もしかしてその「奨学金」、<br>U・Iターンで負担がぐんと減るかも?

もしかしてその「奨学金」、<br>U・Iターンで負担がぐんと減るかも?

在学中、奨学金を受けて学生生活を送っていたという人は多いと思います。そして、就職した今、奨学金の返済を頑張っているという人も多いことでしょう。もしかしたら返済計画に行き詰ってしまい、どうしようと悩んでいるという方もいるかもしれません。そんな不安と負担、U・Iターンで軽減できるかもしれません。

そもそも奨学金とはどんな仕組みか

学生がより勉学に安心して打ち込めるように学資を貸したり、支給したりするのが奨学金の制度です。この奨学金には3種類あります。

1つは、返済義務のない給付型。その代わりに条件が厳しかったり、金額が少なめだったりします。次に、返済義務のある貸与型。そして数は少ないですが、給付と貸与を併用するタイプもあります。

奨学金制度11,204制度のうち、給付は7,907制度(70.6%)、貸与は3,222制度(28.8%)、併用は75制度(0.7%)で、給付が7割を占めているそうです。しかし、奨学金の事業額で見てみると、給付が611億6,138万4,000円で41.6%、貸与が850億2,823万7,000円と57.8%を占めることに。併用は0.7%で9億5,940万7,000円です(平成28年度 奨学事業に関する実態調査結果より)。そう、奨学金の額の半分以上は貸与。返済義務のある借金なのです。

この貸与型のものには、無利息のものと、利息がつくものがあります。利息がつく場合は、奨学金の額よりも返す金額の方が多くなりますので、なるべく早く返したいものです。しかし、新入社員の手取りではなかなか思うように返済ができません。ということで、先延ばしにして、生活に負担が無いよう少しずつの返済する人も多くなっています。結果として、結婚資金を貯める、子どもの学費を貯めるといった先々のライフプランにまで影響が出てしまっている人も多々見受けられます。

返済しないとどうなるのか

返済は基本、口座引き落としになります。でもその口座にお金がなかったら引き落とされません。引き落とせなかった場合、どうなるのでしょうか。(独)日本学生支援機構の場合を例に挙げて説明します。

まず、本人、連帯保証人、保証人に対して、文書と同時に電話による督促の連絡が入ります。それを無視していると、督促が強まり、以下のような督促が行われます。

・一括返還請求
返還期限が到来していない分を含め、返還未済額の全額、利息および延滞金の返還を求められます。

・代位弁済請求
(独)日本学生支援機構から保証機関である(公財)日本国際教育支援協会に対し、返還未済額の全額、利息および延滞金について請求を行います。

・保証機関からの請求・督促
代位弁済がなされた場合、(公財)日本国際教育支援協会から、代位弁済額の一括請求が来ます。

・強制執行
それでも返済に応じない場合は、(公財)日本国際教育支援協会が強制執行にいたるまでの法的措置を執り、給与や財産を差し押さえます。

支払い遅延を起こすと、「延滞金」もかかり、余計に返済する額が膨らみますし、さらに支払いを怠って延滞が3カ月を超えると、「個人信用情報機関への登録」、いわゆるブラックリストに載ってしまいます。そうなってしまったら、ローンを組めない、クレジットカードを作れない・利用停止になる、スマホの割賦契約ができないという状態に。しかも、全額返済した後もなお、5年間信用情報は消えません。

そんな奨学金の返済を支援!

(独)日本学生支援機構の奨学金は返済が難しい場合、手続きを取ることで、1カ月の返済予定額の減額や返済期限の猶予をしてもらえます。でも、返済予定の金額が減ったり、利息が免除されたりするものではありません。単に返済期間が長くなるだけです。ない袖はいつまでたっても振れない、そんな人はどうすればいいのでしょうか。

今、そんな奨学金の返済に悩む若い勤め人を救うべく、奨学金の返済を支援する取り組みが設けられているのをご存知ですか?地方公共団体において、大学の卒業後に、域内の特定の業種に一定期間就業するなど、定められた要件を満たした場合に、奨学金の返還を支援するという仕組みです。

地方公共団体の支援策とは?

現在、奨学金返還の支援を行っているのは、32府県。対象となる奨学金の種類や対象者の要件、支給金額、支給時期等は地方公共団体ごとに異なり、新卒のみが対象のもの、また、専門学校生や大学院生、社会人、県外出身者が対象となっている場合もあります。
なお、現在実施している32府県のうち、4府県(京都府、兵庫県、岡山県、広島県)の取組については、従業員に対する奨学金返還支援の制度がある中小企業等を支援するという制度になっています。

奨学金の返済に悩んでいるなら、このような仕組みを活用することも検討してみてはいかがでしょうか。

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プロフィール

回遊舎(かいゆうしゃ)

"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。
近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」、「J-REIT金メダル投資術」(株式会社秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」(株式会社ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(株式会社廣済堂出版)など。

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