トランプ米前大統領が頻繁に言及したことから日本でもその言葉が広まった「フェイクニュース」。今回、総務省の研究会で示された調査結果によると、インターネットやメディアで流れる情報全般の真偽を見分ける自信に関して、日本の20代~60代では「自信がない」と回答した人の割合が「自信がある」と回答した人の割合を上回る結果となりました。
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調査結果は、総務省の「プラットフォームサービスに関する研究会(第36回)」で『令和3年度 国内外における偽情報に関する意識調査~フェイクニュース及び新型コロナウイルス関係の情報流通調査結果』との名称で示されました。
調査は、日常の情報入手手段やフェイクニュースの接触経験などの実態を把握することを目的に、みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社 デジタルコンサルティング部が、日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、韓国の6ヵ国を対象にウェブアンケート調査で実施。
普段インターネットを1週間に1回以上かつ1日数分以上利用している人を対象に、年齢(10代※15歳以上、20、30、40、50、60代以上)と性別(男性、女性)の6属性×2属性で回収設計されました。地域バランスは各国全地域が対象で、ランダムサンプリングを行いました。サンプルサイズは日本2,000件、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、韓国各1,000件となっています。
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1.「ディープフェイク」「ファクトチェック」の認知度は、日本が6ヵ国中最低
同調査によると、「フェイクニュース※1」という用語を「知っている」のは、全対象国において約9割~10割台となりました。
(※1 「定まった定義はないが、何らかの利益を得ることや意図的に騙すことを目的としたいわゆる「偽情報」や、単に誤った情報である「誤情報」や「デマ」などを広く指すもの」【出典】『令和3年度 国内外における偽情報に関する意識調査』)
「ディープフェイク※2」の認知度は対象国中日本が最も低く(58.2%)、最も高い韓国(91.5%)と33.3ポイント差、「ファクトチェック※3」の認知度も対象国中日本が最も低く(46.5%)、最も高い韓国(96.6%)と50.1ポイント差となりました。
(※2 「AI技術や機械学習の技術を悪用して作り出された偽の映像」【出典】『令和3年度 国内外における偽情報に関する意識調査』)
(※3 「偽情報に対抗するために、情報の真偽を検証する活動のこと」【出典】『令和3年度 国内外における偽情報に関する意識調査』)
(【画像出典】『令和3年度 国内外における偽情報に関する意識調査~フェイクニュース及び新型コロナウイルス関係の情報流通調査結果』)
2.ネットやメディアの情報の真偽を見分ける自信、日本が6ヵ国中最低
インターネットやメディアで流れる情報全般に関して、「あなたは、情報の真偽を見分ける自信はありますか。それぞれあてはまるものをお知らせください。」との質問に対して、「非常に自信がある」「ある程度自信がある」と回答した人の割合は、日本が28.8%だったのに対し、アメリカは71.6%、イギリスは74.2%、フランスは74.5%、ドイツは80.0%、韓国は47.0%となり、日本が6ヵ国中最低となりました。
一方、同じ質問に対して、「あまり自信がない」「まったく自信がない」と回答した人の割合は、日本が33.6%、アメリカは9.9%、イギリスは6.1%、フランスは8.2%、ドイツは6.5%、韓国は17.8%となり、日本が6ヵ国中最も高い割合を示しました。
(【画像出典】『令和3年度 国内外における偽情報に関する意識調査~フェイクニュース及び新型コロナウイルス関係の情報流通調査結果』)
3.日本は10代のみ「自信がある」が「自信がない」を上回る
さらに日本において年代別に見ると、「非常に自信がある」「ある程度自信がある」と回答した人の割合は、10代が42.5%、20代が31.9%、30代が24.3%、40代が22.8%、50代が27.8%、60代が23.7%となりました。
これに対し、「あまり自信がない」「まったく自信がない」と回答した人の割合は、10代が26.8%、20代が31.9%、30代が38.0%、40代が35.9%、50代が31.2%、60代が37.1%という結果でした。
インターネットやメディアで流れる情報全般の真偽を見分ける自信に関し、日本では、10代が「自信がある」が「自信がない」を上回ったのに対し、20代~60代では「自信がない」が「自信がある」を上回っており、ほとんどの世代で自信がないことが分かりました。
(【画像出典】『令和3年度 国内外における偽情報に関する意識調査~フェイクニュース及び新型コロナウイルス関係の情報流通調査結果』)
4.まとめ
インターネットやメディアで流れる情報の真偽を見分ける自信について、調査対象国中、「自信がない」と回答した人の割合が最も高かった日本。
「自分は情報操作をされやすいのではないか」と感じている人が多いことをうかがわせる結果となりましたが、一方で、10代は情報の真偽を見分ける「自信がある」人が「自信がない」人を上回っており、多様な情報に触れているという若い世代のある種の自負も感じさせます。
多くの情報があふれる中、情報の真偽や、情報が偏っていないかをどう見極めていくのかが、日本人の多くにとって大きな課題となっている事が分かる調査結果だったと言えるのではないでしょうか。