2020年7月1日より、すべての小売業でプラスチック製買物袋の有料化が開始されました。無料でもらえていたレジ袋がなくなることで、生活習慣が変わった方も多いと思います。レジ袋有料化によって、環境問題にどのような効果が期待できるのでしょうか。(Misa)
レジ袋有料化でどう変わる?
有料化の対象となるのは購入した商品を入れる"持ち手のついた"プラスチック製買物袋、いわゆるレジ袋です。繰り返し使用できる50マイクロメートル以上のプラスチックフィルムを使用したもの、海洋生分解性プラスチック100%のもの、25%以上バイオマス素材が配合されたものを除いて、レジ袋を有料にしなければなりません。
経済産業省のホームページでは、レジ袋有料化の目的について、プラスチックの過剰な使用を抑制し、賢く利用していくためのライフスタイルを見直すきっかけとすると記載しています。実際、日本国内のレジ袋が減少したからといって、環境問題が劇的に改善するとは考えられません。しかし、レジ袋有料化によって生活習慣が変わることで、私たち消費者の意識を変化させる効果は期待できるかもしれません。
レジ袋有料化の開始にあたり、全国の20歳~69歳の男女を対象に行われた「レジ袋有料化に関する調査」では、回答者の2人に1人は、コンビニでの買い物にマイバッグを持参するようになったと回答しています。
さらに、30代の女性を中心に全体の38.5%がレジ袋有料化によって「自宅のゴミ袋がなくなる」という懸念を抱いています。無料のレジ袋=ゴミ袋が有料になることがゴミそのものを減らそうという行動へとつながるとよいと思います。
【出典】「レジ袋有料化に関する調査」(株式会社クロス・マーケティング)
レジ袋有料化で注目されているもの
レジで渡される袋の一枚のことですが、有料化によってさまざまな影響を及ぼしています。レジ袋有料化で注目されているものをご紹介します。
・バイオマス素材
バイオマスとは、持続的に再生可能な資源である、木材、海草、生ゴミ、紙、動物の死骸・ふん尿、プランクトンなどの「動植物から生まれた、再利用可能な有機性の資源」をさします。バイオマス素材を25%以上配合した袋は有料化の対象外です。
・マイバッグ、風呂敷
消費者が持参する買い物袋をマイバッグと呼びます。レジ横で、マイバッグを販売する小売店が増えています。これまでマイバッグを持っていなかった人が購入し、販売数は伸びています。同時に日本古来の風呂敷が、小さくたたみやすく、使い方の自由度が高いと注目されています。
・ゴミ袋
市販のゴミ袋のほうが割安であることは確実ですが、レジ袋をゴミ袋として使用するために、あえて購入する人もいるようです。一方で食パンの袋をゴミ袋にするなど、さまざまな工夫をしている人もいます。
・レジハラ
レジハラスメント、つまりレジで起きるハラスメントです。スーパーやコンビニのレジで、レジ袋有料化の怒りをぶつける人が急増しているそうです。テレビの情報番組などで報じられるほど、問題となっています。
コロナ禍による新たな環境問題も
コロナの影響で新たな環境問題が起こっています。海洋ごみに使い捨てマスクが急増しているのです。使い捨てマスクの不織布は紙のように見えますが、化学繊維つまり石油製品で、プラスチック製品と同様に自然に分解されるのに長い時間がかかります。海洋生物の誤食被害も報告されています。日本では使用済みのマスクをポイ捨てする人は少ないですが、レジ袋やマスク以外のゴミでも起こりえる問題です。レジ袋有料化をきっかけに、一人ひとりが、自分が出したゴミがどうなるかを意識した消費行動をとるようになれば、こうした被害も徐々に減っていくのではないでしょうか。
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プロフィール
原稿:Misa
ITベンチャーで企画、人材開発、広報などを経て独立。現在はコンサルタント、ときどきライター。ライターとしては、IT系以外、アニメ・マンガ、車から美容・健康まで何でもチャレンジ中。