糖値上昇
昼食後に強い眠気を感じる場合は、血糖値上昇が関係している可能性があります。血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことです。
食後に血糖値が急上昇すると、糖をエネルギーに変える「インスリン」が分泌されます。インスリンが大量に分泌された反動で、血糖値が急下降し、強い眠気や、倦怠感、イライラを感じやすくなるので注意が必要です。
血糖値の急上昇を抑える食べ物を選んだり、食べ方を工夫したりすることで未然に防げます。
1.4. 職場環境によるストレス
職場で大きなストレスを受けている場合、自律神経のバランスが乱れ、熟睡しづらくなります。夜にぐっすりと眠れていないと、仕事中に強い眠気に襲われる可能性もあります。
自律神経には、交感神経と副交感神経が存在し、無意識の状態でこの2つの神経を切り替えています。
基本的に、日中は交感神経が優位になり、夕方から夜にかけて副交感神経が徐々に優位になります。このリズムがストレスによって乱されることがあり、夜になっても副交感神経が優位にならず、休息をとれなくなるのです。
たとえ眠りにつけたとしても、浅い眠り(レム睡眠)が多くなるため、寝た気がしないという状態になります。
1.5. 薬の影響やホルモンの乱れ
薬の影響やホルモンバランスの乱れによって、眠気が起きている可能性もあります。医薬品の説明書に、運転をしない旨や睡眠作用があるなどの記述がみられる場合は、薬の副作用が原因の可能性があります。
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構の公式サイト「使用中は運転等をしてはいけない一般用医薬品・要指導医薬品の例」にて、睡眠作用がある薬と成分を一覧で確認できるので、気になる方はチェックしてみましょう。
また、月経前〜月経中はホルモンバランスが大きく変動することで、異常な眠気を起こす可能性があります。
数ヵ月間、睡眠日誌をつけることで、月経周期と睡眠変化の周期性に気づけるはずです。月経前には、睡眠の質を高められるように、好きな香りのアロマを焚くなど工夫すると良いでしょう。
【出典】警察庁「薬の副作用と運転について」
【出典】厚生労働省「女性の睡眠障害」
1.6. 不眠症(睡眠障害)
仕事中に過剰な眠気が起きる場合は、「不眠症」あるいは「過眠症」という睡眠障害の可能性もあります。
厚生労働省が公表している「不眠症」によると、一般成人の30〜40%が何らかの不眠症状を有しており、特に女性に多いことが分かりました。
不眠症は、ストレスや身体の病気、心の病気、生活リズムの乱れなど、さまざまな原因が挙げられます。夜に熟睡することができないため、日中に急激な眠気を感じるようです。
【関連記事】「じめじめした季節は睡眠にも悪影響! 湿度指数と睡眠の質の関係」
2. 眠気を覚ます効果的な方法
仕事中に眠気を起こさないように工夫をしても、強い睡魔を感じることがあるかもしれません。そのような時には、眠気を覚ます効果的な方法を試してみましょう。
2.1. ストレッチをする
職場でも行える簡単なストレッチをすることで、眠気が覚める可能性があります。特に過度なストレスを受けている時には、ストレッチをして筋肉の緊張を緩め、血行を促してリラックスをしましょう。
仕事の量が多かったり、人間関係のトラブルを抱えていたりすると、筋肉が緊張してしまい、作業効率が低くなるケースもあります。
座ったままゆっくりと上半身を伸ばしてみたり、深呼吸をしてみたりと、一度身体の力を抜いてみるのも良いでしょう。
また、ストレッチは、下記のポイントを踏まえて行いましょう。
【ストレッチのポイント】
● はずみを付けずにゆっくり伸ばす
● 自然な呼吸を繰り返す
● 10~30秒ほど伸ばす
● 痛みを感じない程度に伸ばす
【出典】厚生労働省「こころの健康気づきのヒント集」
【出典】厚生労働省「ストレッチングの効果」
2.2. 食事に気を付ける
食事に気を付けることで、眠気を防げる可能性があります。具体的には、GI値の高い食品を避けたり、食べ方を変えたりすると、眠気を引き起こす「血糖値の急上昇」を防げるのでおすすめです。
GI値とは、食後血糖値の上昇度合いを示す指標のことを指します。GI値が70以上の食品は、高GI食品、55以下なら低GI食品に分類されます。
GI値数 | 食品 |
---|---|
高GI(70以上) | ● キャンディー ● 上白糖 ● 食パン ● チョコレート ● 精白米 ● コーンフレーク |
中GI(56~69) | ● パン粉 ● パスタ ● アイスクリーム ● かぼちゃ ● 長いも ● 薄力粉 |
低GI(55以下) | ● 玄米 ● さつまいも ● ライ麦パン ● 豆腐 ● 卵 ● フルーツ ● ヨーグルト |
昼食は、高GI食品を避けて、低GI食品を中心にとることで眠気を抑えられるでしょう。
また、朝食を抜くと、昼食を食べた後に血糖値が高くなり、眠気に襲われる可能性があります。仕事中に眠気を起こさないために、なるべく朝・昼・晩の3回に分けて食事をとりましょう。
2.3. カフェインを摂る
カフェインは、適量であれば眠気を解消し、集中力を高める効果が期待されます。仕事中の眠気を感じやすい時間帯に、コーヒーやお茶(緑茶・ウーロン茶)やハイカカオチョコレートなどを摂ると眠気覚ましになるかもしれません。
健康な成人のカフェイン摂取における一日の目安量は400mgです。製品によって異なりますが、コーヒーは一杯あたり60mg〜100mgほどのカフェインが含まれているため、1日2〜3杯までに留めておきましょう。
2.4. ガムを噛む・お菓子を食べる
ガムを噛むことで脳が覚醒し、一時的な眠気覚ましにもなります。
また、ガムを噛むことで緊張感や不安感などを低下させるというデータもあります。眠気のほか、イライラして落ち着かない時にもガムを噛むことで和らぐ可能性があります。
メンソール系の味や匂いがついたキャンディーなども有効だといわれているので、睡魔に襲われそうになったときに口にしてみてはいかがでしょうか。
2.5. 歯を磨く・顔を拭く
国立研究開発法人 科学技術振興機構の「歯磨き行為の積極的休息への応用について」によると、歯磨きをすることで、集中力が向上し、頭がすっきりするという事実が明らかになりました。
歯磨きは「積極的休息」と呼ばれる疲労回復法にあたるため、素早く疲労感を軽減させる効果が期待できます。
また、25度の常温水で洗顔をして、顔を拭くことで一時的な覚醒効果がもたらされます。寝起きで頭がボーっとしている状態における冷水での洗顔は、睡眠慣性の低減に効果的です。
【出典】国立研究開発法人 科学技術振興機構「歯磨き行為の積極的休息への応用について」
2.6. 仮眠をとる
厚生労働省が公表する「健康づくりのための睡眠指針 2014」では、30分以内の仮眠は、眠気の防止や作業効率の改善に効果的だと記載しています。
実際にとある企業では、就業時間中に1日30分までであれば仮眠をしても良いという制度「パワーナップ制度」を導入した結果、業務の効率化を実現し、生産性の向上効果を実感できたことが分かりました。
これらのデータから、仮眠をすると短い時間でも、効率的に疲れを回復できることが見て取れます。ただし、「午後の早い時間帯に30分以内の仮眠」が効果的だとされているので、仮眠時間が長くなったり、16時以降の遅い時間帯になったりするのは避けましょう。
【出典】スマート・ライフ・プロジェクト「質のいい睡眠で、カラダも心も健康に。」
【出典】広島大学大学院総合科学研究科「午後 の眠気対策 として の短時間仮 眠」
【関連記事】「【社会人の睡眠時間】短くなりがちな睡眠時間の中で睡眠の質を高める方法」
3. 仕事中の眠気を予防するには
仕事中の眠気は、原因にあった対策を打つことで防げる可能性があります。「睡魔に襲われてしまい、仕事が手につかない」「眠たすぎて集中できない」と悩んでいる人は、これから紹介する5つの予防法を試してみてください。
3.1. 睡眠環境を改善する
睡眠の質を向上させることで、仕事中の強い眠気を抑えられる可能性があります。まずは下記の睡眠環境の改善に努めてみてはいかがでしょうか。
● 空調・寝具・寝衣により温熱環境を調整する
● 覚醒作用のある光や騒音を遮断
ほかにも、寝る前にカフェインをとりすぎないように気を付けてみたり、睡眠前にストレッチを行ったりと睡眠の質を高めるための行動をとってみましょう。
3.2. 規則正しい生活をおこなう
規則正しい生活を行うと、睡眠の質が向上し、日中に眠気を感じにくくなります。例えば、下記の5つを意識して生活すれば、睡眠への悪影響を防げるでしょう。
● 適度な運動を取り入れる
● 朝・昼・晩の3食しっかり食べる
● 睡眠前の喫煙・飲酒を避ける
● 朝起きたら朝日を浴びる
● 寝る前に布団の上でゲームやスマホの画面を見ない
上記のなかで改善できそうなものや、思い当たる節があれば、ぜひ実践してみてください。
3.3. 食べる順番を変えてみる
食後に眠気を感じやすい人は、血糖値の上昇を抑制することがポイントです。血糖値の急激な上昇を抑えなければならない糖尿病の食事療法として「食べる順番」が注目されています。
野菜や海藻類などの食物繊維から先に食べて、その後に肉や魚といったタンパク質と脂質。最後に白米や果物などの糖質を食べれば、食後の血糖値上昇を抑制できます。
食後に強い眠気を感じる人は、血糖値の上昇による影響である可能性が高いので、明日から食べる順番を意識してみてはいかがでしょうか。
3.4. 専門医に相談する
「寝付きにくい」「熟睡できない」という理由で、仕事中に眠気を感じる場合は、専門医に相談をしてみるのも良いでしょう。また、睡眠時間は十分にとれているのに、日中の眠気が強いという方も、早期的に専門医に相談することで解決する可能性があります。
眠れないことを誰かに相談することで、気持ちが楽になったり、助言を受けることで改善の手立てが見つかるケースもあります。
また、睡眠に関する相談は病院だけでなく、さまざまな相談機関・相談窓口があるので、都合にあわせて利用してみてください。
仕事のストレスが原因で睡眠の質が低下している場合、厚生労働省の働く人の「こころの耳相談」がおすすめです。電話のほか、SNSやメールでも相談することができます。
3.5. シエスタ制度のある企業を探してみる
シエスタ制度とは、就業時間中の休憩が通常よりも長く設定されている制度のことです。
本来シエスタとは、スペインなどで午後の休憩時間を指す言葉ですが、労働生産性向上や健康促進を目指した取り組みとして、日本の企業でも注目されるようになりました。
企業の休憩時間は、45分〜60分が平均的ですが、シエスタ制度が導入されている企業の場合、2〜3時間ほど延長されているため、仮眠することができます。
「仮眠をして仕事の効率を高めたい」「眠気と戦いながら業務をこなすのは限界」という方は、シエスタ制度のある企業への転職を検討してみましょう。
【関連記事】「女性の眠れない原因1位は「ストレス」、"不眠解消"に取り組んでいる人は46.5%」
4. 環境が原因の場合は転職を検討するのもあり
職場でのストレスが原因で睡眠トラブルが起きている場合は、転職をして環境を大きく変えることも視野に入れてみてください。
厚生労働省の「仕事をやめた者の退職理由」によると、転職をした人は、下記のような理由から退職をしています。
● 自分の希望する仕事ではなかったから
● 労働時間が長かった・休暇が少なかったから
● 通勤時間が長かったから
● 人間関係がうまくいかなかったから
● 会社の経営方針に不満を感じたから
● 事業又は会社の将来に不安を感じたから
● 健康がすぐれなかったから
上記のとおり、現職に不満を感じて退職を検討している人は多くいます。「疲れが取れない」「労働時間が長すぎて睡眠時間を確保できない」などで限界を感じている人は、心身の不調をきたす前に転職を検討してみるのも良いでしょう。
また、忙しくて転職活動をする時間がない、あるいは転職を失敗したくないという方は、転職エージェントを利用して効率的に理想の働き方を実現させましょう。
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5. まとめ
今回は、仕事中に襲ってくる眠気の原因と、眠気覚ましに効果的な方法について解説しました。
一時的に眠気を覚ますことは可能ですが、長期的に見ると、睡眠環境を改善したり、生活習慣を整えたりといった予防法に取り組むことも重要です。
毎日、強い眠気がある場合は、身体に負担がかかっている可能性が高いので、専門家への相談、または環境を大きく変えるといった手段を取り、心身の健康を損なわないようにしましょう。
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