今年の賃上げどうなる!? 2021年は「昇給は実施・ベースアップなし」が69.1%

今年の賃上げどうなる!? 2021年は「昇給は実施・ベースアップなし」が69.1%

岸田文雄首相が企業に賃上げを促すなど、賃上げに追い風が吹いている一方で、新型コロナウイルスの変異株・オミクロン株の感染拡大やガソリンの高騰など、企業業績への逆風も吹いており、今春の賃上げがどうなるかは予断を許さない状況です。

今回は、今後の賃上げの動向の参考として、日本経済団体連合会(経団連)と東京経営者協会が発表した2021年1~6月実施分「昇給・ベースアップ実施状況調査結果」を見ていきます。

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同調査は、制度昇給やベースアップなど月例賃金引上げの実態と動向を把握し、今後の参考とするために1953年より毎年実施されています。

今回の調査対象は経団連企業会員および東京経営者協会会員企業2,059社で、2021年6月30日~8月31日に実施。集計企業数は461社(有効回答率22.4%、製造業 49.0%、 非製造業 51.0%、従業員 500 人以上 73.8%)となっています。

1.企業が賃金決定にあたって主として考慮した要素

賃金決定にあたって主として考慮した要素を2つ回答してもらったところ、「企業業績」(63.8%)が最も多く、次いで「世間相場」が続く傾向に変化はありませんでした。

一方で、「人材確保・定着率の向上」が減少(24.1%、前年比マイナス2.9ポイント)し、「雇用の維持・安定」が増加(22.4%、同プラス5.6ポイント)するなど、若干の変化も見られました(図表1)。

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(【画像出典】日本経済団体連合会(経団連)・東京経営者協会発表資料)

2.月例賃金引上げの実施状況

月例賃金引上げの実施状況について、2014年から2019 年まで「昇給・ベースアップともに実施」した企業は5割超で推移してきましたが、2020年は39.2%、2021年は30.9%に減少しました。

また、「昇給のみ実施・ベースアップ実施なし」と回答した企業が69.1%に上りました。

2014年から8年連続で、すべての回答企業が定期昇給や賃金カーブ維持分の昇給、ベースアップなど、何らかの方法により月例賃金の増額改定を実施している(図表2)」(経団連、東京経営者協会)ことが分かりました。

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(【画像出典】日本経済団体連合会(経団連)・東京経営者協会発表資料)

3.月例賃金引上げ状況の推移

月例賃金引上げ状況の推移ですが、2021年の月例賃金の引上げ額・率は5,887円・1.93%となり、2013年以来8年ぶりに6,000円・2%を下回りました(図表3-1)。

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(【画像出典】日本経済団体連合会(経団連)・東京経営者協会発表資料)

また、2021年の月例賃金の引上げ額・率(6,038円・1.96%)の内訳は、昇給が 5,672円・1.84%ベースアップが366円・0.12%。昇給は5,000円台半ばから6,000円台前半で推移する傾向に変わりはなく、ベア分は2年連続して 1,000円未満、0.1%台となりました(図表3-2)。

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(【画像出典】日本経済団体連合会(経団連)・東京経営者協会発表資料)

4.月例賃金の引上げ額の分布状況

月例賃金の引上げ額の分布状況は、「5,000円台」(27.3%)が前年比プラス 10.4ポイントと増加して最も多く、次いで「4,000円未満」(18.4%)「6,000円台」(16.8%)、となりました。また、10,000円以上の割合は6.8%で、前年(6.7%)とほぼ同水準となっています(図表4)。

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(【画像出典】日本経済団体連合会(経団連)・東京経営者協会発表資料)

(【記事出典】日本経済団体連合会(経団連)・東京経営者協会発表「2021年1~6月実施分「昇給・ベースアップ実施状況調査結果」の概要」)

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