
【新入社員の研修】主な内容や質の高い研修にする方法、最近の傾向を解説
定期的に採用活動を行っている企業であれば、毎年新入社員研修を行う必要があります。しかし、昨今の新型コロナウイルスの感染拡大で、これまでのような対面式の社員研修が実施できない企業も多かったかと思います。
新入社員研修は、社員の定着率やパフォーマンスの向上に必要不可欠です。この記事では新入社員研修の取り組みや流れを解説していきます。
【関連記事】「【新入社員の教育】教育担当者が気をつけるべき点、マニュアル作成のポイント」
1.新入社員研修とは
新入社員研修とは、新入社員に向けて社内業務の進め方や社会人として必要な心構えなどを指導する研修です。新入社員研修を実施するタイミングは、入社後や入社の一ヶ月前など、企業によって異なります。
新卒採用の場合は、社会人経験がないため基礎的なことから幅広く研修を行うことが多いです。逆に、第二新卒や中途採用の場合は業務を進めるために必要な手順など、簡易的な研修を行います。
1.1.新入社員研修には、「新卒社員」対象と「中途採用社員」対象の2つがある
新入社員研修には、「新卒社員」を対象にしたものと「中途採用社員」を対象にしたものの2つの研修があります。現在は、新卒採用以外にも、中途採用を通年で行っている企業が多いです。そのため、採用活動と並行して新入社員研修の準備を進める必要があります。
新卒入社・中途入社のどちらも、高いパフォーマンスを発揮してもらうためには新入社員研修は欠かせません。
新入社員研修には、入社後のギャップを防いだり、本格的な業務が始まる前の不安を解消したりする役割があります。研修を充実させることで、社員の定着率やパフォーマンスの向上に繋がります。
1.2.「新卒社員」研修と「中途採用(第二新卒含む)社員」研修の違い
対象が新卒社員か中途採用社員かによって、研修内容が異なります。新卒社員を対象とした研修では、まず社会人としての基礎やビジネスマナーを重点的に研修を行います。
名刺交換・電話対応・来客対応などの基礎的なビジネスマナーから社内業務の進め方まで幅広い内容の研修を行うだけでなく、研修を通じて「社会人になった」という自覚を持ってもらい、仕事をする上で必要な土台づくりをしていきます。
1.3.中途社員を対象とした研修の狙い
中途入社の社員は社会人経験があり、ある程度のビジネスマナーを身につけている場合が多いです。そのため、中途採用の社員には、即戦力としての活躍が求められます。中途社員を対象とした研修では、企業理念・業務の進め方・業界情報などが主な研修内容となります。
また、中途社員向けの研修も、新卒向けの研修と同様、入社後のパフォーマンスや定着率の向上に繋がります。そのため、教育以外にも積極的なコミュニケーションや定期的な面談なども行います。
2.新入社員研修では何を教えるのか
新入社員研修では、社会人としての基礎やビジネスマナーを重点的に研修を行います。主な研修内容は、以下のとおりです。
- 企業理念の理解
- 社会人としての自覚
- チーム連携の重要性
- ロジカルシンキングについて
- 基本的なビジネスマナー
- 業務に必要なスキルの取得
2.1.企業理念の理解
企業理念の理解は、新入社員が企業の一員として業務を進める上で非常に重要です。新入社員に、自社の企業理念を理解してもらうために、研修を通じてこれらの意識のすり合わせを行います。
企業理念・事業目的・価値観・今後のビジョンを伝えることで、新入社員は自身のポジションを理解し業務に対するゴールを設定することができます。また、企業理念を共有することで新入社員の早期離職防止にも繋がります。
新卒採用・中途採用に関わらず、はじめは企業と社員が目指す方向を明確にすることが大切です。
2.2.社会人としての自覚
新卒入社や第二新卒の中には、まだまだ社会人としての経験が少なく、自覚が足りない方もいます。その場合、周りからも学生気分が抜けていない、社会人としてのマナーや考え方をわかっていないと思われてしまいます。
そのような状態で業務を進めようとしても、高いパフォーマンスを発揮することは難しいでしょう。社会人は仕事に対する対価として、賃金を受け取ります。そのため、新入社員でも仕事の責任・時間管理・自己管理など、さまざまなスキルが求められます。
第一線で活躍する人材を育成するためにも、早い段階で社会人としての自覚を持つよう促すことが重要なのです。
2.3.チーム連携の重要性
チームの連携は、業務を進めるためにも非常に重要です。仕事に従事している以上、一人で進める場面は少ないでしょう。特に新入社員であればなおさらです。円滑な業務の遂行には、チームワークが必要不可欠です。
チーム単位で仕事をした経験がない新入社員は、初めての集団行動に戸惑うかもしれません。そのため、研修では「意見の要約・発信」「傾聴力」を重点的に、グループワークなどのディスカッション形式で学びます。
2.4.ロジカルシンキングについて
ロジカルシンキングは、社会人に求められるスキルの一つです。社会人は上司への「報告・連絡・相談」や顧客との折衝をする機会が多くなります。その際に、課題や解決方法を相手に分かりやすく伝える必要があります。
ロジカルとは、「論理的な」という意味を指しています。物事を順序立てて思考することで、ビジネスシーンでも問題解決能力の向上が見込まれるでしょう。
【関連記事】「ロジカルシンキングとは?主な論理展開方法や身に着けるメリット、鍛え方」
2.5.基本的なビジネスマナー
社会人として、基本的なビジネスマナーを身に付ける必要があります。特に、新卒入社の社員は、これまでにビジネスマナーを学んだ経験がない場合がほとんどです。そのため、新卒入社の社員には、来客対応のお辞儀・言葉遣い・電話応対・名刺交換といったビジネスマナーの基本から研修を行います。
【関連記事】「【図解】上座・下座はどこ?~会議室編・居酒屋編・タクシー編~」
【関連記事】「名刺交換の基本マナー!できるビジネスパーソンになるためには」
2.6.業務に必要なスキルの取得
配属された部署によって必要とされるスキルは異なります。そのため、担当する業務が営業・企画・バックオフィスかに合わせて、適した研修を行います。
また、上記のスキルとは別にコンプライアンスやメンタルヘルスの研修も行う場合があります。新入社員は新たな環境に適応するまで、さまざまなストレスを抱えることが予想されるため、しっかりとした研修やコミュニケーションを取ることが重要となります。
近年は社員の不祥事や企業の不正などが増加し、コンプライアンス研修の重要性が高まってきています。コンプライアンスに欠けた行動は、社会的信用を失い大きな損害をもたらします。
そのため、コンプライアンス違反を未然に防ぐためにも、コンプライアンス研修を定期的に行う企業も増えてきています。
【関連記事】「【コンプライアンスとは】法令遵守にとどまらない理由とコンプラ違反の対策」
3.新入社員研修の方法・形態
新入社員研修の教育方法や形態にはさまざまな方法があります。ここでは、研修の方法や形態について6つご紹介します。また、コロナ禍における研修の変化についても解説します。
3.1.職場外で行われるOff-JT
Off-JTとは、「Off-the-Job Training」の略称です。社外の講師に研修を依頼する場合やセミナーなどに参加することを指します。基本的に来客対応・名刺交換・電話応答などの基本的なビジネスマナーを教えます。
また、新入社員以外にも、中堅社員やベテラン社員を対象としたキャリアアップの研修もOff-JTの特徴です。
3.2.職場内で行われるOJT
OJTとは「On-The-Job-Training」の略称です。配属先の現場で実際の業務を進めながら研修を行います。基本的にOJTは、新入社員全体を対象とした新入社員研修を終えた後に配属先で行われます。
座学や全体研修で得た知識を実践し、研修だけでは学びきれなかった内容を覚えられるのがOJTのメリットです。配属先に合わせて必要なPCスキルや業務の進め方を学べます。
3.3.グループワーク
グループワークは新入社員を複数のグループに分け、そのグループごとに課題の解決に取り組みます。グループワークでは、グループ内での役割分担が重要となるため、実際に配属先で働く際の研修として最適です。
また、グループワークやグループディスカッションは、社会人に必要なチームワーク・ロジカルシンキングを深める働きがあります。
3.4.ロールプレイ
ロールプレイは、取引先とのやりとりを想定して、商談の対応について訓練することです。特に営業職に配属された新入社員は、このロールプレイを多く行うと思います。座学で学んだ知識をロールプレイで実践することで、より実際の業務に近い研修が可能です。
電話応対・名刺交換・来客対応などの基本的なビジネスマナーから商談まで、幅広いスキルの研修でロールプレイは効果を発揮します。
3.5.座学
座学とは、研修の受講者が座った状態で講師の話を聞く研修です。古くから新入社員研修では、この座学方式の研修が採用されていました。現在は、講師の話を聞くだけでは集中力の低下が懸念されるため、グループワークやロールプレイと組み合わせて研修を進めます。
3.6.オンライン研修
オンライン研修は、昨今のコロナウイルスの影響により、導入する企業が一気に増えました。講師や受講者が同じ場所に集合する必要がないので、自宅やコワーキングスペースで研修に参加できるメリットがあります。
オンライン研修では、繰り返し使用できる動画やスライドを用いたeラーニングを中心に研修を行います。新入社員研修は覚えることが多いので、受講者は好きなタイミングで繰り返し復習を行いましょう。
3.7.コロナ禍の中での研修の変化
新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの企業が社員研修の方法の変更を余儀なくされました。ソーシャルディスタンスを考慮し、これまで対面で行っていた社員研修を実施せず、オンラインで研修を行うケースが急速に増加しました。今後も企業はオンライン研修で、人材の育成を行うことが増えていくことでしょう。
4.新入社員研修の期間はどれくらい?
新入社員研修の期間は、1ヶ月~3ヶ月の期間を設定している場合が多いです。ただし、この研修期間は、新卒社員か中途社員かによって異なります。
中途入社の場合は既に社会人経験があるため、基本的なビジネスマナーなどは省略するケースが多いです。そのため、中途入社の研修期間は、1ヶ月程度の場合が多いでしょう。
5.変わる新入社員研修
これまでの採用活動は、新卒一括採用が一般的でした。しかし、近年は終身雇用や年功序列などの日本固有の雇用システムが急速に変化しつつあります。
新卒一括採用を廃止し、通年採用やインターンシップなどの採用にシフトチェンジをする企業が出てきています。通念採用が活発になることで、留学生・既卒者・海外人材や中途採用を行いやすくなるメリットがあります。
また、インターンシップの実施は、企業とのミスマッチを未然に防ぐ役割を果たします。企業側にも学生側にもインターンシップに参加するメリットは多いと言えるでしょう。
6.まとめ
新入社員研修は、新入社員に向けて社内業務の進め方や社会人として必要な心構えなどを指導する研修です。また、入社後のギャップを取り除き本格的な業務が開始する前の不安を解消してパフォーマンスの向上させる役割も担っています。研修では、企業について学べるだけでなく、社会人としての自覚やマナーについて学べます。
新入社員研修がどういったものなのか事前に学んでおくことで、より理解も深まります。今回の記事を、ぜひ参考にしてみてください。
この記事をシェアしよう!