Trivia

トップキャリアの仕事服は "女らしさのさじ加減"が決め手に

女性管理職というとカッチリとしたスーツをまるで戦闘服のように身にまとい、肩ひじを張って男性に追いつけ、追い越せと仕事をするタフな姿を思い浮かべるのは、ひと昔前のお話。今をしなやかに生きるトップキャリアは、さりげなく余裕が感じられる洗練された着こなしで、おしゃれでデキる素敵な人という印象を残したいものです。

そのキーワードとなるのが、"女らしさ"。仕事に女らしさは決してタブーではなく、職場にふさわしい取り入れ方のさじ加減さえ心得ていれば、時代にフィットした理想の着こなしが完成します。そのために必要なアイテム選びと着こなしのコツをご紹介します。

仕事服の土台となるジャケットで
ネイビーの魅力を再認識

近頃はオフィスカジュアルを奨励する職場も増えつつありますが、重要なプレゼンやさまざまな打ち合わせに出席する機会の多いトップキャリアの女性にとって、ジャケットはマストアイテム。男性同様、スーツやセットアップを何着か揃えておけばコーディネートに悩まされることはありませんが、どうしても堅苦しく見えてしまうので単品のジャケットがおすすめです。「無難」という理由から多くの人が黒やチャコールグレーを選びがちですが、キャリア世代ならではの魅力を引き出すなら、色は断然ネイビー。色そのものに品があってまろやかな印象を与えるネイビーは、「無難」な色ではなく「万能」カラーの代表。制服でも慣れ親しんだ色だからこそ、若い頃とはひと味違う着こなしが楽しめるのです。仕立てのいいハンサムなテーラード、素材に表情のあるツイードなどを用いたフェミニンなノーカラーとデザインはお好みで。肩が強調されていたりシェイプが効きすぎたシルエットは避け、形を整える程度に芯地や肩パットの入った軽やかに着られる1着を選びましょう。

女らしさのカギは
とろみ素材のシャツ&ブラウス

ジャケットスタイルといえば、ニューヨークのキャリアウーマンが颯爽と着こなす

パリッとした白シャツ合わせが定番でした。でもこの組み合わせはリクルート感が抜けきれず、キャリア世代にはミスマッチな印象を与えてしまいます。そこでおすすめしたいのが、シルクに代表されるとろみがあり上品なツヤのある微光沢素材のトップス。

ジャケットの中を変えるだけで、今どきなおしゃれ感も目指したい程よい女らしさも手に入る魔法の1枚と言えるでしょう。

クラシックなボウタイ付きのブラウスや胸もとにタックを寄せたドレスシャツ風、レースやフリルを部分的に使った程よい甘さのあるものなど、バリエーションが豊富なので好みの1枚が見つけやすいのも嬉しいですね。シンプルよりジャケット下に着ることを考慮して、ひと技効いた華やぎのあるものを選ぶのもポイントに。ネイビージャケットにオフホワイトは誰にでも似合う鉄板配色ですが、おすすめはジャケットと同色のネイビー。ジャケットとの素材の違いが着こなしに奥行を与え、洗練されたおしゃれへと導いてくれるので是非試してみてください。

その日のスケジュールで
スカートとパンツを履き分ける

ジャケットに合わせるボトムに選択肢があるのは女性の特権。どちらかを選ぶのではなく、両方を選んで賢くおしゃれを楽しみましょう。

スカートなら、ボディラインを拾いにくいやや地厚な素材のセミタイトやセミフレアを。甘さを控えたすっきりしたシルエットを選んだら、こだわりたいのは丈感。たとえ脚自慢のあなたであっても、膝が半分は隠れる丈をキープしてください。タイトスカートの場合は、着席時のたくし上りを考慮することも忘れずに。

パンツの場合は、脚の形を拾わない立体感のあるつかず離れずのシルエットを。ワイドやテーパードなどと近頃はパンツのシルエットが豊富ですが、ジャケットと合わせた場合にモード感が出てしまったり、カジュアルな印象が強くなるのは避けたいもの。

そしてフルレングスより少し短めのくるぶし丈が、もたつかずにバランスよくはきこなせるおすすめの丈です。試着時に"自分に似合う少し短め"を確認してみてください。センタープレスが入っていると、よりきちんと感が出しやすいことも覚えておいて。どちらのボトムもストレッチ入りの素材を選べば、シワになりにくく快適なはき心地が1日中続きます。

ジュエリーと靴選びで
着こなしを確実に格上げ

悪目立ちせず、品格を上げるのがジュエリーと靴に与えられた大切な使命です。

小さなパーツを飾るアイテムですが、トップキャリアのおしゃれを左右すると言っても過言ではありません。選び方はとても簡単。まずジュエリーは、自分が自信の持てるパーツにつけるといいでしょう。誰もがうらやむほどきれいな部分という意味ではなく、「体は少々ぽっちゃりでも手首は案外細い」なら時計にバングルやブレスレットを重ねづけしてみる、「ショートカットから覗く耳たぶがチャームポイント」なら揺れるピアスを、というように1点投入を基本に。ジュエリーには視線を集めるパワーがあり、ふと目に入ったその部分が美しく魅力的ならあなた自身も素敵な人という印象を与え、強いては自分自身への自信につながります。好きなジュエリーをつけることはもちろんですが、つける体の部位を覚えておくとジュエリー選びの大きな軸になります。

そして靴選び。万能ということで季節に関係なく黒や茶を選びがちですが、おすすめは素肌より2~3トーン濃いファンデーションカラー。足もとを分断することなく肌になじむので、嬉しい脚長効果も期待できます。今回提案するネイビーのジャケットスタイルをはじめ、何を合わせようか迷ったときも服を選ばずすんなりと収まってくれるのも嬉しい魅力。ヒールの高い低いに関係なく、女らしさを感じさせる足もと作りに効果的です。

まとめ

部下を統括して仕事を円滑に進める立場のトップキャリアには、親しみやすい雰囲気をキープしてまわりの意見を聞き取り、風通しのよい良好な関係作りが不可欠です。

そのためにおしゃれを有効利用するのも一案。知的で柔らかな印象づくりに一役買う「女らしさ」をひと匙取り入れて、仕事にもおしゃれにも一目置かれる存在を目ざしましょう。

▶︎ プロフィール

向井真樹(むかい まき) ファッションライター
女性誌やカタログ、ウェブサイトを中心に、ファッションや生活スタイルを軸にした
企画、ディレクション、編集、執筆を手がける。

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