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女性管理職が転職をする時のアピールポイントは?

新型コロナウイルスの感染拡大により、急速に変貌を遂げた私たちの暮らし。否応なく始まったテレワークも、今や働き方のスタンダードになりつつあります。自分と向き合う時間が増えたことで、あらためてキャリアを見つめ直すきっかけになり、ジョブチェンジを検討している人も少なくないようです。 今回は、女性管理職が転職をする時のアピールの仕方や気をつけるべきこと紹介します。

自分のマネジメントスキルを整理整頓し、数値化してみる

転職市場において、オファーが絶えない人もいれば、書類選考の段階で踏みとどまってしまう人もいます。両者の違いはいったいどこにあるのでしょうか。それは、自分自身のアピールポイントを正しく伝え切れているかどうか。経験から培った強みや得意をうまく伝えられずに脱落してしまうのは、実にもったいないことです。

成功の鍵を握るのは、事前の入念な準備です。見切り発車の転職活動では、目指す場所へと到着することはできません。最初にやるべきことは、これまでの仕事経験を徹底的に洗い出してキャリアの棚卸しを行い、自分は何が得意なのか、どんな状況でよりパフォーマンスを発揮できるのかを知っておくことです。

では、具体的にはどうすればいいのでしょうか。管理職の求人の場合、採用側が重視するのはマネジメント能力です。そのためには、自分のマネジメントスキルを正確かつ客観的に把握しておく必要があります。

まずは、これまでの実績をすべて棚卸しすることから始めましょう。管理職になってから手掛けたプロジェクトについて、その内容や規模、管理職として自分がどんな役割を果たしたのか、どういった成果を生み出したのか(会社にどんな貢献をしたか)などを、できるだけ具体的に書き出していきます。可能なものはすべて数値化し、客観的な事実として伝えられるように準備しておくことが重要です。

また、予算管理能力も、管理職にとって必須のスキル。こちらも同様に、予算の計画から管理方法、その成果に至るまで、自分が関わったこと(あるいはサポートしたこと)をすべて書き出し、実績としてまとめておきましょう。

こうした内容は、職務経歴書に記載する材料になります。職務経歴書で効果的にアピールできれば、書類選考を突破する確率がぐっと高まり、その後のステップへと駒を進めることができます。読みやすいようにポイントをおさえ、成果や実績はできるだけ数値で表すことが原則。要点がまとまっていないもの、ダラダラと記載されているものは、それだけで仕事ができないというマイナスイメージを与えてしまいます。職種によっては、プロジェクト単位よりも時系列で書くほうが適している場合もあるので、より実績を効果的にアピールできる方を選ぶこと。仕事へ思いやこだわりなどのマインド、自分の強みなどの部分は、職務経歴書でアピールするのではなく、履歴書の自己PRを活用するか、面接の時に存分に伝えましょう。

得意や強みはエピソードで伝え、説得力を持たせよう

自分の強みを伝える方法としては、エピソードを用いて根拠を示すことが有効です。その一例として、住宅メーカーに新卒入社し、コールセンターでのマネージャーを経て、人材サービス会社の経営企画に転職を果たしたYさん(34歳)のケースを紹介します。

Yさんが考える自身の強みは、提案力と実行力で課題を解決するスキル、そして挑戦するマインドでした。それを示すための事例として、コールセンター時代に顧客からのクレームをヒントに企画を提案し、自ら中心となって他部署を巻き込みながら商品化に至ったエピソードを紹介。さらに、課題解決力をアピールするために、チームが窮地に陥った場面でピンチをどう乗り切ったか、どのような改善を行い、会社にどんなメリットをもたらしたかを伝えました。管理職経験は2年未満とまだ浅いため、マネジメント力にはあまり自信がないということでしたが、一連のエピソードを通じて、リーダーシップやチームをまとめる力は十分伝わったはずです。さらに、スキルアップのために現在、外部の研修やセミナーなどに積極的に参加してマネジメントの理論を学んでいること、社内での勉強会を立ち上げた経験などを伝え、やる気と前向きな姿勢もアピール。これらを踏まえた上で、自分がこの会社でどんな貢献ができそうか、どんなことをやってみたいかを伝え、「活躍できるイメージを持ってもらえるようにした」といいます。その結果、希望する企業へと見事にステップアップ転職を遂げました。

"自分には華やかなエピソードなんてない"という人でも、これまでのキャリアを丁寧に振り返るなかで、誰しも小さな成功体験はあるはず。時間をかけていろんな視点から掘りこしてみたり、場合によっては信頼できる先輩や周りの人に客観的な意見をたずねてみるのもひとつの手です。自分にとっては些細なことでも、他人から見れば優れたスキルとして認識されている場合も往々にしてあるもの。たとえ今すぐに転職をしない人でもこうした振り返り作業を行っておくことで、自分の得意だけでなく、強化すべき課題もみえてくるため、今後のキャリア形成に有益です。

管理職にとって大切な"数字に強い"をアピール

転職の際に有利に働く資格について考えてみましょう。資格はそれ自体がアピール材料にはなりにくいものの、ビジネスパーソンとしての実務能力を示すには有効です。例えば、マネジメントに携わる人であれば"数字に強いこと"が有利に働くことは言うまでもありません。直接的に数字を扱う部門でなくても、簿記などの資格があれば、数字を読み解く力があるというアピールにもなります。

また、オンラインでの業務がメインになりつつ昨今の流れとして、ITに関するスキルも求められます。数字の強さとともに最低限のツールは使いこなせるよういしておくと良いでしょう。

まとめ

転職は、相手企業とのマッチングです。たとえ経験やスキルを満たしていても、相手の求める人物像とマッチしなければ、縁は結べません。あらかじめ希望する企業が求める人物像、社風など、できるだけ生きた情報を集め、自分にとって相性のいい職場かどうかを判別しておくことで効率的に活動が進みます。複数の自己PRやエピソードを準備しておくことで、相手企業が求める人材の傾向に合わせて自分をアピールすることができ、転職活動を有利に進めることができるでしょう。

▶︎ プロフィール

西尾英子
大学卒業後、男性総合誌で8年間編集に携わった後、フリーライターとして独立。主に女性誌やビジネス誌、書籍を中心に、女性の生き方や働き方などを執筆。これまで数多くの著名人やビジネスパーソンなどを取材。

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