【株式会社青山綜合会計事務所】大切なのは、安心感と納得感
▶︎ プロフィール
株式会社青山綜合会計事務所
ファイナンシャルビジネスサービスEグループ グループマネージャー
兼 ファンドアドミニストレーショングループ グループマネージャー
三室 佳奈子(Mimuro Kanako)
大学卒業後、リートの運用会社へ入社。その後、不動産ファンド会社でのSPC経理職を経て2012年8月に株式会社青山綜合会計事務所へ。アソシエイト、スタッフ、アシスタントマネージャーを経験し、2016年9月にマネージャー、2020年8月にグループマネージャーに就任。
青山綜合会計事務所の三室佳奈子さんは、2つのグループのマネージャーを兼任しています。資産の証券化を行うSPCの受託サービスという高度な専門知識が必要になる業務をこなしています。管理職になったばかりの頃は、どうすればチームに貢献できる仕事ができるようになるのかと悩んだ時期もあったそうです。
しかし、出産、子育てというライフイベントとの両立に関しては、不安はほとんどないと言います。ひとつは青山綜合会計事務所の産休、育休制度が充実していることです。もうひとつがリモートワークの仕組みが整っているので、出社と在宅勤務を組み合わせることで、仕事と育児の両立ができるからです。
そして、もっとも安心できるのは、制度があるだけでなく、多くの先輩社員が産休、育休制度を活用しているため、身近なところにお手本があるということだと言います。いざ、その時になったら、細々としたことまで、相談をし教えてもらえる。それが長く働く上での安心感につながっています。
SPCの設立から管理、解散・清算までをワンストップで支援
ーー三室さんが所属される青山綜合会計事務所とはどのような業務をされているのでしょうか?
お客様が社内で行う会計処理を受託して行う、それに関連して会計のコンサルティングを行うというのが、一般的な会計事務所の業務になります。
私たち青山綜合会計事務所は、上記のような事業企業へのサービスも提供していますが、会計事務所の中でもニッチな分野に特化をしていて、会計の知識と経験を活かして、ファンドサービスを行っています。
「不動産の証券化」という言葉をお聞きになったことがあるかと思います。これは企業が所有する不動産などを証券化して、複数の投資家の方に出資をしていただくことで資金調達などをしやすくするための仕組みです。この時、不動産を企業本体のバランスシートから切り離すためにSPC(特別目的会社)を設立して、ここで資産の証券化を行うこととなります。
私たち青山総合会計事務所は、このSPCの、会計、税務、資金管理、役員派遣などバックオフィス業務を一括して受託し、SPCの設立から管理、解散・清算までをワンストップで支援しています。
ーー具体的な業務内容は、一般の企業の経理部に近いイメージでしょうか?
会計、税務の処理も行なっていますが、記帳や申告書の作成といった作業に関しては、今後かなりの部分が人工知能(AI)などによって自動化されていくと考えています。そのため、弊社では、コンサルティングの部分に力を入れています。
資産の証券化にもさまざまなスキームがあります。会計、税務面から効果的なスキームであるとか、資産を保有する企業側の視点だけでなく、投資家側の視点からも魅力的なスキームであるとか、さまざま考えられます。クライアント企業の要望、目的に合わせてどのようなスキームが最適であるかを提案する業務に積極的に携わりたいと考えています。
ーー日々の業務は、提案書を作るような業務が多いのでしょうか?
関係者とコミュニケーションをとり、調整をするという時間が大部分だと思います。メールなどを読んで、先方の疑問にお答えする、提案する、確認するという業務が多く、さらに、関連した会計処理、申告書などの作成をします。
また、支払い業務に関しては、スピーディーに対応することが求められるので、他の仕事よりも優先して処理をしなければなりません。投資家の資金を預かって運用しているので、資金を回転させる効率を重要視される投資家としては1分でも1秒でも早く支払いをしてほしいとお考えになるからです。
結局、1日のほとんどの時間をPCの前に座って業務をしていることになりますね。
ーー三室さんは、不動産の証券化という専門領域にずっと関わってこられたのでしょうか?
大学を卒業して以来、ずっと不動産の証券化ビジネスに関わってきました。新卒で入社したのが不動産の証券の運用会社でした。いわゆるリート運用企業です。その後、SPC経理に特化したくて不動産ファンド会社へ転職したのですが、入社1年後にリーマンショックが起こってしまい、打撃を受けざるを得なく、希望退職者の募集を始めたんです。それで、もう一度、自分を見つめ直すいい機会だと思い、希望退職をしました。
しばらく、資格試験の勉強をした後、せっかく不動産の証券化について実地で学んだのだからと、それを活かせる転職先を探しました。そこで、青山綜合会計事務所とご縁ができたのです。
「個人」ではなく「組織」で業務にあたるからこそ生まれる文化
ーー青山綜合会計事務所のどこに魅力を感じましたか?
まず、面接でも役員の方とコミュニケーションをとる機会があり、なんて風通しのいい会社なんだろうという印象を受けました。それと、前職で青山綜合会計事務所の方と仕事上関わりもあったりして、まったく知らない会社ではないという安心感もありました。
でも、決め手になったのは、やはり、面接を担当してくださった方が尊敬できる方だったからです。こういう方といっしょに働けるのであれば、楽しく働けるだろうなと感じました。
私は会計に関してはある程度勉強してきましたが、一方で、税務に関しては知識も少なく、経験はほとんどありません。青山綜合会計事務所では、両方の専門知識が必要になるのに、そんな私を誘ってくれたことにとても感謝したのです。せっかく機会をいただいたのだから、税務についても学んでみようと思いました。
ーー現在、青山綜合会計事務所の男女比はどのくらいでしょうか?
私は2つのグループのマネージャーをしていて、ファイナンシャルビジネスサービスEグループでは7:3で女性が多く、ファンドアドミニストレーショングループでは100%女性です。全体でも7:3ぐらいで、女性の多い職場です。
ーーということは、出産、育児などの制度なども整っていますね?
はい。制度面はものすごく充実していると思います。制度だけではなく、先輩社員が実際に産休、育休をとっている姿を身近なところで見ているので、安心をしています。
育休が終わっても、子どもが熱を出したというような突発事態が起きても、チームの他のメンバーに業務をお願いして抜け出すということが、全員が当たり前のことだと思っています。さらに、リモートワークの仕組みも充実しているので、時には、子どもを寝かしつけてから自宅でフォローの業務をするという対応も可能です。
実際に、ライフイベントと仕事を両立させている先輩社員がたくさんいるということがとても大きくて、私のライフイベントはまだこれからなのですが、不安というのはほとんどありません。その時になったら、いろいろ先輩社員に教えてもらうこともできると思います。
ーー管理職であることと、出産、育児の両立については不安はないですか?
そこはタイミングの問題があると思います。私も管理職になりたてのときは、やはりプレッシャーを感じていました。あの時に、ライフイベントが重なっていたら、つらいと感じていたかもしれません。自分もまだ管理職の仕事がわからず、どうすればチームに貢献できるのだろうとよく考えていました。
でも、上司がとても話しかけやすい方で、小さなことでも困ったと感じたら、自分で抱え込まずに上司に相談をしていくうちに、そういうプレッシャーは消えていきました。
私も管理職になって4年なので、今であれば、ライフイベントが重なったとしても、特に不安に思うことはありません。
ーー気軽に相談できるいい上司に恵まれたということでしょうか?
はい。とても幸運だったと思います。でも、気軽に相談できるというのは弊社の文化とか社風になっていると思います。
一般的な会計事務所というのは、資格を持った専門家集団なんです。一人一人がプロフェッショナルという意識があるので、困ったことはまず自分で解決しなければならないという文化があるように思います。
弊社も、一人一人が専門知識、資格を持ったプロフェッショナル集団であることは同じですが、資産の証券化に特化をしている、業務のシステム化を進めているということがあって、組織で業務にあたることに力を入れています。1つの案件を1人で担当するのではなく、複数人のチームで担当する。当然、チーム内でのコミュニケーションや情報共有が重要になるので、そこから気軽に相談できるという文化が生まれてきているのだと思います。
ーーそれは、三室さんのチームだけではなく、全社的にそうなのでしょうか?
そうです。弊社は社員教育にも力を入れていて、そこでも組織的に動きたい、チームで働くとはどういうことかという弊社の考え方を浸透させています。実際のチームでも、経験豊富なベテランと未経験の新人が組むように配置し、先輩社員は後輩に教えることも重要な業務のひとつだと位置づけています。
そのチームの中で、新人が先輩にわからないことを聞く、ベテランは新人に教えるということが当たり前になってきて、チーム内でのコミュニケーションが循環するようになってきたことを実感しています。
ーー三室さんご自身は、ライフイベントをどのように計画されていますか?
私はまだ独身なので、すべて未定です(笑)。でも、出産は授かりものなので、そういうタイミングになったら、仕事のことを考えて躊躇するというようなことはしないと思います。
弊社ではテレワーク制度がコロナ禍の前から充実していて、フルリモートワークで管理職をこなしている方もいらっしゃるほどです。リモートワークと組み合わせることで、仕事と育児は両立できると思います。
例えば、一般には通勤が厳しくなる時期から産前休業を取られると思いますが、その期間、弊社であれば在宅リモートワークができます。体調に合わせて時短勤務も可能です。産後休業でも、在宅と時短を組み合わせて、自宅で育児をしながら仕事ができるのではないかと考えています。
実質的な産休は短くて済むので、業務の引き継ぎや復帰もスムースにいくのではないかという漠然としたイメージを持っています。もっとも、私は子育ての経験がまだないので、先輩社員から「子育てってそんな甘いものじゃないのよ」と叱られてしまうかもしれませんけど(笑)。
ただ、工夫次第で、いろいろ選択肢が用意されていると感じています。その時がきたら、先輩社員にいろいろ教えていただこうと思っています。
質の高い仕事を行うポイントは「納得感」
ーー三室さんが、仕事をする上で、大切にされていることは何でしょうか?
安心感を持って働くということです。私も安心して働きたいし、チームのメンバーにも安心して働いてほしい。一人で抱え込んで悩んで、仕事がつらくなるような働き方は絶対にしてほしくない。仕事に責任を持つのは当たり前のことですが、なにか縮こまって、口を閉ざして耐えるような働き方はしてほしくないですね。
ーー安心感を持って働くにはどうしたらいいでしょうか?
どんなささいなことでも、気軽に上司や同僚に相談することです。私自身もチームのメンバーに、「なんでも聞いてね」「なんでも言ってね」ということを繰り返し言うようにしています。
それが「このプロジェクト、そもそもやる意味あるの?」という根幹を揺るがすようなことであっても、言ってほしいと思っています。そこから議論することで、100%の納得は無理でも、チームメンバーの方向性が次第に合致をしていきます。全員が納得感を持って業務にあたるということが質の高い仕事につながると思います。
特に、若手の方は、経験が浅い分、まったく新しい視点で核心をつくことが多く、驚かされることが少なくありません。そういう時こそ、みんなで話し合って、納得感を持ち、チームで同じ方向を向いて仕事をしたい。納得感を持った若手は大きな力になりますし、業務経験がついてくれば、今度は業務の仕組みそのものをいい方向に変えていく力になります。
「気軽に相談できる雰囲気づくり」は簡単ではありませんし、うまい工夫もありません。ことあるごとに「なんでも聞いてね」を言い続けるだけです。でも、それでチームの空気は変わってきましたし、行動が変わってきました。そういう柔軟さと素直さを持ったメンバーに恵まれて、仕事をしています。
ーー会計の世界を目指す学生、社会人の女性にアドバイスをお願いします。
会計業務に携わるには高度な専門知識が必要になります。でも、この業界を目指す方で、そこを躊躇される方はあまりいらっしゃらないと思います。
仕事はハードと言えばハードです。でも、だからこそ、弊社を含め業界全体がワークライフバランスを重要視し、産休、育休を含めた制度を充実させてきています。でも、制度が充実していることと、実際に活用されていることには大きな隔たりがあります。弊社の場合は、先輩社員がそういう制度を活用して生き生きと働いているというお手本があったので、私たち後輩社員も躊躇することなく制度を活用できています。
産休、育休が取りづらい空気感とかマタニティハラスメントのようなことは、もう、業界の中でもほとんどないと思いますが、身近な人が活用しているというお手本があるかどうかというのは大きな違いになってくると思います。
ライフイベントを経ながら、長く働きたいと考えている女性の方は、ぜひ、制度だけでなく、実際の利用実績のようなところまで踏み込んで徹底的にリサーチをして、会社選びをしてほしいと思います。そうすると、ほんとうに女性が働きやすい会社というのが見えてくると思います。
仕事でも、プライベートでも、安心して臨める会社を選んでいただき、ご自分の人生を豊かなものにしていただきたいと思います。
三室さんがおっしゃった、産休、育休とリモートワークを組み合わせるという発想は、今後女性の新しい働き方として定着していくことになるかもしれません。産休、育休とも長期である方がいいという人もいますが、長期休暇を取るためには、あらかじめ社内で長期プロジェクトは担当しないように調整をしておく必要があります。さらに、ライフイベントもあらかじめ予定を立て、ワークとライフのすり合わせを考えておく必要があります。そのことに息苦しさを感じてしまう方もいるかもしれません。
三室さんが提案する産休とリモートワークの組み合わせであれば、業務に影響する度合いを最小限にとどめることができるので、仕事は仕事でやりがいのある仕事を選び、ライフイベントは授かりものとして時機を得た時に臨むということができるようになります。仕事も人生もがんばりたいという方は、この働き方を選択肢のひとつに入れておくべきではないでしょうか。
(編集部)
株式会社青山綜合会計事務所
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