敬語とは、相手に敬意を表す言葉遣いであり社会人の基本です。しかし、「正しい敬語の使い方がわからない」という声もよく耳にします。今回は、敬語の種類における違いを解説し、ビジネスシーンでの使い分け方法についても例に挙げて紹介するので、敬語に自信がない方はぜひ参考にご覧ください。
【関連記事】「【正しいビジネス敬語の使い方】間違いやすい言い回しや実例を紹介」
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敬語の基本!種類の違いを押さえよう
敬語には大きく分けて「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」という3つの種類があり、それぞれを適切に使い分ける必要があります。
■敬語の3分類
尊敬語:相手の動作・状態をじかに敬う言葉(相手が主語)
謙譲語:自分(身内)がへりくだることにより、相手を敬う言葉(自分が主語)
丁寧語:話し手が自分の品位を保つために使う丁寧な言い方
また、文化庁は敬語の働きをより深く理解するため、「謙譲語」と「丁寧語」を2つずつに分けた5種類を敬語の分類としています。それぞれの特徴を一覧で紹介するので、まずは違いをしっかり理解しておきましょう。
基本の3種類 | 尊敬語 | 謙譲語 | 丁寧語 | ||
---|---|---|---|---|---|
文化庁が示す5種類 | 尊敬語 | 謙譲語I | 謙譲語II(丁重語) | 丁寧語 | 美化語 |
主語 | 相手 | 自分 | 問わない | ||
定義 | 相手の動作や状態を敬う言葉 | 自分から相手に向かう行為や事象について相手を立てて敬意を示す言葉 | 自分の行為や事象ついて丁重に述べる言葉 | 相手に対して丁寧に述べる言葉 | ものごとを美化して述べる言葉 |
使用例 | いらっしゃる、なさる、召し上がる、お忙しい、御出席など | 伺う、お目にかかる、差し上げる、御案内する、御手紙など | 参る、申す、いたす、小社など | です、ます | お花、お酒など |
【出典】文化庁「敬語の指針 平成19年2月2日文化審議会答申」
間違えやすい「尊敬語」と「謙譲語」の使い分け
尊敬語と謙譲語はどちらも相手に敬意を表す言葉ですが、「直接相手を敬うのか」「自分がへりくだることで相手を敬うのか」という違いがあり、混同してしまうという方も少なくありません。
そこで、ここからはビジネスシーンで間違えやすい「尊敬語」と「謙譲語」の使い分け方法を、シーン別に実例を挙げながら解説します。相手によってどちらを使用するかが変わるので、実際の状況を想像しながらチェックしてください。
【シーン①】会議で着席を促す・着席をする場合
まずは、会議での着席シーンです。自社の会議で取引先に着席を促す場合と、他社の会議で着席を促された場合の使い分け方法を解説します。
自社の会議で取引先に着席を促す場合(尊敬語)
×「どうぞ、お座りください」
〇「どうぞ、お掛けください」
目上の人に着席を促す場合は、「座る」の尊敬語である「お掛けになる」を使用するのが適切です。「お座りください」も一見ていねいで問題ないように思えますが、人によってはペットの「おすわり」を連想して気分を害することもあるため注意が必要です。
他社の会議で着席する場合(謙譲語)
×「それでは、掛けさせていただきます」
〇「それでは、座らせていただきます」
「どうぞ、お掛けください」と促されたら、謙譲語の「させていただく」を使用して「座らせていただきます」と返しましょう。
上述したように「掛ける」は相手を敬う尊敬語であるため、自分に使うことはできません。
【シーン②】会議の資料について確認・報告を行う場合
取引先と会議の資料についてやり取りをする際の使い分け方法です。自分が目を通したことを報告したり、相手が目を通したかどうか確認したりするときは、以下のような敬語を使用します。
自分が目を通したことを報告する場合(謙譲語)
×「資料を見ました」
〇「資料を拝見しました」
取引先という目上の人に見たことを報告する際は、自分をへりくだって相手を立てる「謙譲語」である「拝見する」を使用します。
このとき、「拝見いたしました」「拝見させていただきました」と表現する方がいますが、これは間違いです。このように、同じ種類の敬語を2つ以上重ねて使うことを「二重敬語」といい、敬語を使用する際は避けなければなりません。
「いたす」「させていただく」は「拝見する」と同じ謙譲語であるため、同時に使用することはできないルールです。
取引先に目を通したか確認する場合(尊敬語+謙譲語)
×「資料は見ましたか?」
〇「資料はご覧いただけましたか?」
取引先という目上の人に見たかどうかの確認をする場合は、「見る」の尊敬語である「ご覧になる」を使用します。そのまま「ご覧になりましたか?」でも間違いではありませんが、「もらう」の謙譲語である「いただく」を使用するとより丁寧な表現になります。
なお、2つの敬語を使用していますが、「尊敬語」と「謙譲語」という異なる敬語の組み合わせのため、この場合は二重敬語になりません。
【シーン③】課長がもうすぐ来ることを伝える場合
自分の上司である課長がもう間もなくここに来るということを、課長の奥様と他社の人に敬語で伝える際の使い分け方法です。
課長の奥様に伝える場合(尊敬語)
×「〇〇は、間もなく参ります」
〇「〇〇課長は、間もなくいらっしゃいます」
課長の奥様は「自社以外の人」ですが、ご家族に対しては尊敬語の「いらっしゃる」を使用します。また、敬称である「課長」も忘れずに使用しなければなりません。
他社の人に伝える場合(謙譲語)
×「〇〇課長は、間もなくいらっしゃいます」
〇「(課長の)〇〇は、間もなく参ります」
他社(自社以外)の人に対して、自社の社員の話をする際は、上司であっても「身内」と見なし、謙譲語の「参る」を使用します。また、「課長」は敬称に当たるため、「〇〇」と呼び捨てにするか、「課長の〇〇」と名前の前につけます。
まとめ
言葉遣いの間違いは、年齢を重ねるとなかなか指摘してもらえません。早いうちに敬語の種類を押さえ、普段から正しい敬語を使うよう意識することでしっかりと身につきます。さまざまなパターンをシミュレーションしながら、適切な敬語を使い分けられるようになりましょう。
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