営業マンの商談や仕事帰りの会社員の勉強などの場を提供してくれる「喫茶店」がコロナ禍の影響で廃業に追い込まれるケースが増えています。東京商工リサーチが1月23日、その危機的な状況について発表しました。
【関連記事】「「コロナで業績悪化」は転職理由になる!?-面接や応募書類での伝え方」
1.2021年の「喫茶店」の休廃業・解散は初の100件、「先行きが見えず廃業決断」
同社の調査によると、2021年の「喫茶店」の休廃業・解散は初めて100件(前年比26.5%増)に達し、過去最多を記録したことが分かりました。調査を開始した2000年以降、最多だった2018年(84件)を大幅に上回ったということです。
同社によると、コロナ禍で生活様式が変化し、商談や「時間つぶし」、「勉強」などの需要も減っているほか、大手チェーンや「コンビニコーヒー」との競争に加え、昨今の輸入コーヒー豆の高騰も痛手となったとしています。「先行きが見えず、債務超過に転落する前に廃業を決断したとみられる」(東京商工リサーチ)。
一方で、2021年の「喫茶店」の倒産は61件(前年比8.9%減)にとどまりました。同社では、「コロナ関連の休業補償金や持続化給付金、ゼロ・ゼロ融資などの資金繰り支援が下支えした」としています。
休廃業・解散と倒産の合計は161件で、これまで最多の2020年(146件)を15件上回り、過去最多となっています。
【関連記事】「コロナ禍の長期化、3人に1人に働く上で悪影響--「同僚との感情共有が困難に」」
2.大手では業績の2極化が進行
業界の大手では2極化が進行しているようです。
東京商工リサーチによると、「ドトール・コーヒー」やレストランを運営するドトール・日レスホールディングスの2021年3-11月の連結営業利益は9億2100万円の赤字で、「サンマルクカフェ」などのサンマルクホールディングスの2021年4-9月の連結営業利益は27億900万円の赤字でした。
「喫茶室ルノアール」の銀座ルノアールの2021年4-9月の連結営業利益は6億6400万円の赤字となっています。
一方で、「コメダ珈琲店」を展開するコメダホールディングスは、2021年3-11月の連結営業利益が前年同期比36.8%増の58億4700万円となり、「大手でも明暗が分かれた」(東京商工リサーチ)。
3.オミクロン株の流行拡大で「喫茶店は冬に時代に逆戻りしかねない」
東京商工リサーチでは、オミクロン株の流行拡大で再び、「在宅勤務が増え、外出する人も減ることが予想され、喫茶店は冬に時代に逆戻りしかねない」と厳しい現状を指摘。
さらに、「とどめを刺すようにコーヒー豆や他の食材も高騰している。コロナ関連の支援効果が薄まると廃業の前に倒産の増加が先に顕在化してくる事態も危惧される」としています。
一刻も早い新型コロナウイルスの感染終息が望まれます。