テレワーク時代に注目の「付加価値付き定期券」とは?

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新型コロナウイルス感染拡大の影響で、リモートワークを推奨する動きは続いています。通勤頻度の減少に伴い、通勤定期券の購入をどうすべきか、悩んでいる人も多いことでしょう。鉄道各社でも定期券収入の減少が続く中、定期券に割引サービスなど付加価値を付ける動きも広がっています。鉄道会社のこの新たな取り組み「付加価値定期券」について紹介します。

1.付加価値の付いた定期券って?

通常の定期券にポイントサービスや割引サービスなどの付加価値が付いた定期券が注目を集めています。今までも、例えばJRE CARD(Suica定期券付)など、クレジットカード一体型で定期券購入を含むクレジットカードの利用時にポイントが付くサービスなどは存在していました。対して現在、テレワークや時差通勤を支援する付加価値の付いた定期券など、今の社会状況に合わせた特徴的な定期券と関連サービスが出てきています。

1.1.より快適なテレワークを支援!東急「DENTO」の場合

ひとつの例として、東急線の通勤定期券ユーザーを対象とした「DENTO」というサービスが、2021年1月13日から4月28日の間に実験的に実施されています。盛りだくさんなサービスの具体的な内容を見ていきましょう。

まず、都心へ向けて通勤する場合、満員電車など密な状況になりがちです。そのような状況を防ぐためのサービスのひとつとして、多摩田園都市地区と東京都心を往復する通勤高速バスを定期券ユーザー限定で利用できます。ゆとりのある車内にはWi-Fiが完備してあり、移動中に作業をすることが可能です。

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退勤時向けのサービスとしては、都心にある会社から横浜市青葉区内の自宅まで利用できる相乗りハイヤーも用意されています。乗車人数には制限があるため、密な状況を避けて快適に家まで帰ることができます。移動をサポートするサービスの変わり種としては、都心から大井町駅周辺の飲食店までのハイヤー送迎サービスがあります。店舗では、定期券ユーザー限定の特別メニューも用意されています。

他にも特徴的なサービスとして、東急グループのスポーツ施設や商業施設でテレワークが可能になるというサービスがあります。対象エリアはたまプラーザ・あざみ野・青葉台・南町田と限定されていますが、家だと集中できないときに働く場所の選択肢が増えるのはありがたいと言えるでしょう。

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その他、割引関連のサービスも充実しています。例えば、商業施設・スポーツ施設・映画館施設・大井町駅周辺の商店街など、東急グループ内外の沿線にある施設で使える割引クーポンが配信されます。多摩田園都市地区と東京都心を往復する通勤高速バスの割引優待も受けられます。

「DENTO」は使いやすいサービス設計も大きな魅力のひとつです。LINEの公式アカウントトーク画面を通じて会員登録・商品選択・決済・利用を完結させることができ、リマインド通知なども配信されます。

期間限定かつサービスを利用できる地域が限られてはいますが、東急線ユーザーは検討する価値があるサービスと言えるのではないでしょうか。

また、「DENTO」とは別に、東急線の定期券ユーザーは東急でんき&ガスの契約が、2年間で最大毎月110円(最大で2,640円)割引になるサービスもあります。この割引サービスは通勤定期券だけではなく通学定期も対象です。割引金額は少なくなりますが、電気のみ・ガスのみの利用もできます。

2.JR東日本は時差通勤でポイントゲット

JR東日本では、Suicaの入金残高での乗車などでJRE POINTというポイントが溜まるサービスを実施しています。このサービスの一環として、新しく2021年春から1年間、時差通勤でポイントが溜まるようになります。具体的には、対象エリア内の各駅で設定されたピーク時間よりも前の時間帯にSuicaの通勤定期券で入場すると15ポイント/日・後の時間帯なら20 ポイント/日が、出場時に還元されます。

このサービスを受けるには、Suica 通勤定期券を購入の上、JRE POINT Webサイトでエントリーが必要です。通学定期などは対象外である点も注意しましょう。JRを通勤で利用する人は注目しておくとよいでしょう。

またJR東日本では、定期券を購入しなくても同じ区間を繰り返し利用することでポイント還元サービスが受けられます。Suica の入金残高で在来線の同一運賃区間を月10回以上利用すると、運賃1回分相当のポイントが還元されるというものです。11回目以降は、1回につき運賃の10%相当が還元されます。

3.まとめ

リモートワークが増えた今、定期券を購入するよりも回数券などの割引券を利用した方が得になる人もいれば、ここで紹介したような付加価値付きの定期券を利用した方が快適な生活を送れる人もいます。また、通勤に利用している鉄道会社に今は付加価値付きの定期券がなくても、今後各社から発表される可能性は十分あります。自分の働き方などを振り返り、最もお得で快適な生活を送るために最適なサービスは何か、一度検討してみてはいかがでしょうか。

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回遊舎(かいゆうしゃ)

"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」、「J-REIT金メダル投資術」(株式会社秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」(株式会社ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(株式会社廣済堂出版)など。

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