戸田恵梨香さんが実践する、20代での蓄積を30代で活かす方法とは!?

戸田恵梨香さんが実践する、20代での蓄積を30代で活かす方法とは!?

連続テレビ小説『スカーレット』で、常に明るく前向きに生きるヒロインを演じる

戸田恵梨香さんが主演するNHK朝の連続テレビ小説『スカーレット』の出足が好調です。このドラマのモデルは信楽焼の陶芸家、神山清子さん。滋賀県甲賀市の信楽町が舞台となっています。

主演の戸田さんは、常に明るく前向きに生きるヒロイン・喜美子を文字通りイキイキと演じています。今後は、男性社会とも言える陶芸の世界で、ヒロインが奮闘していく姿が描かれていくことでしょう。

30歳になった昨秋、「恋愛ドラマは視聴率が取れない」と言われる昨今で高視聴率

戸田さんは現在31歳。女優としてまさに脂の乗った時期です。

30歳になった昨秋は、連続ドラマ「大恋愛~僕を忘れる君と」(TBS系)に主演し、若年性アルツハイマーに侵された将来有望な女性医師役になりきり、その演技力について多くの視聴者から高い評価の声があがっていました。

献身的に支えてくれる小説家とのピュアな恋愛を描いたこのドラマは、幅広い世代から支持を受け、「恋愛ドラマは視聴率が取れない」と言われる昨今において、高視聴率を記録しています。

『コード・ブルー』の役柄と当時の戸田さんのイメージが上手にはまる

医師役とは言え、ドラマ『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命―』シリーズ(フジテレビ系)の救命救急医役とは全く異なる役どころでした。

一方、その『コード・ブルー』の舞台は翔陽大学附属北部病院救命救急センター。戸田さんは救命救急センターのフライトドクター・緋山美帆子を演じてきました。

この緋山先生の足跡を追っていくと、新人フェロー時代の1stシーズンでの描かれ方は、とても気が強く、人一倍プライドが高くて思い上がった発言をしてしまうこともあり、誤解されやすい性格で、その役柄と当時の戸田さんのイメージが上手にはまっていました。

この1stシーズンで描かれた誤解されやすい緋山先生の個性については、演じている戸田さん自身も似たような部分があることを2012年に放送されたトーク番組『アシタスイッチ』(TBS系)の中で、明かしています。

「私はなぜか誤解されやすいんです。天狗になってないのに、なっていると言われたりとか。自分が周りにどう思われているのか敏感になってしまう」と、神妙な面持ちで語っていた姿が印象的でした。

そうしたなかで、10代後半からの戸田さんは、自信を得るためにも、ただセリフを稽古するだけでなく、とにかくたくさん学ぼうと心がけ、偉人伝を読んだり、哲学書を熟読したり、一見、ドラマとは関係なさそうな世界に関する学びも習得していったと言います。その学びを継続していくうちに、自身の知識量も増え、理解力を深めていくうちに思い込みやプライドを捨てて、自然体で演技ができるようになったのだそうです。

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『コード・ブルー』2ndシーズンでは、21歳ならではの等身大の演技を披露

そして、1stシーズンに続き2ndシーズンでは、10代後半でもがいてきた自身の経験を活かしつつ、21歳ならではの等身大の演技を披露しました。

2ndシーズンを終えた頃の戸田さんは、一般の大学生の世界ではちょうど就職活動を始める時期です。その頃には別のドラマ『SPECシリーズ』(TBS系)で、超能力などを使った特殊な事件を捜査するIQ201の天才かつ変人の主人公・当麻紗綾を演じ、女優としての新境地を開拓しました。

その後、22歳になり一般的には社会人デビューする頃、月9ドラマ『大切なことはすべて君が教えてくれた』(フジテレビ系)では正統派のヒロインになりきり、主演としての存在感を示しています。

3rdシーズンに至るまでの7~8年間は、上質な演技へ転化するための期間

その後も、主役、脇役を演じ分け、役者としての経験を積んでいくうちに『コード・ブルーシリーズ』3rdシーズンを迎えます。

3rdシーズンでは、戸田さん自身は29歳となっていました。

ここに至るまでの7~8年間は、数多くの多様な役柄を演じた経験をストックし、スキルを蓄積しながらさらに上質な演技へと転化させるための期間だったと言えるのかもしれません。

実際、3rdシーズンでは役柄の上でも、部下であるフェローに対し、クールさを装いながらも温かいまなざしで見守る心優しい一面をのぞかせる繊細な姿が現れ始めます。

この緋山先生の成長ぶりについては、戸田さん自身も、「ザ・テレビジョン」(Web版)のインタビュー記事の中で、次のようにコメントしています。

「(1stシーズンの頃は)緋山も私もトゲがあったのかなぁと思いました(笑)。緋山としては、そのトゲが強さに変化していったというか...。今(3rdシーズン)の緋山は、トゲが抱擁力になって、いい意味で丸くなったと感じられるし、他の4人、フェロー(部下)のこともちゃんと認められて、なおかつ見守られるほどの存在になっていたので、やっぱりこの7年間は大きかったなと思いました。(中略)それまでは、一生懸命に自分の思いを伝えなくちゃいけない、伝えるんだ!というのが、一番出ていたのが緋山だったけど、自分の弱さもちゃんと受け入れられるようになって、認められるようになったから、ストレートに伝えずに、客観視した言葉も言えるようになったし、その患者さんの心を支えてあげられるような優しい言葉も言えるようになったんだと思います」。

役柄の成長と同じように、30歳手前で、自身の弱さを認め、客観視し、相手を尊重することを戸田さん自身も覚えてきたと言います。

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30歳を超えて人気、実力を不動のものに

そして、30歳を超えて、ヒットドラマ「大恋愛~僕を忘れる君と」で主人公を演じ、今では国民的女優の証とも言えるNHKの朝ドラ女優として、人気、実力を不動のものにしました。

戸田さんの仕事人としての足跡を例に鑑みれば、20代後半までにどれだけの知識や経験のストックを増やすことができ、その蓄積を活かしながら、表現、アウトプットできるのかという点が成長する上でのポイントであったように思います。

NHK朝の連続テレビ小説『スカーレット』でも、20代、30代と年を重ねるごとに成長していく過程が描かれていくことでしょう。

視聴者の皆さんとしては、社会人としての自分自身の成長過程と重ね合わせながら、ヒロインが前進していく姿を見守ることで、よりいっそう楽しい朝のひとときを過ごすことができるのではないでしょうか。

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プロフィール

鈴木ともみ

経済キャスター・MC。早稲田大学トランスナショナルHRM研究所 招聘研究員。
ファイナンシャル・プランナー、日本記者クラブ会員記者、多様性キャリア研究所副所長
和洋サウンドシアターユニット『未来香音』(津軽三味線・清水まなみ、ピアノ・斎藤タカヤ、パーカッション・宮本仁、語り部・平山八重、ストーリーテラー・鈴木ともみ)として、ラジオやライブで活動中。
ラジオドラマにおけるデビュー作が「日本民間放送連盟賞」エンターテインメント部門出品作品となる。
来日する各国大統領や首相、閣僚、ハリウッドスター等を含む取材・インタビューは3000人を超える。
キャスターとしてTV、ラジオ、各種シンポジウムへの出演の他、雑誌やニュースサイトにてコラムを連載中。
主な著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。

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