2022年7月に行われた参議院議員通常選挙比例区でNHK党から立候補して当選したガーシー氏によって話題になった"アテンダー"の由来である言葉「アテンド」。では、「アテンド」とはビジネス用語としてどのような意味を持っているのでしょうか。今回は「アテンド」という用語がビジネスシーンで具体的にどのように使われるか詳しく見ていきます。
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1.アテンドとは
英語の「attend」から、「世話をする」、「付き添う」などの意味として使われます。
この言葉は、さまざまな業界、さまざまな文脈で異なった意味で使われ、アテンドという言葉だけでは内容を正確に判断できないことがあります。
言葉だけでなく、前後の文脈なども考慮して、総合的に判断することが必要です。
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2.「アテンド」が使用される一般的な場合
ビジネスの現場では、以下のような意味でアテンドという言葉が使われることが多いです。
2.1.上司の出張のアテンド
上司の出張の「アテンド」の場合は、以下のようなものになります。
2.1.1.上司のアテンドは「随行」
上司から「来週の出張にアテンドをしてくれないか」と頼まれた時は、出張に随行することを求められています。
出張先での交渉、折衝は上司が行い、随行者は、上司が目的の業務に集中ができるように、その他のすべてのセッティング業務を担当します。
具体的には、現地までの交通機関の手配、宿泊をするのであればホテルの手配、先方との事前打ち合わせ、現地での案内などを担当します。
2.1.2.上司がアテンドさせる目的を考える
しかし、上司は、交通機関の手配などは自分でもできますし、現地に行くのも自分で行けます。それなのになぜ部下をわざわざ随行させるのか、その意味を考えておく必要があります。
例えば、実際の交渉の場を体験させておきたいという教育的な目的であれば、交渉の基礎資料を事前に読んで理解をしておき、深い学びができるよう準備をしておくことが必要です。
交渉の場でサポートをしてほしいという目的であれば、統計資料や基礎資料をまとめておき、すぐに提示できるように準備をしておくことが必要です。
上司がアテンドさせる目的がよくわからない場合は直接尋ねてもかまいません。
交通機関の手配などの業務は誰でも簡単にできることです。アテンドの目的を考えて行動して初めて、アテンドは意味のある仕事になります。
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2.2.取引先、投資家らを対象としたアテンド
取引先、投資家らを対象としたアテンドの内容は以下の通りです。
2.2.1.外部の人のアテンドは「接待」
取引先や投資家が自社の視察にやってくるので、そのアテンドを命じられることがあります。この場合のアテンドは「接客」です。
移動の手配、宿泊の手配、食事の手配、観光の同行など、取引先、投資家が到着してから帰るまでのすべての対応に責任を持ちます。
相手が外国人である場合、簡単な通訳をすることも必要です。案内中に、自社についての質問をされることもあるので、基本的なことは答えられるようにしておき、回答する権限のない質問に対してはすぐに担当部署に問い合わせできる体制を確保しておくことも必要になります。
また、心地よく自社の施設を見ていただき、好印象を持ってもらうために、途中の空き時間に観光を入れる、相手の食事の好みを把握して喜ばれる食事をセッティングするなど、相手の好みに踏み込んだアテンドも要求されます。
2.2.2.外部の人のアテンドは視察の企画も立てる
取引先や投資家が訪れる目的は、自社との交渉や視察などです。いずれの場合でも、自社にいい印象を持ってもらうことが円滑に目的を達成することにつながります。
そのため、どの自社施設を視察してもらうか、どのような食事を提供するかなども重要なポイントになってきます。
このようなアテンドの計画は、上司とも相談しながら事前に練っておく必要があり、「接待」という言葉だけでは言い表しきれない高度な業務になります。
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3.ホテル業界でのアテンドは「案内業務」
ホテル業界では、アテンドは業務のひとつです。
アテンド業務とはお客さまの案内をすることです。
例えば、フロアスタッフが朝食会場の場所を尋ねられた時、理想はお客さまに付き添って朝食会場までご案内をします。これがアテンド業務です。
ですので、アテンド専門のスタッフがいるというのではなく、清掃や調理などの専門スタッフ以外は全員がアテンド業務を状況に応じて務めます。
4.ブライダル業界でのアテンドは「介添人」
ブライダル業界では「アテンド業務」という職種を募集しています。この場合のアテンドは介添人です。
式中は新郎新婦に付き添い、結婚指輪、マイク、カッティング用のナイフ、キャンドルなど、結婚式のセレモニーに必要な道具を適切なタイミングでお渡しし、次に何をすべきかをご案内し、セレモニーが円滑に進むようにサポートをする業務です。
5.ショールームのアテンドは「接客営業」
一般の小売企業でも「アテンド業務」という職種を募集しています。この場合の多くは、ショールームや展示場の接客営業になります。
お客様をご案内し、商品やサービスに関して説明をし、質問に回答をすることが主な仕事になります。
ショールームの性格上、通常の営業職のように売上を求められることはありませんが、資料請求数、会員登録数などは求められるため、ただの案内係ではなく、成約に結びつけられる営業的な役割も担います。
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6.工場、生産施設でのアテンドは「引率」
生産施設である工場では、ブランドの認知度を上げるために工場見学を行っているところが増えています。
ビール工場やお菓子工場などは休日に家族連れから人気が高く、平日には小学校、中学校の社会科見学の需要があります。
このような工場、生産施設で見学者を引率し、説明をする業務がアテンド業務です。
ブランドの認知度を上げる、理解を深めていただくことが目的であるため、見学者に興味を持っていただく必要があります。
そのため、楽しく説明できるコミュニケーション力が要求される業務です。
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7.交通機関でのアテンドは「接客」
航空機、新幹線、グリーン車のある列車などでは、接客業務を担当するアテンダントを配置しています。
企業により、キャビンアテンダント、フライトアテンダント、グリーンアテンダント、グランクラスアテンダントなどさまざまな名称がつけられています。
基本的な業務は、お客様が機内、車内で快適にすごせるように接客をすることですが、チケットの改札、販売業務なども行い、さらには機内販売、車内販売もするなど業務は多岐に渡ります。
また、万が一の場合は、乗客の安全を確保し、安全に避難誘導する安全保安の役目も担う重要な仕事です。
8.まとめ
アテンドという言葉は、さまざまな業界、さまざまな文脈で異なった意味で使われますが、重要顧客、重要人物の接客を指すことは共通しています。
各ビジネスシーンで高い接客技術を必要とする重要な仕事のひとつです。