新型コロナの5類移行を受けて行動制限がなくなり、経済活動が本格化するにつれて、人手不足の問題が深刻化しています。今回は、東京商工リサーチが実施した調査から、企業における人手不足の実態を見ていきます。
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調査は2023年4月3日~11日、全国の企業を対象にインターネット上で行われ、4,445社から有効回答を得ました。なお、資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義しています。
1.全企業の66.5%が「正社員不足」
自社の正社員の状況を尋ねると、「非常に不足している」(11.4%)と「やや不足している」(55.0%)を合わせた66.5%が「正社員不足」と答えました。
規模別にみると、大企業ほど人手不足が顕著で、「正社員不足」との回答は73.2%に上りました。
それに対し、中小企業では「正社員不足」と答えた割合は65.5%と、大企業より7.7ポイント低い結果となりました。
(【画像出典】東京商工リサーチプレスリリース)
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2.非正規社員の充足感、6割近くが「充足している」
非正規社員の充足度合いを尋ねたところ、「充足している」が6割近い57.5%を占め、正社員と比べ人手不足感は薄いことが判明。
規模別でも、大企業の52.8%、中小企業の58.3%が「充足している」と回答しました。
(【画像出典】東京商工リサーチプレスリリース)
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3.「運送」「旅客」で正社員の人手不足が目立つ
業種別に正・非社員の過不足状況を調べると、「道路旅客運送業」「道路貨物運送業」は、正社員の人手不足が目立ちました。また「飲食店」「宿泊業」「娯楽業」「サービス業」は、正社員、非正規社員ともに半数以上の企業が人手不足であると回答しました。
一方、人手過剰感の強い業種をみると、「印刷関連」が正社員、非正規社員ともに上位に入りました。この他、正社員については「広告業」「情報通信機械器具製造業」など、非正社員については「映像・音楽・文字情報制作業」「医療業」などで人手過剰感が強いことがわかりました。
(【画像出典】東京商工リサーチプレスリリース)
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4.まとめ
東京商工リサーチは今回の調査結果について、
「人手不足の長期化は、企業の成長機会や消費創出の場を失う恐れもある。
企業や業界単位ではなく、過剰感のある産業から需要や成長余地のある産業への雇用支援を図るなど、官民を挙げた実務的な対策も必要になっている」
と分析しています。
(【記事出典】東京商工リサーチ「人手不足」に関するアンケート調査プレスリリース)
(記事執筆:御木本千春)