東京商工リサーチがこのほど発表した、2023年の「夏季賞与に関するアンケート」調査によると、約3社に1社が前年夏よりボーナスを増額すると答えたことがわかりました。
(※もしかしたら仕事頑張りすぎ!? ... そんな方におすすめ『仕事どうする!? 診断』)
【関連記事】「夏・冬のボーナス支給はいつ? 会社員と公務員の平均支給額や引かれる額の計算方法を解説」
調査は2023年6月1日~8日、全国の大企業および中小企業を対象にインターネットで行われ、4,992社(大企業617社、中小企業4,375社)から有効回答を得ました。
1.今夏の賞与(一時金)の支給見通し
最初に、今夏の賞与(一時金)の支給見通しについて前年比を尋ねると、「増加」は約3社に1社の32.5%、「減少」は12.2%と、「増加」が20.3ポイント上回りました。
ただ、最多は「横這い」(55.1%)で、半数以上の企業で前年と同水準の見通しとなりました。
規模別では、「増加」は大企業が36.6%、中小企業が32.0%と、大企業の方が4.6ポイント多いことが判明しました。
(【画像出典】東京商工リサーチプレスリリース)
業種別にみると、「増加」の割合が最も多かったのは「水運業」(81.8%)で、円安を背景に好調な業績が続いている状況が反映される結果に。以下、「各種商品卸売業」(57.6%)、「宿泊業」(55.5%)、「その他の生活関連サービス業」(52.6%)と続き、コロナ禍からの回復が進む宿泊業や旅行業なども、半数以上が前年を上回りました。
反対に「減少」した業種は、「映像・音声・文字情報制作業」が35.7%で最多。次いで「情報通信機械器具製造業」(26.9%)、「業務用機械器具製造業」「非鉄金属製造業」(ともに25.9%)と、上位10業種のうち製造業が7業種を占めました。
【関連記事】「【ボーナスの査定期間とは】査定前に退職を申し出る場合の注意点なども解説」
今の仕事、会社がつらい...無料で相談できる転職エージェント「マイナビエージェント」に相談してみる。
2.増加率、「10%以上20%未満」が最多
次に「増加」と答えた企業(1,085社)を対象に増加率を調査。前年からの「増加率」を10%ごとのレンジに分けると、「10%以上20%未満」(36.5%)がトップ。次いで「10%未満」(27.2%)、「20%以上30%未満」(15.5%)と続きました。
(【画像出典】東京商工リサーチプレスリリース)
【関連記事】「夏ボーナスの使い道、例年トップの"貯金"減・"外出関連"増--円安・物価高はどう影響!?」
3.増加理由、1位「物価高へ対応するため」
増加の理由については、1位「物価高へ対応するため」(57.4%)、2位「業績好調のため」(53.8%)、3位「人材確保のため」(48.2%)、4位「賃上げ機運が強いため」(41.0%)となりました。
規模別では、「業績好調」は大企業が61.2%だったのに対し、中小企業は52.6%と、8.6ポイントの差がつく結果に。一方、「物価高への対応」は大企業が50.2%、中小企業は58.5%と、中小企業が8.3ポイント上回りました。
(【画像出典】東京商工リサーチプレスリリース)
【関連記事】「夏のボーナス、新入社員平均は大卒で8万9,334円--産労総合研究所調査」
4.まとめ
東京商工リサーチは今回の調査結果について、「同時に実施した『業績動向』に関する企業アンケートでは、約4割(37.8%)の企業が前年同月と比べて減収だった」。
「業績の二極化が加速するなかで、業績改善が遅れ、物価高への対応も迫られる企業は、賞与増額などのコストアップの影響がさらに深刻さを増すことも懸念される」と分析しています。
(【記事出典】東京商工リサーチ2023年「夏季賞与に関するアンケート」調査プレスリリース)
(記事執筆:御木本千春)