坂口健太郎さんの真骨頂は、<br>何色にも染まることのできる『柔軟性』と『吸収力』

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1月からスタートする冬ドラマも出揃いました。昨年はこの1-3月期に、高評価を得た『アンナチュラル』(TBS系)が登場しましたが、今年も話題となるドラマは誕生するのでしょうか?

今期は弁護士、刑事など定番系のドラマが多いようですので、じっくりと味わうクールになるのかもしれません。

なかでも私が注目しているのは1月19日から始まった『イノセンス』(日本テレビ系)です。無実にもかかわらず逮捕や起訴された人々を冤罪から救うために、坂口健太郎さんが演じる弁護士・黒川拓が科学と実証により、検察と対峙していくヒューマン・リーガルエンターテインメント。

主人公の弁護士・黒川が現場で起きた事象を詳細に再実験し、先入観などを基にした捜査の矛盾点を突いていく展開は、見ていて爽快感を得ることができます。

『白』に喩えられることが多い坂口健太郎さんのイメージ

タイトルの『イノセンス』という言葉は、無罪という意味の他にも、純真や潔白という意味もあり、色でイメージすると『白』という解釈になります。

この『白』は、坂口さん自身のイメージにとてもマッチしているのではないでしょうか。実際、坂口さんは共演者やスタッフから『白』のイメージで喩えられることが多いようです。昨年、2月に公開された映画『今夜、ロマンス劇場で』のPR番組のなかで、坂口さんを色に喩えるならば何色?という質問に対し、主演の綾瀬はるかさんを始め、共演者らは一斉に『白』と答えていました。

その理由は、坂口さんの周囲に溶け込みつつも、強い自己主張をせずに静かにしなやかにいつのまにやら演じきってしまう姿が、何色にも染まる『白』という印象に繋がっているということでした。同じように、2017年に公開された映画『君と100回目の恋』のプロデューサー・井手陽子氏もインタビュー記事のなかで坂口さんのことを「純白というか、どんな色にでも染まれる純真さを持っている」と評していました。

俳優としてのキャリアはまだ4年、様々な役柄を演じ分け

坂口さんは2010年に19歳でモデルデビューし、現在は27歳。俳優としてのデビューは23歳の時になりますので、俳優としてのキャリアはまだ4年ほどということになります。ですが、この4年間において坂口さんは様々な役柄を演じ分けてきています。

俳優デビューした当初は、映画『ヒロイン失格』『俺物語!!』など正統派イケメン役で注目を浴び、2016年には月9ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)でダークサイドにも手を染める若者になりきり、その直後にはNHK朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』で主人公・常子を支える実直なメガネ青年のオタク系大学生役、2017年の人気ドラマ『東京タラレバ娘』(TBS系)では、陰のある金髪青年のモデル役を演じ、同年の夏ドラマ『ごめん、愛してる』(TBS系)では気鋭のピアニスト役を全うし、たった4年間で幅広い役柄にチャレンジしてきています。

また映画『64』では生真面目な新聞記者役で第40回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。人気だけでなく実力面でも評価を得ており、昨年はドラマ『シグナル 長期未解決事件捜査班』(フジテレビ系)でプロファイリングを学んだ刑事役で主演を務めました。

入社3~4年目くらいのビジネスパーソンにとっても重要な『柔軟性』と『吸収力』

坂口さんのこの何色にも染まることのできる『柔軟性』と『吸収力』は、俳優人生の序盤戦には欠かすことのできない能力であり、同様にビジネスパーソンにとっても序盤戦である入社3~4年目くらいの時期に問われる能力であると言えるのではないでしょうか。最近、企業経営の世界では『見えない資産経営』が注目を集めています。

見える資産は現金、売上げなどの「金融資産」や、土地・建物、備品、在庫などの「物的資産」。一方、見えない資産には、企業で共有されている組織全体の力を指す「組織資産」、プロフェッショナルな人材を活用する「人的資産」、製品やサービスを購入する顧客がどのくらいかを示す「顧客資産」などがあります(『「見えない資産」経営』三冨正博著・東方通信社より)。

企業としては、直接的な売上げである金融資産に貢献できる従業員を望むものですが、若手社員がすぐに会社の金融資産を築き上げることはなかなかできません。

そこで現実的には、見えない資産とされる会社の「組織資産」や「人的資産」になれるかどうかが、序盤戦における優秀なビジネスパーソンにとっての大きなポイントとなってきます。組織資産は最終的な金融資産を生むためのベースとなるものですからとても重要です。

吸収力で「人的資産」を築き、全体の「組織資産」の向上に貢献

この『見えない資産』である「人的資産」と「組織資産」について、坂口さんの俳優人生の序盤戦で鑑みると、何色にも染まることのできる吸収力で「人的資産」を築き、他のキャストやスタッフに柔軟に溶け込んでチームや組織に適合しながら、全体の「組織資産」の向上に貢献しているということになるのかもしれません。

まさに、何色にも染まることのできる『白』だからこその『柔軟性』と『吸収力』でキャリアを築いていることになります。

これは人生100年時代における、長いキャリア構築にとって、息切れすることのない着実な序盤戦と言えそうです。

そうしたなかで、主役を演じるということは、ある種のキャリアチェンジの地点に立ったことを意味します。

今後の坂口さんは、脇役だけでなく主役を演じていくことで、骨太なキャリア構築を展開していくことでしょう。

余談になりますが、ドラマ『イノセンス』の舞台となっている弁護士事務所は、私自身が仕事で頻繁に訪れるビルが撮影場所となっています。

ですので、エントランスでのエレベーター前のシーンなどは、ついワクワクしながら見入ってしまいます(笑)。

今後も、坂口さんの聡明な演技と同様に、エントランスシーンの登場にも期待しながら毎週土曜日を楽しみにしたいと思います。

プロフィール

鈴木ともみ

経済キャスター・MC、ファイナンシャル・プランナー、日本記者クラブ会員記者
多様性キャリア研究所副所長。
語り部・平山八重、ヴォーカリスト・池田ゆいと共に組んだ音楽朗読劇ユニット『ELLE』(ピアノ・後藤里美)としても活動中。
来日する各国大統領や首相、閣僚、ハリウッドスター等を含む取材・インタビューは3000人を超える。
キャスターとしてTV、ラジオ、各種シンポジウムへの出演の他、雑誌やニュースサイトにてコラムを連載中。
主な著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。

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