【おうち時間の過ごし方】初心者でもできるDIY「塗装テクニック深掘り編」

連載・インタビュー

新型コロナウイルスの影響により、私たちの暮らしは激変し、働き方は会社勤務から自宅で仕事をするスタイルのテレワークが浸透しています。おうち時間が増える中、お部屋の模様替えやインテリアを自分流にアレンジして楽しむDIYが注目されています。

本連載『【おうち時間の過ごし方】初心者でもできるDIY』では、おうち時間を快適にすごせるインテリアなどを簡単なプチDIYで作れるアイテムを紹介しています。

DIYを教えてくれるのは、DIYのテレビ番組の監修やセミナーの講師を務めるなど、多方面で活躍しているDIYアドバイザーの山田芳照さん。山田さんはDIY情報サイト「DIYCITY」も運営しています。

高度なテクニックなどが必要なく、ホームセンターや100円ショップなどで手軽に材料を揃えて誰でも気軽に始められます。

第6回目のDIYは、美しく仕上げるのに欠かせない塗装を深掘りします。これまでの作品の中で何度も登場した塗装は、材料のカットやビスなどを打ち込んで組み立てる作業と同じようにとても重要な作業です。

しかも、塗装を抑えておけば、補修の塗装にも役立ちます。塗装はただ塗ればいいというのではなく、美しく仕上げるためのテクニックがいくつかあります。そのなかでも基本を抑えつつ、DIY愛好者から人気の塗装を紹介します。

このテクニックをマスターすれば、さらにDIYが楽しくなり作品の幅も広がるはずです。

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1.基本編

木工の塗装で最もよく活用されているのが刷毛を使った塗装です。この基本の塗り方を抑えておけば、家具や小物のインテリアなどを美しく仕上げることができます。また、補修の塗り方も同じ手法なので覚えておくと便利です。

■準備するもの

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  • 木工用塗料(ミルクペイント)
  • 刷毛(10号)
  • マスカー
  • ビニール手袋

(1)作業台にマスカーを貼る

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マスカーを貼って作業台を保護し、塗料などの飛散を防ぎます。ビニールテープを引っ張って全体を貼り終えたら、空気を抜きます。

(2)刷毛の抜け毛を防ぐ

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新品の刷毛は毛が抜けやすく、きれいに塗っても塗装面に抜けた毛が付いてしまい、仕上がりに影響が出てしまいます。このようなケースを防ぐため刷毛を手でしごいて浮いた毛を取り除きます。強く引っ張ると、余計に毛が抜けてしまうので注意してください。この他に、刷毛を両手で挟んでくるくると素早く動かして取り除く方法もあります。

■刷毛を選ぶポイント

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刷毛はさまざまな種類がありますが、塗装の目的に応じて使い分けることが大切です。木工家具や雑貨を塗る場合は8?10号を選ぶようにしましょう。刷毛の形状には大きく分けて筋かい刷毛と平刷毛の2種類があります。刷毛の毛質は水性用、油性用、ニス用と異なる3種類があるので塗料にあわせて選んでください。

(3)刷毛を塗料に浸ける

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刷毛の半分くらいまで塗料を浸けます。浸けた塗料が垂れないようにしごいてください。今回は使用する木工用塗料は、初心者でも塗りやすいミルクペイントを使っています。塗装面が大きい場合は、ローラートレーなどの専用容器に塗料を入れます。

■オススメの塗料

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ミルクペイント

森永乳業のミルク原料を使用した天然由来の水性塗料。クリーミーな質感で、伸びがよく塗りやすいのが特徴です。水性で安全性に優れ環境にやさしいのでDIY初心者でも気軽に安全で楽しめます。美しいマットな質感やアンティークな風合いなど、カラーバリエーションが豊富なのでさまざまな表情が楽しめます。

(4)小口を塗る

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はじめに塗りにくいところから塗っていくため、今回は小口から塗ります。刷毛は鉛筆のように持ち、手首のスナップで柔らかく動かします。

(5)平らな面を塗る

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小口が塗れたら木目に沿って平らな面を塗っていきます。下地の木材が見えない程度に均一に塗っていきます。

(6)ドライヤーで乾かす

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すべて塗ることができたら乾燥させます。ドライヤーを使えば、乾燥時間を短縮できるので作業が捗ります。

(7)2回目を塗って仕上げる

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塗装のツヤがなくなったのを確認し、1回目と同じ手順で2回目を塗っていきます。最後にドライヤーで乾かし、乾燥したら完成です。使い終えた刷毛は、すぐに水に浸けてハンドソープなどで洗って乾かしてください。

2.アンティーク風リメイク編

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(Before)

小物入れをペイントでアンティーク風にリメイクします。長い間使い込まれた質感で、塗装が剥がれてひび割れたようなアンティーク風も塗り方で再現することができます。使う塗料は、ミルクペイントから発売されている「クラッキングメディウム」。この塗料を使えば、誰でもおしゃれなアンティーク風の雰囲気に仕上げることができます。

■準備するもの

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  • ミルクペイント(ティキシーブルー、ビンテージワイン、サンフラワーオレンジ、ピスタチオグリーン、クラッキングメディウム)
  • パターンペーパー
  • 木部用塗料(オールドワックス/ジャコビーン)
  • 刷毛2本(10号)
  • メラミンスポンジ
  • スプレーのり
  • マスキングテープ
  • 紙皿
  • ゴム手袋

■オススメの塗料

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ミルクペイント(クラッキングメディウム)

塗膜がひび割れをおこし、長年使い込んだような独特な風合いに仕上がります。新品のものでも塗るだけで雰囲気のあるひび割れしたタッチを再現するので、カントリー調のインテリアなどに活躍します。

(1)マスキングテープを貼る

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丁番などの金具をプラスドライバーで外し、塗料を塗らないところにマスキングテープを貼ります。蓋の表面はフィルムの縁のみにマスキングテープを貼ります。

(2)紙皿に塗料を入れる

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使用するミルクペイントの「フラワーオレンジ」「ビンテージワイン」「ディキシーブルー」の3種類を紙皿に入れます。

(3)下地の色をペイントする

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ミルクペイントをお化粧などで使うメラミンスポンジに含ませて軽くたたくような感じでペイントします。明るい色の「フラワーオレンジ」からはじめるようにします。続いて「ビンテージワイン」と「ディキシーブルー」をペイントしていきます。色が重なってもいいので、下の木材が見えないようにまんべんなくペイントしてください。

(4)乾燥させる

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蓋も同じようにメラミンスポンジで下地の色が塗り終えたら乾燥させます。ドライヤーを使って効率良く乾かしましょう。表面のツヤがなくなるのを目安にしてください。

(5)クラッキングメディウムを塗る

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下地が乾いたらクラッキングメディウムを塗っていきます。クラッキングメディウムは透明のため見えにくいですが、厚塗りしすぎないよう注意しましょう。使用前にはよくかき混ぜてください。

(6)クラッキングメディウムを乾かす

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クラッキングメディウムを乾かします。完全に乾かすと効果がなくなるので、少し粘着感がある程度まで乾かします。粘着感が残った程度に乾いたら2回目を塗っていきます。2回目を塗り終えた後は、同じように乾燥させます。

(7)仕上げ塗り

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完全に乾く前に、上塗りをしていきます。今回ベースの上塗りに使用する塗料は、ミルクペイントの「ピスタチオグリーン」です。刷毛に塗料を浸けて一気に塗るようにしてください。塗った直後はひび割れが少ないのですが、しばらく待って乾燥させるとひび割れが起きてきます。上部が乾燥してひび割れができた部分です。

(8)塗れなかった部分を塗る

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一度に塗りきれなかった時は、刷毛を残った幅に合わせてすばやく塗るようにします。ひび割れをしたところを重ね塗りをしてしまうと、塗料のダマができてひび割れの効果が薄れるので注意してください。

(9)蓋も同じように塗る

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蓋も同じ手順で塗ります。ひびび割れは横塗りだと横方向に、縦塗りだと縦方向にひび割れの変化が起きます。蓋のフレームでひび割れの違いを参考にしてください。

■ポイント

粘着テープを使ってよりダメージ感を演出

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誤って重ね塗りなどして塗料のダマができてしまった場合は、粘着テープを使います。粘着テープで塗装を剥がすとダメージな風合いを演出し、アンティーク感が増します。

(10)金具を取り付ける

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マスキングテープを剥がして、プラスドライバーで丁番などの金具を戻して蓋を取り付けます。

(11)ペーパーをダメージ風に加工する

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パターンペーパーをちぎってダメージ風にします。さらに長い間使い込まれた風合いをだすために、ウエスでワックスを塗っていきます。

(12)完成

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パターンペーパーにスプレーを吹きかけ、蓋のフィルムに貼り付けたら完成です。塗装だけでここまで使い込んだアンティークの風合いを演出することが可能です。

3.レンガ風リメイク編

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(Before)

無機質なアルミや金属なども塗装でガラリと印象を変えることができます。今回はブリキ缶を使って立体的なレンガ風にリメイクします。金属で使い込んだサビの質感を表現できるミルクペイントの「プラスターメディウム」「ラストメディウム」を使って、塗装だけでリアルなレンガ調の風合いに仕上げます。

■準備するもの

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  • ミルクペイント(マルチプライマー、プラスターメディウム(漆喰風)、ラストメディウム(錆風)/ダークブラウン、レッドブラウン)
  • パターンペーパー
  • 刷毛(10号)
  • 千枚通し
  • 筆(2本)
  • パレットナイフ
  • 手袋
  • 紙皿

■オススメの塗料

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ミルクペイント(ラストメディウム)

缶やブリキなどの金属のサビを表現することで、簡単に使い古したアンティーク風に仕上げることができます。こげ茶のサビを表現するダークブラウンと、赤茶のサビを表現するレッドブラウンのセットで発売されています。

(1)マルチプライマーで下塗り

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アルミは塗料がのりにくいので、ミルクペイントから発売されている「マルチプライマー」を刷毛で下地に塗り、塗料との密着性を高めるようにします。塗り終えたら約30分ほど乾燥させてください。

(2)プラスターメディウムを塗る

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乾燥を確認できたら、紙皿にミルクペイントの「プラスターメディウム」を取り出し、パレットナイフで上塗りをしていきます。「プラスターメディウム」は、漆喰のような質感でさまざまなテクスチャーが表現できます。1回目は塗るようにしてください。

(3)ドライヤーで乾かす

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全体を塗れたら「プラスターメディウム」が固まる程度に乾燥させます。ドライヤーを使う場合は、内側に温風をあてて乾かすようにします。

(4)2回目を塗る

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固まるのが確認できたらパレットナイフで2回目を塗っていきます。2回目は厚めに塗ってレンガのベースを作り込みます。

(5)レンガの目地を作る

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2回目の塗りを終えたら乾燥して固まる前に、千枚通しで「プラスターメディウム」を掘ってレンガの目地(継ぎ目)を描いていきます。レンガが積み上がっているように見せるには、目地をくっきり出るように描いてください。

(6)レンガをペイントする--1

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紙皿に「ラストメディウム/ダークブラウン、レッドブラウン」の2種類を取り出します。筆を使って絵の具を塗るような感覚で、レンガの風合いを塗装します。はじめにレッドブラウンから塗るようにします。

(7)レンガをペイントする--2

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レッドブラウンを塗り終えたら、もう1本の筆でダークブラウンを塗ります。この2色でレンガにコントラストを付けて使い古した風合いを表現します。

(8)もう一度プラスターメディウムを塗る

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乾いたのを確認した後、もう一度「プラスターメディウム」を上から塗ります。全体を塗るのではなく、レンガが崩れている表現になるように塗ります。

(9)ペーパーを貼る

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手でちぎったパターンペーパーを「プラスターメディウム」を塗ったところに貼り付けます。ペーパーが剥がれないように、パレットナイフで「プラスターメディウム」を伸ばして壁に貼ったポスターが剥がれたような演出にします。

(10)完成

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レンガの塗装の上から「プラスターメディウム」を少し足すと、より使い込んだ雰囲気をかもし出します。十分に乾燥させて乾いたら完成です。

4.まとめ

塗装のテクニックを身につけておけば、100円ショップなどで手に入るリーズナブルな小物類も劇的に変身させて高級感な印象に仕上げることができます。

ここで紹介した塗装は、まだほんの一部。木材以外にもガラスやアルミ缶の他に、慣れてくれば壁の模様替えも塗装で可能になりバリエーションが広がります。

塗装の魅力にはまれば、DIYの創作の楽しさも倍増します。ぜひ塗装のテクニックを身につけて自分だけのオリジナルアイテムを楽しんでみてください。

DIYアドバイザー 山田芳照さん

DIY情報サイト「DIYCITY」(https://benfranklincrafts-shop.com)の運営をはじめ、DIYアドバイザーとしてテレビ番組の監修やホームセンターでの社員研修、DIY教室の企画運営など幅広く活動する。著書『これならできる!DIYでリフォーム&メンテナンス』(発行元:ナツメ社)など多数。

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