ビジネスシーンでは、本音と建前をうまく使い分けることができれば、良好な人間関係を構築できます。
今回は、ビジネスにおける「本音」と「建前」の意味や違い、使い分けるコツや注意点について解説します。
本音と建前を使い分けることで得られるメリットも解説しますので、利点をよく理解し、使いこなせるようになりましょう。
1. 「本音」と「建前」の意味や違い
「本音」と「建前」はセットで使われることの多い言葉ですが、意味合いは大きく異なります。ここでは、本音と建前の違いと意味について解説します。
1.1. 本音の意味
本音は、「嘘偽りのない本当の気持ち」「本当の意向・意思」のことです。
本音は、本当は口にしない方が良いようなネガティブな感情なども含まれます。相手の気持ちを汲まずに、本音を言ってしまうと場の雰囲気を悪くしたり、相手の心に傷をつけてしまう可能性があります。
ビジネスシーンや転職の面接などでも、本音と建前をうまく使い分けなければいけない場面があるため、本音を伝える際は注意しましょう。
1.2. 建前の意味
建前は、「表向きの意見・考え」のことです。噓偽りのない本当の気持ちを表す「本音」の対義語であり、本心を隠して表向きの言葉を伝えることを意味します。
日常生活やビジネスシーンにおいても、相手を尊重するために「建前」をうまく取り入れると、円滑なコミュニケーションを図ることができるでしょう。
例えば、商談で取引先から引き受けるのが難しい金額を提示された時に、その場で「引き受けられません」と断らず、「一度持ち帰って検討します」「上長に確認してから返答いたします」などと建前を使って相手を一旦受け入れます。
また「嘘」と混同されやすい言葉ですが、嘘は「事実ではない・偽りを伝える」といった意味で、相手をだます気持ちが含まれる場合があります。相手を尊重し、傷つけないために使う言葉が「建前」だととらえると良いでしょう。
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2. 建前を使う理由
本心を隠す「建前」は、どうして多くの人に使われるのでしょうか。ここでは、建前を使う理由を4つにわけて紹介します。
2.1. 相手に不快な思いをさせないため
難しい提案であっても、その場ですぐに断ることは、相手にとって失礼にあたったり、相手を否定しているような気持ちにさせる場合もあります。
ありのままの気持ちを伝えることで、相手に不快な思いをさせる可能性もあるので、建前を使って時間を置いてみるのも良いでしょう。
ビジネスシーンにおいては、「上長に確認します」「社に持ち帰って検討します」などと伝えると良いかもしれません。
2.2. 人間関係を良好にするため
相手の気持ちを尊重しながら、言い回しや表現を選択していくことで、良好な人間関係を築けます。
例えば、上司から「今週末、ゴルフに行こう」と誘われた時に、「休日まで職場の人と一緒にいるのは嫌です」や「行きたくありません」など、気持ちをはっきりと伝えてしまうことで、相手が嫌な気持ちになってしまったり、その場の雰囲気が悪くなったりしてしまいます。
「○○の予定が入っているのでその日は難しいです」などと建前を使えば、上司の気持ちを尊重しながら断ることができます。
ここ数年では、価値観の多様化が進み、さまざまな意見が受け入れられる社会へと変化しつつあります。自分とは異なる意見や考えを持つ人との関係性をよくするためにも、相手が受け入れやすい建前が必要だと言えるでしょう。
2.3. トラブル回避のため
建前を使って気持ちを遠回しに伝えることで、トラブルを回避できる可能性があります。
双方が本音で考えや思いを伝えると、意見が対立し、トラブルが大きくなることもあるでしょう。
建前を使うことで、相手に不快な思いをさせず、その場を穏便に済ませられるケースもあります。
2.4. 業務や物事を円滑に進めるため
建前を使うことで業務や物事を円滑に進めることができます。
例えば、取引先に交渉をする場面で「利益率を上げたいから、1件あたり○○円にして欲しい」などと言ってしまうと、契約が破棄される恐れもあります。
また、会社に退職意向を伝える際に、「上司との相性が合わないから」「年収が低いから」などと伝えるのではなく、「○○のスキルを高めたいから」というように前向きな建前を言った方が良いでしょう。
このように、相手が納得できる建前を言うことで、自分の希望する方向に話を進めやすくなるのです。
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3. 建前の使い方の例
ビジネスシーンにおける建前の使い方を場面ごとに紹介します。謝罪するときや、お礼をいうとき、断る時など日常的に遭遇することが多いものをピックアップしているので、言い回しや表現を覚えておくと役立つでしょう。
3.1. 謝罪する時
ビジネスパーソンとして、仕事を円滑に進めるには、適切な謝罪方法を知っておく必要があります。
自分には非がない場合や、相手または部下などがミスをした場合であっても、建前として丁寧に謝罪しなければならないこともあります。
まずは、反省の意思を込めて「申し訳ございません」「失礼しました」などとお詫びの言葉を発することが大切です。次に対応策や代替案を伝え、経緯を説明します。
最後に二度と同じことを繰り替えさないように、今後の対策まで伝えると相手も納得してくれる可能性があります。
例)
● 申し訳ございません
● 失礼しました
3.2. お礼をいう時
相手の気持ちを汲んでお礼をいうシーンは、日常的によくあるかと思います。
心から有難いと思えない場合であっても、建前を使って喜びや感謝の気持ちを伝えましょう。
仮に相手の行動が迷惑に感じた場合でも、自分に対する好意に感謝して、お礼を伝えると気持ちを込めることができるかもしれません。
例)
● ありがとうございます
● 心より御礼申し上げます
● 重ねてお礼申し上げます
● 大変感謝いたします
3.3. 業務や案件で受けるのが難しい時
ビジネスシーンでは、引き受けることが難しいと分かっていても、その場ですぐに断らず建前を使って先延ばしにすることもあります。
その場ですぐに断ると、相手が否定されているような感覚になり、良好な関係を築きにくくなるかもしれません。
今後の取引や業務に影響がでないようにその場を丸く収めるための建前を使いましょう。
例)
● 検討させていただきます
● 上長に確認いたします
3.4. 誘いを断る時
上司や同僚、部下、顧客、取引先などに誘われることもあるでしょう。相手を不快にさせたくない、または今後の関係性のことを考えて、誘いを断れずにいる人もいるかもしれません。
しかし建前を使えば、相手を尊重しつつ、スムーズに断ることができるので、以下のフレーズを覚えておきましょう。
例)
● お誘いをいただき恐縮ですが、今回は○○があるので遠慮させてください
● お声がけいただきありがとうございます。 大変光栄なのですが、今日は~~のため参加を見合わせさせていただきます
● またお声がけいただけると嬉しいです
● 行きたかったです
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4. 建前ばかりは注意が必要
時には、建前ばかりではなく、本音と建前を使い分ける必要があります。
ここでは、建前ばかり使うリスクと、本音と建前を使い分けるコツについて解説します。
4.1. 本音と建前の使い分けが重要
建前を使い過ぎると、相手との距離がなかなか縮まらない可能性もあります。相手から「建前しか言わない」「本心はどう思っているのか分からない」と思われる恐れもあるので、不信感を与えないように本音と建前を使い分けましょう。
また、相手の気持ちだけを最優先にして、建前を使い過ぎると本心に気づかれなくなり、自分を追い込んでしまう可能性もあります。状況に応じて本音もやんわりと伝えるようにしましょう。
4.2. 建前だけでは仕事がスムーズにいかないことも
ビジネスシーンにおいては、建前だけでは仕事がスムーズに進まないケースもあるので注意しましょう。
例えば、期日が迫っているのに、建前を使って「1人で対応できます」などとフォローを断ってしまい、期日を厳守できなかったといったリスクもあります。
ビジネスにおいてはスピード感が重要になるので、建前ばかり言って対応に遅れが生じた場合、取り返しのつかないことになるかもしれません。
期限が設けられている、あるいは迅速な対応が求められる場合には、建前を使わずに本音を使うように意識してみましょう。
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5. 相手の建前を見極めることも大事
自分自身が本音と建前をうまく使い分けて、仕事を円滑に進めることも大切ですが、相手の建前を見極める力も必要だと言えます。
相手がすべて本音で話してくれていると思い込まずに、「もしかすると建前かもしれない」と考えて情報を整理しなければなりません。
例えば、交渉をした際に、相手から「検討します」「上長に確認します」と伝えられた場合、遠まわしに断られている可能性もあります。
相手の状況を見て、まずは一度、その後どうなったかを確認してみましょう。その時に同じように「検討します」などの回答であれば、建前であると認識したほうがいいでしょう。
そのため、「○○の件ですが、いつ頃ご回答いただけますか?」「ご検討いただけましたか?」などと、回答を何度も求めるようなことは控えた方が良いかもしれません。
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6. まとめ
本心を隠して表向きの意見を伝えることを「建前」、本当の気持ちを「本音」といい、本音と建前の関係性は「対義語」にあたります。
本音だけを伝えてしまうと、相手を不快な気持ちにさせたり、トラブルにつながり、業務や物事を円滑に進められなかったりする可能性があります。
場の空気や状況、会話する相手にあわせて、建前を取り入れることで、相手を尊重でき、良好な人間関係を築けるでしょう。
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