初対面の相手と知り合う機会が増える季節です。ビジネスでは、面会する相手や出会いのタイミングを自分の都合だけで選ぶことはできません。できれば、知り合う相手に好印象を持ってもらいたいですよね。そんないま、初対面から好印象を持たれる「雑談力」というスキルが注目されています。(Misa)
初対面からの会話が苦手という人は多い
ビジネスでは目的を達成するために、初対面の相手とコミュニケーションをとり、信頼関係を築くことが不可欠です。しかし、初対面の相手との会話が得意ではない、むしろ苦手という人が、ITエンジニアにも多いようです。さらに、SNSつながりの交友関係に慣れた若い世代には、よりハードルが高く感じられることもあるでしょう。SNSから始まる人間関係は、SNS上でコミュニケーションを重ねてからリアルで対面するため、初対面のときにはすでに"知っている人"になっていることが多いからです。
こうした背景があってでしょうか、ビジネススキルとして「雑談力」が注目されています。雑談力とは文字どおり、世間話などの、ビジネスの用件ではない話、すなわち"雑談をする力"です。雑談を通じて、互いによく知らない相手との共通項や、双方の人となり、価値観などをうかがい知ることができます。
好印象を与える雑談のコツ
苦手意識を持つ人は「雑談といわれても、何を話せばよいかわからない」と思われるでしょう。しかし、難しく考える必要はありません。雑談の狙いは、会話を通じて楽しい気分を共有することです。話し好きの相手には聴き上手になり、口が重い人には気持ちよく聞ける話題を提供するのが雑談上手です。特別な話題やウケるネタを用意できなくても大丈夫です。相手の趣味や特技がわかるならそれについて教えてもらえばよいですし、情報がなかったら、相手の会社周辺のスポットやランチの美味しいお店などを聞いてみるのもよいでしょう。
気楽に話せる話題なら、まずは何でもよいのです。話題よりも重要なのは、誠実に相手に向き合うことです。相手の話を素直に聞き、嘘やごまかしのない会話を心がけましょう。知ったかぶりやいい加減な発言もNGです。そして、人は自分が話したことを覚えていてもらえると嬉しく感じるものです。次の機会で、前に聞いた話題を発展させて提供できると、好印象につながります。しかし、ダラダラと雑談を長引かせるのもよいことではありません。アポイントの時間内でスッキリ締めくくることも大切です。
- 相づちやうなずき、ボディアクションで話を聞いている姿勢を見せる
- 露骨なヨイショやいい加減な相槌は厳禁
- 相手の話を覚えておき、機会があれば話題にあげる
- タイミングよく、終わらせる
雑談でもいい加減な対応はNG
雑談は相手を知り、距離を縮められる絶好の機会です。せっかくの機会で「ウケ」をとることを狙いすぎ、過剰な自慢話や非常識な武勇伝を披露した結果、相手に不信感を抱かせたり、嫌われてしまったりといった笑えない事態もありえます。ビジネスの本題ではない雑談にも、誠実で良識ある社会人としての振る舞いが大前提です。雑談では、商談そのものよりむしろ、個人の人間力が露呈しやすくなりますので、要注意ともいえます。
しかし、雑談を通じて、互いの関心事や価値観について、共感できるポイントを発見できれば、相手との距離を縮め、信頼関係を築く第一歩になります。いくつかの話題を経て、違いもあるなかから、同じところを見つけられると良いですね。
原稿:Misa
ITベンチャーで企画、人材開発、広報などを経て独立。現在はコンサルタント、ときどきライター。ライターとしては、IT系以外、アニメ・マンガ、車から美容・健康まで何でもチャレンジ中。