もしかして給与支払いがデジタルマネーになる日が来るかも?

ライフ・マネー

給与の支払いといえば、銀行口座への振込が一般的ですよね。給料日には、ワクワクとした気持ちで記帳やATMへ引き出しに行く方も多いのではないのでしょうか。しかし、そんな光景も今後は見ることがなくなってくるかもしれません。実はいま、フリーランスとして働いている人たちを中心に、報酬をデジタルマネーで受け取るケースが増えています。

デジタルマネーで給与も即日支払いの時代へ!

実際に筆者が聞いたケースでは、ギャランティをamazonギフト券のEメールタイプで送ってほしいと依頼されたというもの。これは特殊ケースだろうと思っていたところ、現在デジタルマネーでの報酬支払を取り入れている企業があるそうです。

スマートシッター株式会社が運営する企業サポート型シッターマッチングサービス「スマートシッター」は、登録シッターに向けた働きやすい環境づくりの一環として「報酬当日払い」を導入しています。

通常であれば働いた翌月に働いた分の報酬が銀行口座に振り込まれるところですが、「報酬当日払い」の制度を利用すると、スマホなどから手続きをして、その月の報酬分から欲しい金額をデジタルマネーにて受け取ることができる仕組みになっているとか。うまく利用すれば、午前中に働き、その後すぐに振込申請をすることで、報酬を当日中に受け取ることも可能になります。

他にも、NTTドコモでは原稿執筆などの仕事の仲介サイトで払う報酬を「dポイント」で受け取れる仕組みを導入するなど、デジタルマネーで支払うという仕組みは広がりつつあります。即日支払いを利用すれば急な出費にも対応できるので、生活に合わせたお金の管理がよりしやすくなりますよね!給料日を待ち遠しく思う日々は、もう過去のものになってしまうかもしれないのです。

今後利用の幅が広がっていく?デジタルマネーでの給与支払い

ただし、現在デジタルマネーでの支払いが認められているのは、フリーランスや個人事業主への報酬の支払いのみ。労働基準法第24条では、賃金の支払い方法は、直接労働者に毎月1回以上一定の期日を定めて、全額を通貨によって支払わなければならないと定められています。ただし、法令もしくは労働協約に別段の定めがある場合、通貨以外での支払いが認められています。こうした原則に基づいて、現在では銀行口座を経由しての給与振込が一般的となっています。そのため、会社に勤めている人など、多くの人は現在時点ではデジタルマネーで給与を受け取ることができません。

しかし厚生労働省は、キャッシュレス化の推進とともに、デジタルマネーでの給与支払いが可能になるよう、2019年に規制を緩和することを表明しています。規制緩和されれば、給与を直接デジタルマネーで受け取ることができ、わざわざ銀行口座に一度入金する必要がなくなります。そう、ATMに行列する必要がなくなる時代はすぐそこまできています。

知っておきたいデジタルマネーサービス

規制緩和の動きに合わせて、デジタルマネーでの給与支払いに応じた様々なサービスが生まれてきています。

(1)pring(プリン)

相手にスマホでメッセージを送るような感覚で、 簡単にお金のやりとりができる送金アプリ。給与支払いに使えるほか、様々な送金サービスが備わっています。お店で会計するときのQR決済や、友達とのワリカンや集金など個人間送金をスマホで簡単にすることができます。例えば、親へ仕送りをする場合には、デジタルマネーで支払われた給与をそのままスマホ1つで親の元へ送金することだってできるのです。もちろん、デジタルマネーは銀行口座を経由して現金化も可能。 お金の様々なやりとりが、このスマホ1つで解決してしまう便利なアプリです。

(2)kyash(キャッシュ)

スマホひとつで誰でも簡単に「Kyash Visaカード」が発行できるウォレットアプリ。Kyash Visa カードは、審査なしで誰でも作ることができるVisaカードです。
スマホにKyashアプリをダウンロードして登録すれば、すぐに利用することができ、個人間での送金や割り勘をしたり、買い物をしたりすることができます。このアプリで特徴的なところは、キャッシュバックがあること。クレジットカードの還元率は、通常0.5%~1%程度ですが、Kyashで支払いをすると2%がキャッシュバックされます。

このように、それぞれ特徴的な送金サービスがあります。サービスによってはキャッシュバックがもらえるなど、給与の受け取り方法で、額面以上のおトクが出る世の中になっていくのかもしれませんね。

給与支払いがデジタルマネーになるメリットって?

使うサービスによっては、給与の額面以上のメリットが受けられるかもしれないということはご理解いただけたかと思います。でも、それ以外にこんなメリットもあるのです。

(1)外国人労働者への給与支払い・受け取りがスムーズになる!

日本へ労働しにきている外国人は、日本での固有資産や取引実績が少ないため、銀行口座の開設はなかなかハードルが高く難しいものです。デジタルマネーを活用すれば、こうした問題を解決することができ、外国人労働者の雇用ハードルを下げます。
また、日本は諸外国と比べてキャッシュレス化が遅れていますが、そこから生まれる不便を外国人労働者になるべく感じさせない、といった面でも期待できるでしょう。

(2)お金の流れが見えるようになるので管理が楽!

電車マネーは、給与支払いはもちろんあらゆる支払いの記録がアプリなりサービスの中に記録されることになります。家計管理アプリ等と紐づければ、お金の流れがきっちりと明確に見えるようになります。デジタルマネーと聞くと、現金のように手元にないからついつい使ってしまうのでは...という印象が根強いかもしれませんが、逆に記録が残るためきっちりと管理ができるようになるメリットがあります。

(3)現金に特有の手間やリスクが減る!

現金で給与を受け取る場合には、まとまったお金をATMなどで引き落とす手間がかかりますよね。そこには、ATMを利用するための時間的制限や手数料などの金銭的な負担の両方があるでしょう。また、給料日にお金を引き出した帰りに財布をすられてしまい無一文になってしまうというようなリスクも。しかし、デジタルマネーでの給与受け取りには、そのような手間やリスクがかかりません。いつでもスマホ1つで入出金の管理をすることができます。ECサイトなどを利用すれば、給与の振込から買い物まで全てをスマホで済ませることができるのです。出不精になりそうですが、とても便利ですよね!

知ってる?そのポイントにも税金がかかります

デジタルマネーで給与が支払われ、そこからポイントやキャッシュバックがもらえる方法で支払をし、こつこつ貯めたトラノコのポイント。そのポイントにも税金がかかるというのはご存知でしょうか。付与されたポイントは、「雑所得」にあたり、付与されたポイントを使用したときの所得と見なされるそうです。ちなみに50万円分までであれば、非課税。
給与全額がデジタルマネーになって、生活費のほとんどをそこから支払って、毎回1%のポイントバックを2重取りし、2%のポイントバックを受けていたとしても、50万円の非課税枠を超えるためには、年間2500万円の利用額が必要。そんなには使わないと胸をなでおろした方、ポイント以外の雑収入、例えば競馬で万馬券を当てて、配当金を貰えた場合、ポイントとその配当金の合計額が50万円を超えるなら、確定申告が必要になりますので、注意が必要です。

これからの生活が大きく変わるかも?

キャッシュレス化の波に乗じてデジタルマネーによる給与支払いが行われれば、私たちの生活は一変するかもしれません。これからの社会人は、いざ会社が導入するとなった時に困らないよう、今のうちからデジタルマネーについて知っておくのが必須事項かもしれませんよ。

プロフィール

回遊舎(かいゆうしゃ)

"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。
近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」、「J-REIT金メダル投資術」(株式会社秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」(株式会社ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(株式会社廣済堂出版)など。

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