仕事で疲れた時こそ、「女子あるある」動画をみてほしい!さもあんすがいさんからのメッセージとは?

連載・インタビュー

仕事に疲れたときや、会社で何となく嫌なことがあったとき、好きな動画を見てストレスを発散する人も多いのではないでしょうか。大使館芸人や著名IT企業のWebマーケターなど数々のキャリアを重ねてきた動画クリエイターのさもあんすがいさんが作るショート動画は、素の姿で扮する"女性"の振る舞いがあまりにもリアルすぎると話題を呼び、20〜40代の女性を中心に大きな支持を得ています。

くすっと笑える動画を通じて、さもあんすがいさんが伝えたいメッセージとは?動画制作の技術を磨くコツなど、さまざまな角度から質問を投げかけてみました。動画制作の仕事に興味がある読者の方も必見です!

【プロフィール】さもあんすがい
動画クリエイター、タレント。早稲田大学卒業後、国分株式会社に入社。2018年サモア独立国大使館に勤務しながらワタナベコメディスクールの28期生として入学。2019年ワタナベエンターテインメント所属となる。コンビ「近道ラプソディ」を解散後は、ソロでモノマネとラジオパーソナリティとして活動。その後、ヤフー株式会社、株式会社サイバーエージェントに在籍し、現在はフリーの動画クリエイターとして活動中。主にInstagramとTikTok、Threadsをベースに活動し、SNSの総フォロワー数は20万人以上、総再生数は2億回を超える。

「大使館×芸人」の経験が活かせると確信、動画クリエイターの世界へ

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――すがいさんは現在、「女子あるある」シリーズを中心に人気ショート動画を多数制作されています。そもそもなぜ、多くのキャリアを経たうえで動画クリエイターの道を選んだのでしょうか?

自分の経験やバックボーンを活かせると思ったからです。というのも、私はかつてサモア独立国大使館に勤務しつつ、お笑い芸人としても活動していました。

その理由は、単純に"超ブルーオーシャン"だったから。かつての芸人はネタを軸に評価を受けることが一般的でしたが、昨今は個人の経験や人間性、人としての面白みに関心が寄せられていると感じます。「大使館職員」かつ「芸人」でもある、というポジションは唯一無二であり、その経験を動画を用いて表現したら、きっと注目されるのではないかと考えました。

同時に、当時は第1次TikTokブームが巻き起こっていました。その様子を見て、「今後はマスメディアよりも、個人がインターネットで発信をする表現方法が主流になる」と思ったのです。活動の場所を広げるために、SNSを活用しない手はないと思ったことも、自ら動画制作に取り組むきっかけとなりました。

――サモア独立国大使館を退職後は、ヤフー社やサイバーエージェント社に在籍されたと伺っています。このキャリアチェンジは、動画制作の仕事にどんな影響を与えましたか?

Webマーケティングに関する経験や知識の獲得につながったと思います。

同社では、自社のサービスをABテストするなど、マーケティングリサーチ的な業務に関わる機会も多くありました。現在は自らのSNSだけでなく、さまざまなお客様からPRや広告運用のご依頼をいただいています。それもすべて、これまでの経験の積み重ねだと考えています。

動画がリアルに感じられる理由は、8割以上が"ノンフィクション"だから

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(「職場の女子シリーズ」は実際にありがちな状況に共感する視聴者が多数)

――SNSへの投稿動画に関して、現在はどのような視聴者を想定していますか?

Instagramは主に25〜44歳の女性を対象としていて、実際にフォロワーの9割以上が女性です。また、TikTokは18〜25歳の女性が中心で、高校生や学生にも見てもらえる内容を意識しています。

実は、動画制作を始めた当初は「受験生あるある」をテーマに動画を制作していました。ただ、一定数の共感は得られたものの、ニッチなテーマだったため、期待していたほどフォロワーが増えなかったんです。せっかく投稿するならビジネスにつなげたいと思い、メディアやターゲットを再考した結果、Instagramのリール(縦型動画)機能を活用した「女子あるある」動画がテーマにあがりました。

SNSは広告ありきですから、いかに1つのコンテンツに長くとどまってもらうかが重要です。フィード投稿よりもリール投稿のほうがユーザーの滞在時間が長くなるため、効果的な運用につながりやすいのではと考えました。

また、「女子あるある」をテーマにしたのは、私自身の経験上女性の友人が多く、彼女たちとの会話から着想を得る機会が多かったからです。自分の経験を活かしながら、Instagramのユーザーに響く面白い動画が作れそうだと思ったんです。

――動画内ですがいさんが演じる「女子」たちは、一挙手一投足がとてもリアルですよね。言い回しや細かなしぐさなど、難しいと感じることはありませんか?

難しいと思ったことはないですね(笑)。私自身、特に真似をしようとしているわけではなく、日常シーンをそのまま再現しているだけなんですよ。女子トークをしていると、だんだん彼女たちの口調や振る舞いが移ってくるんです。

ですから、動画の素材は私の社会人経験そのものであり、8~9割はノンフィクションです。そのリアルさが好評をいただいている理由であり、他のクリエイターとの差別化ポイントともいえるのではないでしょうか。

素の自分で"女子"を表現するギャップが強み

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――各動画のテーマはどのように決めていますか?

SNSは各シーズンのイベントに関連する投稿が多く、アルゴリズムが反応しやすいため、そのときどきのイベントと絡めてテーマを設定しています。例えば、秋であれば「体育の日」「ハロウィン」など。各イベントに関して、自分が女子友だちとどのような会話をしたか思い出して制作するようにしています。

テーマと構成が決まったら、台本などは用意せず、すべてアドリブで撮影しています。SNS投稿用のショート動画は毎日1本ずつ投稿していて、作りだめはしません。最近は10分から15分もあれば、1本の動画が完成しますね。

――すごいスピード感ですね!投稿した動画に対して、視聴者からはどんな反応をもらうことが多いですか?

「私もこういう体験をしたことがある」「職場にこういう人いるよね」など、ご自身の実体験と照らし合わせて見てくれる方が多いようです。

あと、各動画のエンゲージメントが高い点も私のアカウントの特徴ですね。女装ではなく素の姿で"女子"を表現しているため、そのギャップがリアルさを際立たせる。「圧倒的なアイデンティティ」が自分ならではの強みだと思っています。

――数々の動画を通じて、すがいさんが視聴者に伝えたいことは?

まずは私の動画が「癒しの場所」になってくれればいいな、と思っています。加えて、女性に対して男性ならではの着眼点も伝えられればというねらいがあります。「こういう細かい部分に気づく男子もいるんだよ」というメッセージを発信することで、勇気づけられる女性たちもいるんじゃないかな、と。これまでにない、新たなジャンルのコンテンツとして楽しんでいただけたら嬉しいですね。

動画の世界に飛び込むなら、「自分で0から作ってみる」か「真似てみる」

――「動画クリエイター」のお仕事についても詳しくお聞きできればと思います。動画制作の仕事に求められるマインドや行動を教えてください。

動画制作に関しては、「0→1が得意な人」と「1→100が得意な人」の2パターンに分かれると思います。前者は、とにかく自分で行動して作ってみること。後者は、自分がイメージするアウトプットに近い人を真似る。具体的には、どんな内容を投稿しているのか、どういうアプリや機材を使っているかなどを調べ、徹底的に真似してみることをおすすめします。

ちなみに、私は「0→1」タイプのため、とにかく継続力を重視し、毎日作って毎日投稿していました。そのうえで、たまにバズったときに、コメントなどからその理由を分析する。仮に批判的なコメントがあった場合には、どう改善すべきかを考えます。そのときどきの流行をキャッチしながら、継続し、自分で改善していくプロセスを大切にしてきました。

――なるほど。一方で、技術やスキルを高める方法についてはいかがですか?

私自身は、芸人時代の経験が生きていると感じます。なぜなら、お笑いは起承転結が大切だから。最後にオチをつける必要があり、その構造は動画制作にも通じるからです。また、SNSでは冒頭のインパクトも求められます。ですから、ショート動画においては、オチとなる「結」とフックとなる「起」を決めてから、「承」「転」を作るように意識しています。

あとは、個人的に新聞の「天声人語」「春秋」のようなショートコラムもとても参考になりました。最新の情勢や情報を題材に、自分の意見を絡めてまとめる構成は動画制作にも活きる手法だと思います。

――CANVAS読者には、動画制作の仕事に興味を持っている方もいます。まずは副業的に動画制作の仕事を始める場合に、どんな心がまえが必要ですか?

自分のリソースをきちんと理解することですね。本来業務があるなかで、動画制作にどの程度のリソースを割けるか正しく把握しておかないと、すべてが中途半端になってしまう可能性があります。

また、「スケジュール感」を意識することも大切です。毎日動画をアップできないのであれば、何曜日に投稿するかなどを決めておかないと、視聴者が離れてしまうケースがあるからです。何よりもまず、先々のことを細かく計画したうえで始める必要があるかと思います。

仕事などで疲れたときこそ、「女子あるある」を見てほしい

――今後の目標や展望を教えてください。

中長期的な目標は、全国各地の魅力を発信するコンテンツを作ることです。例えば、今は群馬県に住んでいるのですが、先日「下仁田ネギ」のEDMをAIで作りました(笑)。今後は日本語だけでなく、英語でも曲を作り、農家のおばあちゃんに出演してもらったりしながら、1つの作品に仕上げられたらな、と。それを海外の人に見てもらい、「面白い日本人がいるな」と注目してもらうことが最初の目標です。

そのうえで、世界中の人に楽しんでもらえるコンテンツを発信することが、最大の夢です。私は学生時代から国際交流に興味があり、実際に留学をしたり、就職後も海外との接点がある仕事に従事したりと、世界と関わることを軸に生きてきました。SNSは全世界への発信が可能なツールですので、英語力を活かしつつ、80億人にリーチできるコンテンツを作れたら嬉しいですね。

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――さまざまなキャリアを重ね、日々新たな挑戦を続けるすがいさんから、仕事やキャリアに悩むビジネスパーソンにメッセージをお願いします!

仕事がうまくいかないと感じている人は、まず自分自身を見つめ直し、何に悩んでいるのかを整理することが大切だと思います。そのうえで、人間関係など自分の努力では変えられない事柄が問題なのであれば、環境を変えるのも1つの手です。私も何度か転職を経験していますが、その際は転職エージェントを利用しました。プロに相談し、客観的なアドバイスをもらうことをおすすめしたいですね。

「少し疲れているな」「今日はちょっと嫌なことがあったな」程度のモヤモヤでしたら、ぜひ私の動画を見て元気を出してください!「働く女子あるある」シリーズの動画は、いずれも私自身が経験した楽しい職場を再現しています。実際に、視聴者の方から「こんな会社で働きたい」というコメントをもらうことも多いんですよ。

世の中には、動画内の職場のように楽しく働ける会社もたくさんあります。どうか無理をせず、自分に合う会社や仕事を選んでいただけたらと思います。

(取材・執筆:金子 茉由/VALUE WORKS

さもあん すがい InstagramTikTok

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