「チャットボット」という機能をご存じでしょうか。実は多くの人が名称は知らずとも使ったことがあるかと思います。今回は、この「チャットボット」について、主な種類やその活用法について解説します。
(※もしかしたら仕事頑張りすぎ!? ... そんな方におすすめ『仕事どうする!? 診断』)
【関連記事】「【エンゲージメントとは】SNSや企業活動で重視される理由」
1.チャットボットとは
チャットボットとは、チャット(会話)をするボット(自動化機械、ロボット)のことです。会話の出力は音声の場合とテキストの場合があります。
音声のチャットボットは、スマートスピーカーやスマートフォンの音声アシスタントが代表例です。また、テキストのチャットボットは、顧客サポート業務に活用する企業が増えてきています。
チャットボットの基本的な仕組みは、利用者のメッセージからキーワードを抽出して、そのキーワードに対応する回答分を送り返すというものです。
今の仕事、会社がつらい...無料で相談できる転職エージェント「マイナビエージェント」に相談してみる。
2.チャットボットの種類
チャットボットというと、人工知能がイメージされますが、すべてのチャットボットが人工知能を使っているわけではありません。
(1)アルゴリズム型チャットボット
どのようなキーワードに対して、どのような応答をするかというルールを記述するチャットボットです。複雑な応対はできないものの、例えば、ユーザーサポート業務で、ユーザーの質問文から、対応する専門部署を判定し、専門性の高いオペレーターに振り分けをするなどという目的で使われています。また、FAQなどのデータが充実をしている場合、ユーザーの質問から適切なFAQの項目を表示し、どれにも当てはまらない場合のみ、人間のオペレーターが対応するという方法もあります。
(2)人工知能型チャットボット
ユーザーの会話文を機械学習し、適切な回答文を出力するのが人工知能型チャットボットです。質問と回答の結びつきの精度が高くなるため、噛み合わない回答文を出力することが少なくなります。
また、ディープラーニングなどを利用して、ユーザーの質問意図などを推定し、先回りして適切な回答文を出力したり、回答文そのものを新たに生成して出力したりするものもあります。商品点数が多い小売業で、ユーザーの希望にそった商品を提案するなどに使われます。
3.チャットボットのメリット
企業にとってチャットボット導入にはさまざまなメリットがあります。
(1)大幅な業務効率化
最も導入が進んでいるのが、サポートセンターや社内ヘルプデスク業務などです。従来は、すべて人間のオペレーターが電話やチャット(会話)で対応をしていました。すべてをチャットに置き換えるのは難しくても、受付をチャットボットに対応させ、質問内容から専門性の高いオペレーターに振り分けるだけでも業務効率があがります。オペレーターが専門分野に特化することで、同時に複数人のチャットに応答することもできるようになります。利用目的、内容によってはすべてをチャットボット化し、無人対応も可能になります。
【関連記事】「【コンバージョンとは】コンバージョンをビジネスで活用するさまざまな方法」
(2)サービス品質の向上
チャットボットはサポートセンターを開設する資本力のない小さな部署でも活用ができます。このような小さな部署では、資料請求、価格の確認といった定型的な問い合わせに対しても人が対応しなければなりません。
しかし、簡易的なチャットボットを導入して、資料請求が必要な人には資料がダウンロードできるウェブページを案内するなど自動化ができます。定型的ではない詳細な問い合わせは担当者につなぐようにします。担当者が不在で答えられない、折り返すということが少なくなり、サービス品質の向上にもつながります。
(3)24時間365日対応
すべての対応をチャットボット化すれば、24時間365日対応が可能になります。人間のオペレーターと組み合わせる場合でも、一部のサービスは夜間にも提供できるようになります。
(4)利用者の拡大
チャットボットであることを周知すると、利用者の拡大が見込めます。ユーザーから見て、ユーザーサポートは意外に面倒なものです。オペレーターに内容を説明する必要がありますし、やり取りに時間もかかります。このようなことから、自分でネットを検索して、自力で回答を見つけてしまうという人も増えています。これはサービス提供企業にとって、サポート負担が減る好ましい状況では決してありません。ユーザーとの接触機会を失い、自社のブランドを棄損していることになります。
一方、チャットボットであれば、相手が人間ではないので、気軽に利用することができます。特に好まれるのが、相手が人間ではないために、敬語や失礼な言い回しなどに気を遣わなくていい点です。また、会話の間に時間が空くことも問題がないため、自分の作業の合間に利用することができます。
(5)ユーザーとの接触機会の拡大
利用者が拡大することで、ユーザーとの接触機会が増えます。例えば、ユーザーサポートの問い合わせ件数の分析は、製品やサービスの質を改善するのに最も重要な統計情報ですが、電話オペレーターのみの対応の場合、電話であることが障壁となって、ユーザーサポートを利用しないユーザー群が生まれる可能性があります。
しかし、チャットボットサポートが周知され、「便利に利用できる取扱説明書」ぐらいの感覚で利用してもらえるようになると、事実に迫った統計データが取れることになり、製品やサービスの改善の大きな力となります。
4.チャットボットの作り方
チャットボットを導入するには、開発会社に制作を依頼するのが常道ですが、近年では自作ができるチャットボットのオープンソースや、チャットボットツールと呼ばれるものが数多く登場しています。
(1)開発会社に依頼する
チャットボットを一から開発するには、設計図を作成したり、プログラムを組んだりと、プログラミングの知識が必要です。
自社にプログラミングに詳しい人がいない場合は、開発会社に依頼して自社に合うチャットボットを開発しましょう。
(2)オープンソースやチャットボット作成ツールを利用する
オープンソースとは無料で公開されているソースコードです。
手を加えなくてもチャットボットの機能がプログラミングされているため、比較的簡単にチャットボットを開発できます。
また、チャットボットツールには、ビジュアルフロービルダーと呼ばれるツールが用意されているのが一般的です。これは、利用者の質問内容とそれに対応する回答文などを、フローチャートを描くように作っていくものです。
チャットボット全体の実装は、ソフトウェア開発経験のある人でないと難しい面がありますが、このビジュアルフローを作る部分はプログラミング知識は不要で、むしろ業務知識を持っている人が開発した方が質の高いチャットボットになります。エンジニアとサポート業務担当者が共同して開発を進めていくことができます。
(1)hachidori
AIチャットボットがビジュアルフロー方式で開発できるツールです。豊富な利用事例があるため、それを読むだけでも参考になります。何より、日本企業であるということが安心できます。
hachidori公式サイトには、自社のチャットボットが用意されているので、まずはそれを使ってみて、チャットボットがどのようなものであるかを体験してみてください。その後、資料のダウンロードから無料コースの利用へと進み、本格導入をするのであれば、利用契約を結ぶことになります。
(【画像出典】「hachidori」WEBサイト)
(2)Dialogflow
Googleが提供するチャットボットツールです。Googleが開発したチャットボットなので、精度や会話の自然さについては世界最高水準です。また、他のGoogleのサービスとの連携もしやすくなっています。開発の難易度は高くなりますが、質が高く、海外対応も可能になるチャットボットが構築できます。無料トライアルも用意されているので、そこから始めることをお勧めします。
(【画像出典】「Dialogflow」WEBサイト)
5.チャットボット開発に興味がある方は
前述の通り、チャットボットは自作できるツールもあるため自社での開発が可能です。
こういった、プログラミング知識がない方でも使えるツールを開発したり、より性能が高いチャットボットを開発したりしたいと考える方は、ITエンジニアの転職に精通した転職エージェントのキャリアアドバイザーに相談してみましょう。
株式会社マイナビが運営する転職エージェントサービス「マイナビエージェント」のキャリアアドバイザーは、面談を通して経験・スキル・条件を確認し、希望に合う転職先を紹介します。
自分で転職サイトを使って探すだけでは見つけられないような企業も紹介してもらえる可能性があるため、どのような仕事をしたいのか明確な希望がある方はぜひ「マイナビエージェント」を利用してみてください。
6.まとめ
チャットボットは、自然言語解析や人工知能などの技術を使って、ユーザーが入力/発話した自然言語からキーワードを抽出し、適切な回答文を返す仕組みです。ユーザーサポートや資料請求など顧客対応に活用する企業が増えています。
開発ツールもさまざまなものが登場していて、開発のハードルはきわめて低くなっています。特にチャットボットの核心部分であるフローチャート、シナリオの部分はビジュアルツールを構築することができるようになっており、テクノロジーのリテラシーよりも業務知識を持っている人が開発をした方が質の高いチャットボットになります。
各チャットボットツールでは、無料トライアル、無料コースなども用意しているので、小さなチャットボットを簡単に構築してみて、自社の業務にどう活かすことができるのかを検証することが最初のステップになります。