2022年10月、育児・介護休業法が改正され、公務員は育児休暇取得が原則2回まで可能なるなどの改正が行われました。そこで今回は、人事院が実施した2021年度の「仕事と家庭の両立支援関係制度の利用状況調査」から、国家公務員の育児休暇の実態を見ていきます。
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1.国家公務員の育休取得率、男女とも過去最高更新
2021年度に、新たに育児休業を取得した一般職の常勤国家公務員(以下、常勤職員)は5,672人(男性3,654人、女性2,018人)となり、前年度より588人(男性564人、女性24人)増加しました。
(※「育児休業」は、3歳に達するまでの子供(非常勤職員については原則として1歳に達するまでの子供)を養育するために休業をすることができる制度)
取得率は、男性62.9%(前年度51.4%)、女性105.2%(同99.6%)で、男女ともに過去最高を記録しました。
(【画像出典】人事院プレスリリース)
(※2021年度の「取得率」は、2021年度中に子が生まれた職員(育児休業の対象職員に限る)の数(a)に対する同年度中に新たに育児休業をした職員数(b)の割合(b/a)。(b)には、2020年度以前に子が生まれたものの、当該年度には取得せずに、2021年度になって新たに取得した職員が含まれるため、取得率が100%を超えることがある)
男性職員の育児休業新規取得状況を省庁別にみると、国税庁が1,100人(取得率85%)でトップ。以下、法務省657人(同57%)、厚生労働省(中央労働委員会含む)371人(同77%)と続きました。
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2.男性職員の育休期間、1カ月以下が約7割
新たに育児休業を取得した常勤の男性職員の休業期間は、「2週間以上1月以下」が最も多く50.0%。次いで「1月超3月以下」が17.9%、「5日以上2週間以下」が16.2%と続き、1カ月以下が69.9%を占めました。
一方、女性職員は、「9月超12月以下」が31.5%で最多。以降、「12月超24月以下」が29.4%、「24月超」が22.5%などとなり、6カ月超が9割以上に上りました。
(【画像出典】人事院プレスリリース)
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3.配偶者出産休暇と育児参加休暇を5日以上取得した男性職員は87.1%
配偶者出産休暇と育児参加のための休暇を合わせて5日以上使用した常勤職員は5,213人で、2021年度中に子供が生まれた男性職員に占める割合は過去最高の87.1%でした。
(※「配偶者出産休暇」は、妻の出産に伴う入退院の付添い等を行うために2日の範囲内で与えられる特別休暇(行政執行法人ではこれに準ずる休暇))
(※「育児参加のための休暇」は、妻の産前産後期間中に、その出産に係る子供または小学校就学の始期に達するまでの子供を養育するために5日の範囲内で与えられる特別休暇(行政執行法人ではこれに準ずる休暇))
子供の看護休暇を使用した常勤職員は1万5,855人(男性1万121人、女性5,734人)で、前回調査(2020年)に比べ、男性は814人減少、女性は650人減少しました。
(【画像出典】人事院プレスリリース)
(※「子の看護休暇」は、小学校就学の始期に達するまでの子供を養育する職員が、その子供の看護のために使用できる特別休暇(1年に5日(子供が2人以上の場合は1年に10日)))
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4.まとめ
今回の調査では、男性職員の育休取得率が過去最高を記録した一方で、休業期間は1カ月以下にとどまる人が多いことがわかりました。
政府は、子供が生まれたすべての男性職員が1カ月以上を目途に育児休暇を取得できることを目指していますが、課題が浮き彫りになったといえそうです。
(【記事出典】人事院2021年度「仕事と家庭の両立支援関係制度の利用状況調査」プレスリリース)
(記事執筆:御木本千春)