【年末調整の保険料控除とは】控除の種類、税負担が軽くなる仕組みを解説

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生命保険や地震保険などの保険に加入し保険料を支払っている人は、所得控除を受けることができ、税負担が軽くなります。ただし、控除を受けるには年末調整などで申告が必要です。また、保険の種類によっては控除限度額が設定されており、加入している保険の種類によって控除される金額が異なってきます。勤務先の企業から年末調整の連絡が来る人も多いこの時期、保険に入っている人は知っておきたい保険料控除の仕組みについて解説しましょう。

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1.そもそも、保険料控除って何?

年末調整の保険料控除とは、加入している保険の内容や支払った金額を年末調整で申告することで、1年間に支払った保険料の一部または全額が所得控除される制度です。

保険料控除には大きく「生命保険料控除」「地震保険料控除」があります。年末調整の書類には各控除の記入欄があり、必要事項を記入することで、控除を受けることができます。以下では、それぞれの控除の詳細や控除額、書類への記入の仕方などを見ていきましょう。

2.保険を契約した年で控除額が変わる!? 生命保険料控除

生命保険料控除は、「生命保険」「介護医療保険」「個人年金保険」の3種類の生命保険ごとに控除額が決まっています。それぞれ払った年間保険料を申告することで、最大で12万円が所得控除されます。

生命保険料控除でまず注意しないといけないのは、保険契約を締結した年によって扱いが変わる点。読者の皆さんのほとんどは、契約締結が平成24年1月1日以降だと思いますが、その場合は「新契約」呼ばれ、控除額は以下のようになっています。

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さて、ここで悩むのは、自分が加入している生命保険がどの分類に属するかということ。ちょっとわかりにくいのですが、「一般生命保険料」というのは、主に死亡保険のことで、終身保険、養老保険、収入保障保険、定期保険などの保険料がここに含まれます。

死亡保険ですと、人によっては、月1万円程度の保険料を払っているよ、といったこともあるかもしれません。ただ、保険料控除額の上限額は年4万円。1万円×12カ月で12万円支払っていても、月保険料が5000円で5000円×12カ月で6万円を支払っていても、控除される金額は4万円で同額となります。

「個人年金保険料」というのは、名前のとおり、個人年金の保険料です。円建てだけでなく、もちろん外貨建てでもOKです。名前が似ていますが、確定拠出年金(iDeCo)などは、生命保険ではありませんので、間違えないようにしましょう。

「介護医療保険」というと、自分には関係なさそうに見えますが、医療保険、ガン保険、介護保険、就業不能保険などがこれに含まれます。もっとも多くの人に関係あるのは、この分類かもしれません。ただ、保険料が3000円であれば、3000円×12カ月で3万6000円ですから、上限4万円以下ということで全額控除になる人も多いかもしれません。

10月から11月に生命保険料控除証明書が届いていると思いますので、分類や年間保険料は証明書を確認して、年末調整の書類に書き込むようにしましょう。

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3.地震保険料控除や他にも控除を申告できる!

生命保険料控除以外の3つについても確認していきましょう。

(1)地震保険料控除

地震などによる損害を補償する保険や共済の保険料の一部または全額が控除される制度です。貸している家などを対象にした保険契約の場合は控除を受けられず、自分や自分と生計を一にする配偶者、その他親族が所有し住んでいる家や、生活に必要な家具等を対象にした保険契約に限られる点に注意が必要です。

控除額は、支払った保険料が50,000円以下なら全額、5万円を超える場合は一律5万円。また、平成18年の税制改正で平成19年分から損害保険料控除が廃止されたことの経過措置として、一定の条件を満たす平成18年12月31日までに締結した長期損害保険契約に関しては、最大1万5000円までの控除が受けられます。

生命保険料控除と同様に、申告には書類への必要事項の記入と控除証明書が必要です。

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(2)社会保険料控除と小規模企業共済等掛金控除

自分が会社員であっても、扶養している家族・親族の国民年金などを支払った場合、その社会保険料を申告することができます。申告時には、必要事項を記入した書類とともに、日本年金機構や国民年金基金から届く「社会保険料控除証明書」を提出する必要があります。

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最近関係する人が増えているのが、「小規模企業共済等掛金控除」です。先ほど少し紹介したiDeCo(個人型確定拠出年金)のこの項目で申告することで、保険料控除と同じように税金を戻すことができます。これは国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が発送されてきますから、その書類を年末調整の申告書と一緒に提出します。例外として、企業が掛金を把握している企業型確定拠出年金(企業型DC)に関しては、特に手続きは必要ありません。

4.まとめ

面倒そう・難しそうと感じてしまいがちな年末調整の保険料控除の申告ですが、概要を理解し、必要な書類を用意すれば、想定していたよりすぐに終わるはずです。税負担を軽くするせっかくの制度を有効活用していきましょう。

原稿:回遊舎(かいゆうしゃ)

"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」、「J-REIT金メダル投資術」(株式会社秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」(株式会社ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(株式会社廣済堂出版)など。

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