社会人になると上司や取引先にお歳暮を贈ることもあるかと思いますが、では、お歳暮はいつまでに贈ればいいのでしょうか。今回は、お歳暮を贈る適切な時期に加え、喪中の人にお歳暮を贈ってもいいのか、贈るのを避けたほうがいい物などについて解説します。
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1.お歳暮はいつまでに贈ればいい?
12月20日までに贈るのが原則とされています。
お歳暮の習慣のルーツは、お正月に先祖の霊を迎えて祭る「御霊祭り」のお供え物に使う鮭や数の子を用意し、これを近所や親戚にもお裾分けするという習慣だと言われています。
そのため、お正月前にはお歳暮を届ける必要があります。
ただし、現代は年末に休暇を取り、家族旅行をする家庭も多いため、20日前後までには到着するように手配をするのがマナーです。
お伺いをし、手渡しをするのであれば、正月の御霊祭りに間に合えばいいことになりますが、年末は何かと慌ただしいため、やはり20日前後までにお伺いをするのがマナーです。
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2.お歳暮はいつから贈ってもいい?
12月13日以降とされていますが、最近では11月下旬から贈ることも多いようです。
12月13日は「正月事始め」と呼ばれ、この日から煤払い、松迎えなどの正月の準備を始めます。
お歳暮は、お正月の御霊祭りのお供物なのですから、正月の準備を始める事始め以降に贈るのが正式なマナーです。
しかし、最近では配贈が混雑するなどの理由で、11月下旬からお歳暮を贈る習慣が広まっています。
遅れることは相手を軽んじることにつながりマナー違反ですが、早めであれば問題はありません。
早め早めに行動をして、12月第1週か第2週に到着するように手配をするのがベストです。
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3.遅れてしまった場合はどうしたらいい?
うっかりして、12月20日までに贈れなかった場合はどうしたらいいのでしょうか?
3.1.年内に到着すれば問題は起きない
12月20日に間に合わなくても、お歳暮はお正月の準備のためのものなので、年内に到着をすれば問題ありません。
しかし、年末は家族そろって旅行に行く、実家に戻るなど、不在にすることが多くなります。
お歳暮を贈りたい方がそのような習慣を持っているのであれば、年末のお歳暮はかえって迷惑になってしまいます。その場合は、別の方法を取ります。
3.2.1月7日までは「お年賀」として贈る
年末に届けるのが難しいという場合は、1月の第1週に届くように手配をして、のし紙を「お歳暮」ではなく「お年賀」に変えて、新年のご挨拶として贈ります。
なお、関西では1月15日までが「松の内」ですので、この期間に贈る場合は「お年賀」として贈ります。
3.3.1月8日から2月4日
お年賀の時期をすぎてしまっても、立春までの期間は「寒中お見舞い」として贈ることができます。
なお、目上の方に贈るときは「寒中お伺い」とへりくだった表書きにしておくのが無難です。
4.喪中の人にお歳暮を贈ってもいい?
忌中(一般的には49日法要まで)でなければ問題ないでしょう。お歳暮は、正月に先祖の霊を迎えて祭る「御霊祭り」のお供え物が起源なので、喪中の家に贈ることは問題ないでしょう。
ただし、配慮すべきことが2つあります。
4.1.忌中と松の内の間は贈らない
喪中は1年間ですが、49日法要が済むまでの間は忌中となり、この期間にはお歳暮は贈らないようにします。忌中の間は、ご家族は心痛が深く、なにかと忙しいため、他のことで煩わせないようにする配慮です。
また、忌中に贈られた贈り物は香典として扱われることになります。
忌中の期間をすぎてからお歳暮を贈るようにし、お歳暮の期間をすぎてしまうようであれば、「寒中お見舞い」として贈るようにします。
また、忌中明けが松の内にあたっていても、その時期に「お年賀」として贈るのは礼を欠くことになります。松の内がすぎてから「寒中お見舞い」として贈ります。
これは相手が忌中であるときばかりでなく、自分が忌中の時もお歳暮は贈らないようにします。
4.2.のし紙を使わず、無地または短冊にする
お歳暮ののし紙は、一般に紅白の水引、赤色が使われた熨斗(のし)が使われるのが一般的です。
また水引は、端が切れている「結び切り」が使われています。
これは「一度切りで繰り返さない」と意味を表しているという考え方があります(地域によって異なります)。
このおめでたい配色、水引が喪中の相手にとって失礼になることがあります。
そのため、のし紙を使わず、無地のかけ紙に直接「お歳暮 名前」と書くか、短冊に書きます。
これは相手が喪中の時だけでなく、自分が喪中の時も同様にします。
(一般的なお歳暮ののし紙。喪中の場合は、紅白の色彩や水引の形が失礼にあたる可能性もあるため、無地の包み紙に直接「お歳暮 名前」と表書きする)
5.お歳暮として贈るのを避けたほうがいいものとは?
お歳暮として贈るには避けたほうがいい物がいくつかあります。
お歳暮は伝統的な儀礼であり、相手への感謝の気持ちを表すものですから、たとえそれが古い考え方にもとづいたものであっても、相手を不快にさせるのでは意味がなくなります。
特に、お歳暮は目上の方に贈ることが多いため、古い伝統であっても尊重をする必要があります。
5.1.下着類
直接肌に身につける衣類は、相手に対して「生活が苦しい」「施しをする」という意味が出てしまいます。
5.2.商品券などの金券類
お歳暮に限らず、贈り物は価格をはっきりとさせないのが相手に対する配慮です。商品券などは金額が明確になってしまうため、「生活が苦しい」「施しをする」という意味が出てしまいます。
5.3.ハンカチ
ハンカチは、日本語では「手巾」(しゅきん)と言い、これは「手切れ」とも読めるため、縁を切るという意味が出てしまいます。
5.4.刃物類
はさみなどの刃物類も「縁を切る」という意味が出てしまいます。
5.5.時計や文房具
時計や文房具は勉学に使うもので、「もっと勉学に励みなさい」という上目線の意味が出てしまいます。
5.6.カバン類
カバン類は通勤、通学に使うもので、「もっと仕事や勉学に励みなさい」という上目線の意味が出てしまいます。
5.7.はきもの、マット類
はきものやマット類などは、「踏みつける」という意味が出てしまいます。特に室内履きのスリッパなどは贈りがちであるので注意が必要です。
6.お歳暮をうまく贈るコツは?
お歳暮を贈る対象が、ご近所さんや親類であった頃は、自分でお歳暮を届け、年末のご挨拶をするのが一般的でした。
しかし、現代社会では、お世話になった人や親戚が近所に住んでいるとは限らず、百貨店などに注文をして、宅配をしてもらうのが一般的です。
このお歳暮の業者を選ぶときに、価格だけで選ばずに、多くの人が知っている事業者を選ぶことが、うまくお歳暮を贈るコツになります。
価格は割高になるかもしれませんが、贈られた方は大事に思われているという印象を持つことになります。
また、お歳暮にまつわるさまざまなマナーについても熟知をしているため、贈るべき商品や喪中の場合など、相談をすればきちんと対応をして、失礼のないお歳暮を届けてくれます。
特に、お歳暮のマナーは地域によってもさまざまな違いがあります。地元密着の業者はこのようなことまで配慮をしてくれます。適切な業者を選ぶことが、お歳暮を成功させる第一歩になります。
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7.まとめ
お歳暮は12月20日前後までに贈るのがマナーです。遅れた場合は、お年賀、寒中お見舞いなどとして贈ります。
また、喪中のご家庭に贈ることは問題ありません。ただし、その場合は、忌中と松の内の間を避ける、のし紙に気を配るなどの配慮が必要になります。
お歳暮のマナーは地域によってさまざまです。地元の事情をよく知っている百貨店などの業者に依頼をするのが成功のコツです。