さりげなく印象的。誰よりも輝いて見える「ザ・管理職メイク」
「35億」の決めゼリフで一世を風靡した、元お笑いタレントのブルゾンちえみさん。直線的な太眉に目尻が跳ねた切れ長のアイライン、艶やかな赤い口紅で、90年代のN.Yで男性社員を従えてバリバリ仕事をこなすキャリアウーマンに成り切る姿は、爽快且つ印象的でした。でもあのメイクが"今どき"だと感じた人はきっといなかったでしょう。というのもファッション同様、メイクも時代を映す鏡だからです。
では今の時代、トップキャリアに似合うメイクとはどういうものでしょう。それは20代の頃に似合うと褒められた口紅やテクニックを封印することから始めます。コスメもあなた自身も更新されているのですから過去に縛られてはいけません。私自身はメイクのプロではありませんが、撮影でお会いするヘア&メイクアップアーティストがモデルに施すテクニックを垣間見て習得したコツを伝授します。「肌」「眉」「アイライン」「チーク」「リップ」5つのパーツ別アプローチは、写真がなくてもイメージしやすいよう極力分かりやすさを意識しました。
印象の8割を決定づけるのは
みずみずしい上質なツヤ肌
トップキャリアにとっていい歳の重ね方をしてきたかどうかは、どれだけいい仕事をしてきたかと同義語。"肌がきれい"と思われることは、女性にとってこの上もなく嬉しいことです。ツヤ、ハリ、血色感はあなたの内面を表す大切な場所なので、ベースメイクではみずみずしいツヤをファンデーションで作り上げましょう。"透明感の正体は色が白いことではなくツヤ"であることも覚えておいてください。ファンデーションはテクスチャーに好みがあるかと思いますが、誰でも手軽に肌のキメやアラをカバーしながらツヤ肌に仕上げるクリーミィタイプがおすすめ。ほとんどのプロがプレストタイプは使わず、クリームやリキッドタイプを使っています。少量を顔全体に薄くなじませた後、中指と薬指の腹を使って目の下などの気になるところは重ねてください。指で軽くトントンとタップするように定着させましょう。少々高価でもファンデーションだけは先行投資して損はありません。もともとの肌がきれいであるかのように仕上がるものを選んでください。
極端に太・細眉は老けのもと。
山を描かず下を足す
山を強調した昔ながらのアーチ眉や、細く整えた眉は老けて見える元凶ですので、今すぐ眉メイクで改善しましょう。山がしっかりある人は、眉頭の上をふんわりと足して、眉下を描き足し、山を消すように意識してやや太めでなだらかなイメージに。眉下は黒目の上を1~2mm程度太らせて、目との距離感を縮めることで目力もアップします。アイブローにも種類がありますが、個人的にはアイカラーとしても使える色にグラデーションのあるパレットタイプか、マスカラ状のものがおすすめです。どちらもナチュラルで立体感のある仕上がりに。
たるみや衰え気味の目力には
上下のアイラインを臨機応変に
アイラインを描く意味、ご存知ですか? 上ラインには少しずつ減ってきたまつ毛を増量して見せ、緩んだフレームを立て直す効果があります。くっきり描ける黒のリキッドタイプでまつ毛の間を埋めるだけで、若々しさがしっかり補填されます。指でまぶたを軽く持ち上げ、まつ毛の下からペン先を入れて少しずつ描いてください。まつ毛の生え際には、ブラウンのペンシルタイプで目頭から目尻までラインを引きます。ブラウンなら目もとを引き締めつつ、柔らかな印象に仕上がります。目尻は涙袋の縦幅の長さの分だけ自然に延ばしましょう。まつ毛と黒目の間の粘膜が目立つようなら、まぶたを持ち上げ、ブラウンのペンシルで埋めてください。
下ラインは、入れる場所次第で顔全体の印象を操作することができます。黒目の真下に芯の柔らかなブラウンペンシルで入れれば、黒目と白目のメリハリが生まれて清潔感がアップします。まつ毛の根元をまたいで間もしっかり塗りましょう。
目じりより1/3にだけブラウンペンシンでラインを入れると、きつく見える顔が優しくフェミニンに早変わり。
目頭から目尻まで下まつ毛の間をつなぐようにブラウンのラインを細めに入れると、女らしさを品よく漂わせられます。
ラインは必ずしも上下がマストではありません。またマスカラを追加する場合は、ボリュームアップタイプより整える程度のナチュラルな仕上がりを選びましょう。その日のスケジュールに合わせてラインを描く場所を調整すれば、イメージする女性像に近づくことができるのです。
"幸せそう"と思われる
自然な血色チークをナチュラルに
クールな印象に見られがちな女性管理職こそ、チークを上手に使いこなしましょう。ベースがツヤ肌なので、パウダータイプよりツヤの出るクリームタイプを選ぶのがコツ。ただし、入れました感は出したくないので、チークの輪郭は必ず指でぼかします。骨格を意識してどこに入れたのかわからないようになじませて。基本は頬の一番高いところから外側に指でなじませるだけ。肌の色によりますが、日本人の肌になじみやすいのはピンク系よりコーラル系。是非試してみてください。
チークに寄った色とツヤで
ふっくらとした唇に
仕上げはリップ。乾いていたりくすんだ印象に見えないよう、上品なツヤを与えてふっくらと描いてください。チーク同様、ピンク系かコーラル系かお好みはあると思いますが、若い頃につけていた色は選ばないこと。特に青みのあるピンクは要注意。あえて輪郭はペンシルで描かず、自然なカーブを重視しましょう。今回ご紹介したメイクは口もとより目もと重視のメイク法。それが今どきのキャリアメイクと言い換えることができるのかもしれません。
まとめ
ご紹介してきたキャリア向けメイク。もうお気づきかもしれませんが、今の時代を生きる管理職は仕事ができることや若く見えることをアピールするより、協調性や柔和な上司であることを印象付けることが先決。前回お伝えした管理職ファッション同様、大切なのはここでも"女性らしさ"であることを意識して鏡に向かいましょう。
▶︎ プロフィール
向井真樹(むかい まき) ファッションライター
女性誌やカタログ、ウェブサイトを中心に、
ファッションや生活スタイルを軸にした
企画、ディレクション、編集、執筆を手がける。