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【株式会社野村総合研究所】仕事と人生の両方を楽しむのに大切なのは「私は周りから後押しされている」という感覚を持つこと

▶︎ プロフィール

株式会社野村総合研究所
人事部 ダイバーシティ推進課長
村田 あゆみ(Murata Ayumi)
経済学部卒業後、アプリケーションエンジニアとしてNRI入社。企業派遣にて海外MBA留学を経験し、帰国後はITコンサルタントとして複数の証券会社の支援を行う。その後、人事部に異動し、2019年10月よりダイバーシティ推進課長として活躍中。

野村総合研究所の村田さんは、人事部ダイバーシティ推進課長を務め、性別、年齢、国籍、家庭の事情が異なる社員が、互いの強みを活かしながら業務に当たることができる制度づくり、仕組みづくりをしています。
村田さんは経済学部出身でありながら、流通小売業を大きく変革させた情報システムに興味を惹かれ、野村総合研究所にエンジニアとして入社しました。その後、海外MBA留学を経て、ビジネスアナリスト、プロジェクトマネージャーとして業務にあたり、昨年、ダイバーシティ推進課長として管理職になりました。
華々しい経歴の村田さんですが、海外留学をする直前には「英語が不安」「海外生活ができるだろうか」と不安な気持ちから躊躇をされたそうです。決断ができたのは、友人や同僚、上司の後押しがあったからだと言います。
女性は男性と比べて、自分を過小評価しすぎる傾向があり、自信不足から、人生の節目での重要な決断を躊躇してしまいがちな傾向があるとも言われています。しかし、村田さんは周りの後押しがあって、留学を決断し、キャリアを切り拓いてきました。この「私は周りから後押しされている」感覚が、現在の女性の置かれている状況にはとても重要だと村田さんは考え、現在のダイバーシティ推進課の業務にも活かしています。

「お客様に喜んでいただくことができる」。まさにやりたかった仕事

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ーー村田さんが所属される野村総合研究所は、どのような事業をされているのでしょうか?
大きく2つのビジネスをしています。ひとつがコンサルティングサービス、もうひとつがITソリューションサービスです。近年、この2つのサービスが一体となって事業を進めることを「コンソリューション」と名付け、特に力を入れています。
証券、銀行、保険といった金融業、コンビニ、スーパー、家電量販店といった流通小売業などの顧客企業にコンサルチーム、技術チームが一体となって、お客様とともに企業戦略の立案や、サービスの開発をし、顧客企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)に寄与をしていく。私たちは常にお客様の期待を超える、お客様ご自身が気づかれていない課題についても、しっかりと先回りしてソリューションを提供しています。
世の中では、野村総合研究所というと、コンサルのイメージが強いかもしれませんが、みなさんが普段利用されている企業のサービスを、裏から私たちNRIの開発したシステムが支えていることも多いのです。

ーーその中で、村田さんの所属するダイバーシティ推進課はどのような業務をされているのでしょうか?
ダイバーシティとインクルージョンの推進をミッションとする部署です。ダイバーシティ活動は、2008年頃から、主に女性活躍を推進するNRI Women's Network(NWN)から始まっています。私もそのメンバーの一人でした。
女性活躍推進を目的としたNWNの活動は、一定の成果が得られたので、2019年10月に、女性以外のダイバーシティ推進にも活動を広げるべく、人事部の中にダイバーシティ推進課が設けられました。女性活躍はもちろんですが、年齢、国籍、文化などバックグラウンドが違う人たちが、互いの強みを活かしながら力を発揮できる環境を整える。これがインクルージョンです。
例えば、野村総合研究所には高品質で安定稼働する大規模システムづくりを支えるシステムエンジニアの方がたくさんいます。しかし、顧客企業のDXを推進するためには、短期間で試行錯誤できることが求められますし、人材としても顧客企業内でビジネスに深く携わったことがありCX/UX(カスタマー/ユーザー体験)に長けたエンジニアがどんどん入社してきています。同じエンジニアと言っても、文化が違い、発想がまったく違います。こういう方々が一緒に力を発揮できる仕組みづくりも私たちダイバーシティ推進課の業務です。

ーー村田さんは、エンジニアとして野村総合研究所に入社されました。元々、エンジニア志望だったのでしょうか?
いいえ、学生の時はマスコミ志望で、報道機関の記者に憧れていました。ですが、大学時代に「百貨店の未来を考える」というシリーズ講義があり、それで自分の方向が定まりました。当時、百貨店は元気がなく、コンビニがものすごく成長をしている時代でした。なぜ、スーパーやコンビニが好調なのかというと、情報システムの力だと感じました。在庫管理などをシステム化して、データに基づいて魅力的な売り場づくりに成功している。コンシューマー企業の強さの鍵は、情報システムだと思ったのです。
私が記者を志望していたのは、世の中で知られていない課題に光をあてることで、世の中をよりよくする意義のある仕事だと思っていたからです。情報システムの開発も、ただプログラムをするのではなく、顧客企業が気づいていない課題に光をあてて、それをテクノロジーで解決し、顧客企業をよりよくする仕事だと感じました。それで、情報システムを作る仕事をしてみたくなりました。

ーー就職先に野村総合研究所を選ばれたのはどうしてでしょう?
情報システムに興味を持ちましたけど、私はプログラマーになりたいわけではありません。顧客企業のお話を伺い、課題を見つけ、それを解決する情報システムを提案、開発し、お客様に喜んでもらいたい。そうすると、コンサルティングとITソリューションを一体として提供している野村総合研究所が就職先として浮かび上がってきました。
それと、野村総合研究所の顧客企業には流通小売企業も多かったので、私の原点となった「百貨店の未来を考える」で感じたことが実現できるとも思いました。でも、入社して配属されたのが証券部門だったんです(笑)。

ーーそれは、少し不本意でしたか?
配属が決まった時はプチ・ショックでした(笑)。でも、すぐに仕事が楽しくなりました。
新人ですから、新規開発ではなく、エンハンスのチームに配属されます。システムの維持管理の業務ですが、それだけではなく、お客様といっしょに課題を発見して、改善をしていく重要な業務で、その意味で私たち野村総合研究所では維持管理やメンテナンスではなく、エンハンスと呼んでいます。まだ新人なのに、お客様のところへ行けて、直接お話を伺うことができる。そこで、小さいことながらお客様の課題を発見して、改善提案をして、システムに反映させ、お客様に喜んでいただくことができる。それは、まさに私がやりたかった仕事です。
野村総合研究所は、経験の浅いうちから、そういうお客様が喜ぶ姿を目のあたりにするという経験をたくさんさせてくれます。会社にはものすごく感謝していますね。毎日が楽しかったです。

挑戦と決断

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ーー村田さんは、2011年に海外MBA留学をしますね。それはどういうきっかけでしょうか?
仕事は楽しかったのですが、リーマンショックが起こります。証券業界を担当していたので、あらゆることが大きく変わりました。これからは、ITに長けているだけではだめだな、グローバルビジネスについても最も深く学ぶ必要があるのではないかと思い始めました。
その時、海外MBA留学経験のある同僚たちから海外留学を勧められたのです。

ーーそれで、すぐに留学をされたのですね。
いいえ。最初は躊躇してしまったんです。もちろん、社費で海外留学させてもらえるなんて、一生に一度あるかないかのチャンスだということは分かっていましたが、不安も大きかったんです。
英語は好きでしたけど、海外で暮らせるほどのレベルではありませんでした。それなのに、英語の授業を受けてちゃんと理解できるのか。そもそも海外の知らない町でちゃんと生活していけるのだろうかと。
それに、私は30歳を過ぎていて、まだ独身でした。留学に行ってしまったら、結婚とか出産とか、私の人生どうなってしまうの?と不安なことばかり考えてしまうのです。

ーー留学することを決断できたのはなぜですか?
ありがたいことに、周りのみなさんが私をそそのかしてくれるんです(笑)。ものすごく勇気づけられました。
いきなり留学するのは不安なので、会社の研修制度を使って、3週間のミニMBA講座を受講してみました。そこには他社の方などさまざまな方が学びにきています。そこで知り合った方で、私も尊敬できると思える方が留学を勧めてくださったことが大きかったです。その方は「日本人でも英語ができる人はたくさんいる。ビジネスができる人もたくさんいる。でも、英語とビジネスの両方ができる人はめったにいない。あなたなら両方できる人になれると思う」と言ってくださったのです。
上司も私の不安を時間をかけてじっくりと聞いてくれました。同僚も励ましてくれます。そういうたくさんの方々の後押しがあって、今、留学しないと、きっと私は一生後悔することになると思い、ようやく決断ができました。

ーー留学から帰国して、現在のダイバーシティ推進課に異動されたのですか?
いいえ。帰国してしばらくは、ITコンサルタントとして、ビジネスアナリストとプロジェクトマネージャーを兼ねたようなポジションで、お客様である証券会社に常駐をして、一緒に新規システムを考えたり、金融制度変更に対応するプロジェクトの推進をしたりする仕事をしていました。
6年間、その業務をした後、2018年に人事部に異動し、ダイバーシティ推進の仕事を担当することになりました。

ーーITコンサルタントから人事部に移られたのはどうしてでしょう?
最初は、人事部でダイバーシティ推進の業務をすると聞いて、びっくりしました。ただ、以前からNWNのメンバーとしてずっとダイバーシティ推進には関わってきたので、戸惑う感覚はなかったです。むしろ、会社の中の働き方の課題を発見して、それを解決する制度というシステムを作る仕事なので、面白そうだと思いました。

ーーNWNではどのような活動をされてきたのですか?
NRI Women's Networkは、2008年にスタートした活動です。当時のことですから、ダイバーシティと言っても、本来の意味より狭い範囲の、女性活躍推進がテーマでした。私たちの会社でも、女性社員は人生イベントを理由とした離職が多く、男性社員の就業継続率と比べるとかなり低かったのです。当時は、長時間労働をする傾向もまだ残っていました。その中で、子育て中のワーキングマザーにもっと活躍してもらうためにはどうすればいいかということを議論していました。
男性社員に対する啓蒙活動も行いました。当時の男性社員は、女性の働き方に対して理解がないのではなく、経験が少ないためにどうしていいのかを知らない方が大半でした。女性社員が妊娠すると、男性上司はどう対応していいのかわからず、経験のある同僚にとりあえず電話をかけて何とか対応を考えた、という話も聞いていました。そこで、私たちは、部下の女性が妊娠したとき、会社として使える制度に何があるのか、体調面でどのような配慮・声かけをすべきか、産休に入るまでや復帰時のコミュニケーションをどうすれば良いのかを体系だってまとめた男性上司向けのガイドブックを作りました。育児休業から復帰した女性社員とその上司向けの「育児と仕事の両立支援研修」を導入した他、女性社員のキャリア啓発の研修にも取り組み、一定の成果は出せたと思います。
でも、現在(2020年4月時点)においても、NRI単体の社員数は約6500人で、女性比率は2割。管理職の女性比率は7.5%程度です。全体比率と比べると管理職比率はまだまだ低く、NWNの活動は道半ばです。実はNWN活動を推進する組織は人材開発部にあったのですが、女性管理職登用には人事部が重要な役割を果たすため、2019年10月に人事部にダイバーシティ推進課ができたのは、女性管理職登用により力を入れるためでもあります。

健全な小さな失敗を経験させるカルチャー

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ーー女性の管理職比率がまだじゅうぶん高くないことの原因はどのように分析されていますか?
これは、人それぞれの理由があって、一概に語ることはできないと思います。ただ、一般的に、女性は管理職になることに躊躇してしまう傾向はあるのかなと思います。
意欲的で難しいポジションへのオファーがあった時、必要な能力が10だとして、男性は自分は6しかないけど挑戦してみようと考える方が多いと思います。しかし、女性は10満たしていないと難しいと考えてしまう慎重さがあり、遠慮をしてしまうところがあります。
これは、意欲がない、消極的ということではないのですが、結果、遠慮をしてしまうという現象を捉えて、「意欲がない」「消極的」というレッテルでまとめられがちで、複雑な問題だと考えています。

ーーその遠慮をしてしまう慎重さはなぜ生まれるのでしょうか?
正確なことはわかりません。育ってきた男女の文化的な違いとしか言いようがありません。女性は自分を過小評価しがちな傾向があって、インポスター症候群という言葉もあるぐらいです。
私も留学を決断する時はそれに近い状態だったかもしれません。でも、決断できたのは、周りの方々の後押しがあり、「私はみんなから後押しされている」という感覚を持つことができたからです。そういう後押しをできる制度、仕組みづくりがダイバーシティ推進課の大きなテーマになっていくと思います。

ーー管理職という責任の重い仕事と、出産、育児という人生イベントを両立させることは難しいと考える女性も多いですね。
確かに、責任あるポジションと人生イベントの両立は簡単ではないと思います。でも、自分のキャリアを中長期で考えていただきたいのです。
たまたま出産を控えている、子どもがまだ小さい。その時に責任あるポジションのオファーがあって、両立は難しいと判断した。だったら、その時は引き受けなくてもいいのだと思います。会社の時短勤務制度などの支援策を最大限に活用して、踏ん張ってもらい、その後、子どもが大きくなってそろそろいけるという時が必ずくるので、そこに向けて準備をしておくという姿勢が大切なのだと思います。

ーー人生イベントは、ご縁だったり、授かりものだったり、いつ起きるか予定が立てづらいところもあります。重要なポジションを引き受けてしまってから、出産となると周りに迷惑をかけることを心配する方もいらっしゃいますよね。
私の経験ですけど、人生イベントはなるようにしかなりません。私は必要以上に恐れないようにすることが大切と思います。今、プランニングが好きな人が増えていて、自分の人生の計画を立てることはとても大切なことですが、それに縛られすぎてしまい、不本意ながら負担の軽い仕事を選んでしまったり、せっかくのチャンスを逃しているのを見て、ものすごくもったいないという印象を持つことがあります。
確かに重要な案件が佳境に達しているときに、出産や子育てで仕事を抜けるというのは周りに負担をかけることになります。でも、仕事を抜けるというのは、産休や育休だけでなく、事故や病気、親の介護、さまざまな状況があり得るのです。
私たち野村総合研究所では、システム開発の仕事が中心になっているからか、いついかなる時でも仕事が引き継げるように、普段からドキュメントをきちんと整理しておくというのが基本動作のひとつとなっています。いつ自分が抜けても、業務に支障が出ないようにドキュメントを整理し、コミュニケーションをとっておくのです。この基本動作のおかげで、私自身も、過去に盲腸で入院したことがありますが、お客様に迷惑をかけるような事態は避けることができました。
ましてや、出産や子育ては突然起きる事態ではなく、準備期間が取れます。社員全員がそのように補い合って、家庭のことをしたり、長期休暇をとっています。それがチームで働くということです。周りに迷惑をかけることを過度に心配する必要はないと思います。

ーー管理職になると、失敗することができない。プレッシャーを感じるという方も多くいらっしゃいます。
失敗してもいいんではないでしょうか?野村総合研究所には「健全な小さな失敗を経験させる」というカルチャーもあります。リーダーは、メンバーが危なっかしいなと思ってもあえて任せて見守る。そして、小さな失敗を経験させる。それにより、どうすれば失敗をしないようになるかを自発的に考えるようになるからです。
私自身も、ダイバーシティ推進課長になったばかりの頃は、張り切りすぎて空回りをしてしまい、失敗をたくさんしました。でも、上司が見守っていてくれて、定期面談では、それをどう修正すればいいかの相談に乗ってくれました。管理職だって、失敗していいんです。失敗からいかに学ぶかが大切だと思います。また、その小さな失敗を致命的な失敗に拡大させないための仕組みづくりも重要だと思います。

ーー管理職というポジションの魅力はどこにありますか?
できることの幅が広がることです。世界が変わります。
一メンバーの時も自分でできることは精一杯やって、みんなの役に立とうと思っていましたが、管理職になると、ポジションの力もありますが、チームのメンバー、他部署の管理職、協力会社の方など、いろいろな方が力を貸してくださるようになります。今まで一人ではできなかった新しいことにもどんどんチャレンジできるようになりました。
仕事量はもちろん増えます。でも、その増えた仕事をこなせるだけの力を周りから貸してもらえる。管理職にも上司はいて、上司は私のことを見守っていてくれます。厳しくなったら、上司や同僚に助けを求めればいい。みんな、必ず助けてくれます。
経験を積んでいく間に度胸がついたのか、今、私は仕事も人生も両方楽しもうと考えています。どちらかを犠牲にして、片方だけを取るのではなく、両方取りたい。結婚する・しないと人生の楽しみは関係ないと考えてはいますが、ご縁があり、昨年結婚しました。今後、出産という人生イベントがどのタイミングでくるのかは授かりものなのでわかりませんが、さまざまな会社の制度、カルチャー、周りの方々の力を借りて、両立していけると感じています。仕事も人生も楽しみにしています。


村田さんのキャリアに憧れを持つ方も多いのではないかと思います。しかし、留学をする直前は、ご自身を過小評価し、不安になったこともありました。それでも留学を決断できたのは、ご自身の周りに「後押しをしてくれる環境」があることに気づかれたからです。

帰国後、管理職になられてからは、意識的に周りの「後押しをしてくれる環境」を活かして、新たな業務に挑戦をされています。そして、ダイバーシティ推進課長として、社内に「後押しをしてくれる環境」を作っていこうとされています。村田さんは、女性が仕事と人生の両方を楽しむには、「私は周りから後押しされている」という感覚を持てることがとても大切だと言います。

私にはそのような環境がないと嘆かれる方もいるかもしれません。でも、それは村田さんが留学の時に気がついたように、すでに存在しているのに見えていないだけかもしれません。村田さんのお話を読んで、ぜひ、周りに目を配ってみてください。

(編集部)


株式会社野村総合研究所

東京都千代田区大手町1-9-2 大手町フィナンシャルシティ グランキューブ

https://www.nri.com/jp/

コンサルティング・金融ITソリューション・産業ITソリューション・IT基盤サービスの4つの事業を通し、社会の仕組みづくりやお客様のビジネス、人々の快適な暮らしを支えます。

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