フィードバックは「情報通知」と「立て直し」の2つのプロセスで成長をうながす人材育成の手法です。成長のためには、耳が痛い指摘もしなければなりません。フィードバックの効果的なやり方と注意点を紹介します。(Misa)
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1.フィードバックとは
フィードバックとは、対面で評価や指摘事項を伝える育成手法です。客観的な事実にもとづいて現状の課題や問題点を伝え、振り返りを助けるアドバイスを与えます。業務上のミスについて状況や原因などを指摘し、本人の振り返りによって再発防止や自己の改善点を考えさせる流れが一般的です。上司と部下の間だけでなく、クライアントが受託者に対して行う場合もあります。
適切なフィードバックによって成長のための目標を設定し、モチベーションを回復、維持できます。フィードバックにおける自主的に考える習慣が自律的思考につながる、上司と部下の関係を構築できるなどの効果も期待できます。
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2.フィードバックの種類
フィードバックには大きく分けて2つの種類があります。
それぞれに異なる特徴があるので、目的や対象者に合わせて適切に使い分けることが大切です。
・ポジティブフィードバック
肯定的な言葉で相手の良い所を褒めて、モチベーションをアップさせる方法です。
否定的な言葉は使わず、相手をしっかり評価してあげることで、自己肯定感を養ってもらうことができます。
「部下のやる気が落ちている」、「明るい気持ちで仕事に取り組んでもらいたい」、「自信を取り戻させたい」といった場合には、大変効果的です。
・ネガティブフィードバック
相手の弱点や改善すべき点を指摘してより成長を促す方法です。
ポジティブフィードバックとは異なり、やや否定的な表現を使用することもあるため、使い方によっては逆に相手のモチベーションを下げてしまいます。
そのため、実践する際は言葉遣いに十分気を付けましょう。
また、悪い部分を指摘するだけでなく、「こうすればもっと良くなる」「あなたならもっと成長できる」など、前向きな表現も織り交ぜることが大切です。
3.効果的なフィードバックのやり方の事例
ここでは、フィードバックの代表的な手法を紹介します。いずれにおいてもフィードバックに先立って事実関係を正確に把握することが大前提です。事実関係をふまえて本人に状況を確認する、問題点や改善点を明確にする、成長するためのゴールを設定するという流れは共通しています。それぞれの手法を、フィードバックする内容や対象者の個性によって使い分けるとよいでしょう。また、フィードバックの後の行動や成果を確認しながら、フォローアップすることも大切です。
・サンドイッチ型フィードバック
ほめる(ポジティブ)、指摘(ネガティブ)、ほめる(ポジティブ)という流れで行う、対象者の自尊心に配慮したプロセスです。
・SBI型フィードバック
状況(Situation)、行動(Behavior)、影響(Impact)という実際の出来事に沿って事実確認を行い、原因や改善策を導いていきます。
・マッキンゼー型フィードバック
マッキンゼー・アンド・カンパニー社のフレームワークで、改善してほしい点の指摘、その行動に対して感じたこと(課題)、改善策の提案という3つのパートで進めます。
・ペンドルトン型フィードバック
心理学者ペンドルトンが開発したフィードバックの手法で、決められた手順で両者がキャチボールする形で進めていきます。
4.フィードバックで注意すべきこと
フィードバックを行う際は、フィードバックを行う側がフィードバックの意味、やり方を理解しておくことが大切です。論点が曖昧にならないよう具体的な事案を対象として行い、総合的な評価や指摘は避けるべきです。
絶対にしてはいけないのは、ほかの人との比較と人格や能力の否定です。感情的な発言も厳禁です。モチベーションの低下や上司への不信感につながるだけでなく、話し方を間違えればパワーハラスメントになってしまいます。
また、受ける側にとって耳の痛いこともしっかり伝えて、立て直しをうながすのがフィードバック本来の目的です。評価すべき点をほめるのは問題ありませんが、ほめるだけならフィードバックという形をとる必要はありません。
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原稿:Misa
ITベンチャーで企画、人材開発、広報などを経て独立。現在はコンサルタント、ときどきライター。ライターとしては、IT系以外、アニメ・マンガ、車から美容・健康まで何でもチャレンジ中。