【ウェビナーとは】メリット・デメリット、活用したい機能と課題を徹底解説

【ウェビナーとは】メリット・デメリット、活用したい機能と課題を徹底解説

新型コロナウイスルの拡大で、テレワークが広がると同時に、密を避ける目的でセミナーをWEB経由で行う「ウェビナー」も増えてきました。

今回は、「ウェビナー」のメリットやデメリット、活用したい機能や課題点についてみていきます。

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1.ウェビナーとは

ウェビナーとはウェブ(Web)とセミナー(Seminar)を合わせた造語で、オンライン会議システムを利用してセミナーを開催することです。

オンライン会議は数名から100名ぐらいが一般的ですが、ウェビナーでは1万名あるいはそれ以上の参加者にオンラインでセミナーを提供することができます。演者のみビデオとマイクをオンにし、参加をする観客はそれを見て聞くという形式です。

新製品の記者発表や、一般向けセミナーあるいは社内研修などでも盛んに使われるようになっています。

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2.主催者側のメリット

従来のセミナーは、どこかに会場を借りて、対面で行うのが一般的でした。このような伝統的な方法に比べて、オンラインで開催するセミナー=ウェビナーには大きなメリットがあります。

(1)会場、運営のコストが不要になる

最も大きなメリットは、会場を借りる必要がなくなるということです。演者はパソコンと通信環境があればセミナーを配信できるので、会議室などでセミナーを開催できます。

また、実際に会場で行うセミナーでは、参加者への案内、受付、会場設営などさまざまな人手が必要になりますが、そのような手間も大きく軽減されます。

(2)幅広い参加者を募ることが可能になる

セミナーの目的は、自社の事業やサービス、製品を広く知ってもらい、見込み客と接触することです。会場でセミナーを開催した場合、参加者は当日その会場までこられる方に限定をされてしまいます。

一方で、ウェビナーであれば遠方の方でも簡単に参加ができるため、従来よりも幅広い方に参加をしてもらうことができるようになります。

また、講演者も場所を限定する必要がなくなるため、講演者が出張先からセミナーを行う、あるいは遠方にいる複数のパネリストが参加をすると言ったことも可能になります。

(3)参加の負担を軽減させることができる

会場でのセミナーの場合、交通の便がいい場所に会場を借りたとしても、参加者にとっては行き1時間、帰り1時間程度の移動時間が必要になる場合もあります。そのため、忙しい時期には参加を見送ることもあります。

しかし、ウェビナーであれば数分前に参加の準備をすればよいことが多く、このような移動時間がなくなります。

また、ウェビナーではセミナーの途中であっても自由に離脱ができる場合もあります。忙しい人にも参加をしてもらえる可能性が高まります。

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(4)正確なフィードバックが得られるようになる

会場セミナーであってもウェビナーであっても、終了後にアンケートをお願いし、フィードバック内容を見て、セミナーの改善をしていくこと必要になります。会場セミナーの場合、そのフィードバック内容は、対面をしているだけあってどうしても遠慮をしたものになりがちです。

一方、ウェビナーでは対面をした感覚が薄いために、思ったことをはっきりと書く方が増えます。中には辛辣な意見もありますが、セミナーの改善、サービス、プロダクトの改善にとって貴重な意見になります。

3.参加者側のメリット

(1)参加のハードルが低くなる

会場セミナーの場合、会場まで行く必要があり、その移動時間も必要になります。距離によっては参加が難しい場合も多く、距離が近くても、結局1日の業務時間の半分ほどを消費してしまうこともあります。そのため、多くの人が参加するセミナーを厳選しています。

しかし、ウェビナーであれば、開始数分前に準備をして、内容が合わなければ途中離脱も気軽にできることが多いです。そのため、今までなかなか出席できなかったセミナーに参加をすることができます。

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(2)内容を理解しやすい

会場のセミナーの場合、わざわざ移動をして参加をするため、主催者側も複数のプログラムを用意するのが一般的です。45分の公演を3つ、最後に講演者全員でパネル討論などというケースが多くなります。

しかし、こうなると3時間近くなり、参加者の集中力も途切れがちです。

一方、ウェビナーの場合、30分から45分のセミナーが1本というパターンが多くなっています。また、講演者の姿を全面に映すのではなく、スライドを全面に映し、講演者の顔を小さくオーバーラップ表示させるというようなスタイルを取ることが増えています。

参加者は、スライドと向き合いながら、セミナー内容を聞くことができ、内容に集中しやすくなり、理解力が高まります。

(3)場所と時間を選ばずに参加ができる

ウェビナーに参加するのに、特別なソフトウェアは必要ないことがほとんどです。参加受付のメールに記載されているリンクをタップすると、ブラウザーが自動的に開き、参加ができるというスタイルが一般的です。

そのため、パソコンだけでなく、タブレットやスマートフォンから参加することもできることも多いです。イヤホンなどがあれば、移動中や喫茶店、自宅などからも参加ができます。

4.一般的なウェビナーのスタイル

(1)製品、サービス紹介セミナー

企業活動の目的は製品やサービスを販売することですから、自社の製品やサービスを紹介することを目的にしてウェビナーを開催します。しかし、製品やサービス名を前面に出してしまうと、その製品やサービスに興味がある人しか集まりません。

そこで、自社の製品やサービスに関連をする有用な知識を解説するウェビナーを開催します。例えば、生命保険が自社製品である場合、「生命保険を軸とした資産形成の考え方」というセミナーを開催し、参加者にとって有用な知識を提供し、最後に自社の製品を紹介します。

参加者はそのまま見込み客となるため、参加者リストを作成し、次回のセミナーへのお誘いやウェブマーケティングに活用します。

このようなウェビナーの場合、30分ほどの短いものが多くなっています。そのほうが参加のハードルが下がり、多くの人に参加してもらえるようになるからです。

(2)製品発表会

新製品を発表する場合は、メディア関係者を招いて会場で行うのが一般的でした。これもウェビナー形式であることが増えています。記者は1日にいくつもの製品発表会に出席をする必要があることもあり、どうしてもニュース価値の高い製品発表会を優先せざるを得ません。

しかし、移動時間が不要であるウェビナー形式であれば、参加をしてもらえる可能性が高まります。また、途中から参加をし、途中で離脱をできる点も忙しい記者にとってはありがたい形式です。

最近では、会場を借りた従来型の記者発表を開催し、そのライブ映像をウェビナー形式で配信するということも増えてきました。また、メディア関係者だけでなく、自社製品のコアなファンも参加をしてくれる可能性もあります。

(3)社内研修

社内研修にもウェビナーを活用する企業が増えています。その理由は時間と場所の両方をシフトすることができるからです。

社内の大規模な研修では、参加者全員が1カ所に集まる必要があります。全国規模の企業の場合、その交通費やロス時間もばかになりません。また、研修に参加するために、参加する社員の業務がとまってしまうのも大きなデメリットです。

ウェビナーを活用すると、参加者は移動をすることなく研修を受けることができます。また、セミナーの内容を録画して、アーカイブ保存をしておけば、その時間に参加が難しい社員は後で研修に参加をすることができ、場所と時間をシフトし、業務への影響を最小限にすることができます。

多くの企業が、全員が集合する対面研修とウェビナー研修、自習オンライン教材などをうまく組み合わせるようになっています。対面研修の開催頻度を減らしてコストダウンをし、業務への影響を抑え、ウェビナー研修の数を増やすことで、効果的な研修を行うようになっています。

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5.活用したいウェビナーの機能

ウェビナーは、Zoom、Teams、GoogleMeet、Webex、Skypeなどを始めとする、よく使われるウェブ会議システムのほとんどが対応をしています。

ただし、ウェビナーを開催するには、上限人数に合わせた有料アカウントの取得が必要になります。それぞれにより、機能も異なるため、目的にあったサービスを選ぶことが必要になります。

ウェビナーでよく使われる機能としては次のようなものがあります。

(1)リアルタイム配信、録画配信

演者がリアルタイムで講演する内容をライブ配信するだけでなく、あらかじめ撮影済みの映像を配信することもできます。また、ライブ配信した場合、録画できる機能が備わっているかどうかも重要です。録画をしておけば、自社のウェブなどにアーカイブとして公開することができ、見逃した人にも見てもらうことができ、自社のコンテンツ資産として蓄積していくことも可能になります。

(2)画面共有機能

演者のパソコンの画面をリアルタイムで配信することができる機能です。パワーポイントなどで作成したスライドを再生しながら、セミナーを進めていくことができます。

また、ポインターの動きもリアルタイムで配信されるため、注目してほしい箇所を指し示しながらウェビナーを進めることができます。

(3)チャット機能

ウェビナーの参加者側は、ビデオ、マイク、チャットを通常はオフにし、演者からの一方通行となりますが、質疑応答の時間にはチャットを開放して、テキストで質問を受け付けることができます。演者は、それを見て、ビデオで回答を配信します。

(4)投票機能

参加者にその場でアンケートを取りたい場合は、投票機能を利用することができます。参加者の画面に選択肢が表示され、いずれかをクリック/タップしてもらう形で投票をしてもらいます。

(5)レポート機能

ウェビナー終了後に答えてもらうアンケートや、参加者のリストなどを集計してレポートしてくれる機能です。入退室時間なども集計されるため、ウェビナーの成果を知ることができます。

6.ウェビナーのデメリットや課題

活用が進んでいるウェビナーですが、デメリットや課題もあります。

(1)通信回線の品質

ウェビナーで最も大きな問題が通信回線の品質です。映像や音声が途中で何度も途切れてしまうと、セミナーの内容は価値があるものであっても、多くの参加者が離脱をしてしまいます。

主催側は、演者の通信環境などを事前に確認して、問題が起こらない環境でウェビナーを行う必要があります。また、参加者側の通信環境に問題があることもありますが、この問題は主催者側ではどうしようもありません。

そのため、参加者のデジタルリテラシーが一定水準以上であることが期待できない場合は、ウェビナーを開催することは避けた方が得策です。

(2)対面コミュニケーションがとれない

ウェビナーの最大の欠点が、対面ができないということです。製品やサービス関連のセミナーでは、参加者と担当者が名刺交換をすることにも大きな意味があります。それがウェビナーではできません。

仮想の名刺交換に相当する交流をすることは可能ですが、名刺交換の意味は、連絡先情報を交換することではなく、わずかな時間であっても対面をして会話を交わしたという共通の体験をつくり、人間関係を築くきっかけにすることです。

多くの企業が行っているのが、対面型セミナーとウェビナーの組み合わせです。年に1回ほど大規模な対面型セミナーや交流会を開催し、一方で、必要な情報は高い頻度でウェビナーで配信をするという方法です。

対面型セミナーだけ、ウェビナーだけではなく、それぞれの特徴を活かして、うまく組み合わせることが鍵になっています。

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7.まとめ

ウェビナーは、ウェブ・セミナーを略した造語です。演者がセミナー内容をライブ配信し、それを多くの参加者が見て聞くという形式で、オンラインでのセミナーが開催できます。企業セミナーや記者発表、社内研修などに活用が広がっています。

会場の運営コストが不要になる、参加者の幅が広がる、時間と場所を選ばないなど数々のメリットがありますが、実際に対面できないというのが最大の欠点です。そのため、対面型のセミナーとウェビナーをうまく組み合わせていくことが大切です。

原稿:牧野武文(まきの・たけふみ)
テクノロジーと生活の関係を考えるITジャーナリスト。著書に「Macの知恵の実」「ゼロからわかるインドの数学」「Googleの正体」「論語なう」「街角スローガンから見た中国人民の常識」「レトロハッカーズ」「横井軍平伝」など。

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