学生であっても20歳になったら、第一号被保険者として国民年金に加入義務があり、保険料の納付義務があります。当時すでに払い込み済みであれば問題ないのですが、払っていない、納付の猶予を受けているがまだ払っていない人はどうしたらよいのでしょう?未納のままだと、将来もらう年金額に影響が出てしまうのか心配になるところです。学生時代に未納の国民年金について対処法を紹介します。
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1.学生時代は学生納付特例制度で猶予が受けられる
日本の公的年金には「国民年金」と「厚生年金保険」があります。国民年金は20歳以上60歳未満の国民全員が加入することになっている年金です。国民年金の保険料は所得によらず定額で、年金の支給額は加入期間によって決まります。
一方の厚生年金保険は、主に会社員や公務員が加入するもので、国民年金に上乗せされて給付される年金です。厚生年金に加入している間は、国民年金と厚生年金の保険料は合わせて給与から天引きされ、勤め先が年金の保険料を納付しているので、基本的に未納は発生しません。
国民年金の加入義務が始める20歳の時に学生だった場合、学生納付特例制度によって、保険料の猶予を受けることができます。この制度で猶予された期間の保険料は10年以内なら遡って納めること(追納)ができます。
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2.追納はした方がお得?
追納しないと将来もらえる年金に影響してしまうのか?と心配になる一方、社会人になって経済的な余裕が出てきたとはいえ、まとめて保険料を払うのはちょっと厳しい、そう思う方も多いことでしょう。
例えば平成25年と26年に学生納付特例制度を受けた人が、令和3年度中に追納する場合、追納額は平成25年度分が月額1万5180円×12カ月=18万2160円、平成26年度分が1万5330円×12カ月分=18万3960円で、2年分で36万6120円を支払うことになります。
保険料の納付猶予を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に保険料を追納する場合は、承認を受けた当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされるので、余裕がある人は早めに追納した方がお得になります。
将来老齢基礎年金(国民年金)を受け取るためには、原則保険料の納付期間が10年以上必要です。学生納付期間特例制度の承認を受けた期間は、この受給資格期間に含まれます。ですが、老齢基礎年金の額の計算の対象となる期間には含まれません。よって追納をしないと将来の年金受取額が減ってしまうことになります。
では追納した場合、老後の年金はどう増えるのでしょう?国民年金は480カ月(20~60歳までの40年間)払うと受給額は「満額」になります。満額の額はその年によって異なり、例えば令和3年度の満額「780,900円(年額)」で計算してみると、
780900円÷480=1カ月あたり約1,626円
1,626円×24カ月(2年分)=39,024円
2年分の追納をすると、年間約39,000円増えることになります。
仮に年金を65歳から受給し、80歳まで生きた場合、39,000円×15年=約58万円多く年金を受け取れます。
また追納するメリットとしては、支払った金額が社会保険料控除の対象となることです。この控除は支払った人が受け取ることができるので、結婚していて妻の分を夫が支払うと、夫が年末調整や確定申告で控除を受けることができます。
3.納付猶予を忘れてしまったと、またはどうしたかよくわからない、という人は?
そもそもこの学生納付特例制度を申請していない場合、猶予ではなく、未納扱いになります。
猶予とは違って、未納期間は受給資格期間には含まれず、年金額も減額されます。
未納の場合は納付期限から2年以内であれば払うことができます。
自分が猶予か未納かわからない、という人は、毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」で確認をしてみましょう。ねんきん定期便には、年金の加入期間や未納期間などの詳細が記載されています。ねんきん定期便を失くしてしまった、という人も「ねんきんネット」で基礎年金番号とメールアドレスを登録すれば、自分の年金記録を確認することができます。
4.気が付いたら10年以上たってしまった!追納期限切れの場合
猶予を受けて10年以上たってしまい、追納期限が過ぎてしまった場合はどうしたらよいでしょう?1つの方法として国民年金の「任意加入制度」を利用するという手があります。
国民年金の加入年齢は60歳までで、満額は480カ月ですが、この480カ月に足りない場合、60~65歳までの間で国民年金に任意加入をして足りない分を埋めることができます。保険料はその時の国民年金保険料を払うことになります。
社会人として経済的にまだ安定していない時期に約40万円を支払うのは厳しいという人は、余裕のある老後に支払いを先延ばしするということも検討してみてもよいでしょう。
5.まとめ
学生時代の未納分、経済的に余裕があるのであれば、払った方がよいですが、余裕がない場合は無理に払わなくても、60歳以降の任意加入制度を活用でリカバーはできます。またはその分働いてせっせと貯蓄をする、なるべく長く厚生年金に加入するなどで自分でも老後資金を増やすことができます。
まずは未納分などがないか、ねんきん定期便で自分の年金状況をチェックしてみましょう。