コロナ対策、免疫力がアップする食事とは!?--料理家・食生活アドバイザーの甲斐優美さんに聞く

コロナ対策、免疫力がアップする食事とは!?--料理家・食生活アドバイザーの甲斐優美さんに聞く

新型コロナウイルス感染拡大が続く中、仕事や学校のためにやむをえず外出している方々も多いかと思われます。通勤や通学、職場や学校での感染を防ぐために、マスクや手洗い、うがいなどと並んで有効なのは、免疫力をつけて自然免疫でウイルスを撃退することとされています。今回は、レシピ開発や飲食店向けのメニュー開発、料理動画撮影、フードスタイリング、ケータリングなどを行う「Graceful Kitchen」を経営する、料理家・食生活アドバイザーの甲斐優美さんに、日々の食生活の中で免疫力をアップする方法についてお聞きした内容を紹介します。

甲斐 優美 (かい ゆみ)さんは、新潟県のご出身で、お母さんの影響で幼少期から料理の楽しさを学んだということです。大学卒業後は東京のIT企業でOLとして働いた後、結婚を機に料理の世界へ転向されました。約4年間女性料理家へ師事された後、2017年に独立。現在はレシピ開発や飲食店向けのメニュー開発、料理動画撮影、フードスタイリング、ケータリングなど、幅広い分野で活躍されています。

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「好きな料理を仕事に」「家族を守りたい」二つの思いが重なりOLから独立

――甲斐さんは、お母さんの影響で料理に興味を持たれたということですが、具体的にはどのようにして、料理に関わっていらっしゃいましたか。

そうですね、母は専業主婦だったのですが、私は小さいころから母が料理を作っているところを見ていたり、一緒に手伝いをしたりして、自然と料理に興味を持つようになりました。

また、実家の近くに住む祖父母が農業を営んでいたので、農作物を収穫する手伝いをしたり、夏には旬のトマトやナスなど畑で採れたての野菜を食べる機会も多く、自然と食への関心も高まっていったような気がします。

――大学で関東にいらっしゃったということですが、食事はどうされていましたか。

一人暮らしになってから、自炊をするようになり料理が趣味になりました。

人間の味覚は、9歳までに決まると言われています。味を感じる味蕾細胞という細胞があるのですが、コンピューターにたとえると、味を感じる基本となるOSの部分は3歳まで、機能をインストールできるソフトウェアの部分は9歳までに決まる。つまり、9歳までの食体験がその人の味覚のベースとなるのです。自然味あふれる手作りの食事を小さいころから食べていたので、自然と自炊をするようになりました。親しい人に料理を振る舞うのも好きでしたね。

――幼少期に何を食べていたのかが重要なのですね。

はい。例えば、添加物がたくさん入ったファストフードや、できあいの加工食品を食べて育った場合は、化学調味料の強い味に慣れてしまい、それがおいしいと感じるようになってしまうのです。

――なるほど。ただ、料理が趣味の人は多いですが、それを仕事にしようということになると、なかなか勇気がいりますね。

そうですね。OL時代は、IT企業の広報として、仕事に大変やりがいを感じていましたが、一生かけてやりたいと思えるものはまだ見つかっていませんでした。

働いていくうちに、自分はやはり料理をするのが一番楽しいし、もっと深く追求し続けたいという自分の気持ちに気づいたのが、料理家になる決心をした第一の理由です。

さらに、結婚して、「家族の食を守りたい」という気持ちが強くなりました。家族には、安心・安全で、手作りの美味しい料理を食べてほしい、そういう気持ちが沸き上がってきたのです。

自分のやりたい事、家族への思い、その気持ちが重なって、食の世界へ飛び込む決心をしました。

免疫力アップに重要な「腸内環境」とは!?

――新型コロナウイルス対策としても、食生活は重要ですよね。

そうですね。食生活が乱れると、体調を崩しやすくなったり、病気にかかりやすくなったりします。病気にかかりやすくなるのは、免疫力が下がるからです。新型コロナウイルスに関しても、免疫力が下がると感染しやすくなるといわれていますから、食生活はやはり重要ですね。

――私も、免疫力がアップするとうたっている飲料や食べ物を食べるようにしています。

何を食べたり飲んだりするかも重要なのですが、免疫力を上げるために重要なのは、腸内環境です。腸内にはたくさんの細菌がいますが、大きく分けて、(1)悪玉菌、(2)善玉菌、(3)日和見菌、の3種類がいます。これらの細菌が広がっている腸の状態を「腸内フローラ」といいます。

善玉菌と悪玉菌はいつも戦っていて、日和見菌はその名の通り、どちらか優勢なほうにつきます。悪玉菌が増えると、栄養の吸収が悪くなって免疫力が低下するのです。

また、腸内環境が悪くなると、病原菌やウイルスが体内に入ってきたときにそれらを発見したり攻撃したりする免疫システムが働きにくくなって、免疫力が下がります。

――――そうすると、腸内環境が悪いと、いくら栄養のある食事を摂っても、栄養が吸収されず、免疫力は上がりにくくなるのですね。

そうなんです。人は病原菌やウイルスにさらされて生きています。ですので、病原菌やウイルスに感染するかしないかは、その人の免疫力によるものが大きいのです。

「一日一杯のお味噌汁」で免疫力もアップ!

――では、どのような食事をすれば、腸内環境は改善するのでしょうか。

まずは、発酵食品を摂ることですね。納豆や、生きた菌である麹(こうじ)を用いて発酵させて作る味噌などを摂取すると腸内に善玉菌が増えますから、免疫力アップにつながります。

あとは野菜や根菜、海藻、きのこ類などで食物繊維を摂ると、便が出やすくなって体内の悪いものを出してくれる作用があります。白米にもち麦を混ぜて炊いても食べても、食物繊維は摂りやすくなります。

逆に、加工食品やファストフードは避けたほうがいいでしょう。保存料、乳化剤などの食品添加物が多く含まれ、腸内環境を乱してしまうからです。

――ただ、一人暮らしで自炊する習慣がないような人は、なかなか食生活に気を気張ることができないかもしれません。

そうですね、そういう方は、まず一日一杯でもいいですので、お味噌汁を飲むことをおすすめします。先ほどお話したように、味噌は発酵食品ですので、善玉菌を増やし、腸内環境も良くしてくれます。

できればインスタントではなく無添加の味噌で作ってほしいですが、難しければ、インスタントでも結構ですので、日頃からお味噌汁を飲む習慣をつけていただければと思います。

私は一日二杯のお味噌汁と納豆一パックを必ず摂るようにしています。

(甲斐さんお手製のお味噌汁。おいしそうだ。)

――「一日一杯のお味噌汁」なら、忙しい人でも簡単にできそうですね。

また、よく乳酸菌がいいといわれますが、実は日本人には、ヨーグルトや牛乳などの乳製品を消化する酵素を十分持ってない方もいらっしゃいます。

乳酸菌のサプリメントでしたら、そうした方でも乳酸菌が摂り易いと思います。

――なるほど。薬局で売っていそうですね。

先ほどお話ししたように、食物繊維を摂るのもいいですね。最近は気候の影響で価格が高騰していますが、旬の野菜は栄養価が高く、栄養を摂る観点からもおすすめします。

調味料は、白砂糖ではなく、きび砂糖や甜菜(てんさい)糖などの砂糖がいいでしょう。白砂糖は身体が糖を吸収する速度が速く、血糖値が急激に上がりやすいという点で良くないからです。

――食生活を改善することで、新型コロナウイルスにも対抗できるわけですね。本日はありがとうございました。

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目からうろこの話ばかりで、本当にためになるお話でした。

皆さんもぜひ、「一日一杯のお味噌汁」、実践してみてはいかがでしょうか。

筆者プロフィール

thatcher

福岡県出身。メーカーの経理部員、新聞記者、雑誌編集者などを経て、現在はWEBサイトの編集者。話好きだが声が大きすぎ、ひんしゅくを買うことがしばしば。周りからはうるさいおじさんと思われている。
趣味は血液型占い、星座占いと、ちょっとした予言。意外と当たり、周囲を当惑させている。

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