ビジネスの初対面の挨拶は実はチャンス!<br>苦手な初対面を克服する5つの処方箋

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ビジネスの初対面って、難しいですよね。名刺交換の行列をつくって、決まり文句を言い合ったかと思えばそのまま沈黙が始まったり、少しも笑わない無愛想な担当者に冷や汗をかきながら必死で話題を探してみたり。何にせよ、「初対面は大得意!」なんていう人はほとんどいないんじゃないでしょうか。

誰もが苦手、それが初対面。けれど、ビジネスにおいて初対面での印象は最重要。ほんの数秒の挨拶が、この先の良いお付き合いのきっかけとなることもあれば、最初の印象が悪かったためにその後のご縁が切れてしまうという苦い経験をすることも...。

日々、多くの人たちと出会うビジネスの場での貴重な「一期一会」を逃さないように、今回は、初対面の苦手意識を克服するための5つの処方箋をご紹介します。初対面の場に流れる氷のような雰囲気を崩す<アイスブレイク>も有効なので、併せてご覧ください。

初対面の処方箋1.仲介者からネタを仕入れておく。

初対面の相手とのコミュニケーションを苦手に感じてしまう理由の一つに「相手の情報を持っていない」ということがあります。共通項もわからない状態でハラハラしながら相手の興味を探っていくのは、なかなか気疲れするものです。
相手のことがあらかじめわかっていれば、初対面でも相手を喜ばせることのできるネタを仕込んでおくことができますね。
そこで考えてみたいのが、仲介者の存在。初対面の相手と会う場合には、多くの場合、間で仲介をしてくれる方がいるのではないでしょうか。たとえば引き継ぎの前任者や仲のお客様など、初対面の相手に引き合わせてくれる仲介者がいる場合には、必ず情報を入手するよう働きかけましょう。
仲介者から得た情報をもとに初対面の相手が喜ぶネタを仕込んでおく。これは初対面の基本中の基本です。 たとえば、「時間にすごく厳しい人だよ!」と聞いていた場合は、初対面の際には思い切って30分前に行ってみる。そしてさりげなく「いつも30分前行動を心がけているんです。仕事効率が大きく違います」といった話題を投げかけてみると、そこから話が広がるかもしれません(もちろん「30分前から待っていました」なんて言ってしまうと、待たせてしまった印象を与えてしまうのでNGですが)。
しかし、せっかく事前にネタを仕入れることができても、活用できなければ意味がありません。
会話の中で「うちの部長はコワモテだけど実はAKB48の大ファンなんだ」という話がこぼれてきたら「じゃあ部長との会話の端々に、AKBネタを挟んでいこう」、「自分はAKBに詳しくないから、事前に最近のニュースやメンバーなどを調べておこう」といった具合に、ネタの活用シーンを想定したり、ネタについて深く調べたりしておく。それが初対面の苦手を克服し、気の利いたことを言うことができる人の秘密なのです。初対面は、初対面の前から始まっています。初対面の相手の情報収集を怠るのはプレゼントを用意せずにクリスマスパーティに参加するようなものと心得て、仲介者へのインタビューとネタの仕込みに励みましょう。
この処方箋を実践すれば、沈黙を恐れて意味のない天気の話題を繰り出す重苦しい初対面からは卒業です。

初対面の処方箋2.ちょっとネガティブな情報をあえて流しておく。

処方箋1.に続いて、仲介者がいる場合に活用したい方法をもう一つ紹介します。それは仲介者を通して、初対面の相手にあらかじめ自分のちょっとネガティブな情報を流しておくということです。
たとえば、「努力家なんだけど、入社2年目でまだまだ半人前のヤツでして...」「営業なのに、どうも人見知りするところがありまして...」といった具合です。
悪いイメージ持たれちゃうじゃん! ダメじゃん! とお思いのあなた、ご心配には及びません。
想像してみてください。「今度入社する人、仕事がものすごくデキて、性格も良い完璧な人らしいよ」ともっぱらウワサの中途社員が、実際に仕事をしてみたらイマイチだった...という場合。たとえその人が平均以上の仕事をこなせたとしても、きっとあなたは期待を裏切られたと感じ、彼に対してもともと抱いていた期待値からマイナスになってしまうでしょう。
逆に「今度入社する人、マジメなんだけど少し不器用で、おっちょこちょいなところがあるらしいよ」と聞いていたとしたらどうでしょう。彼が平均以上の仕事をこなしたとしたら「おっ、意外とやるなあ」というプラスの印象になるのではないでしょうか。
そう、人間は初対面の前に得た情報を頭の中でどんどん膨らませてしまうもの。初対面の相手に「仕事がデキる人だ」と紹介されてしまうと、相手の妄想の中で育った「仕事がデキる自分」に勝てず、相手をガッカリさせてしまいます。
そこを逆手にとって、仲介者には必ず、自分のことを控えめに表現してもらうのです。初対面の相手はきっと「なんだ、聞いていたよりしっかりしてるじゃないか」「人見知りというより落ち着いた雰囲気で信頼できそうだな」と、一転して好印象をもちやすくなることでしょう。いわゆる、ハードルが下がる、というやつです。
ただし、悪口になってはいけません。この処方箋は「ちょっとネガティブ」というところがポイントで、たとえば「口がくさい不潔なヤツでして」「遅刻したり締め切りを破ったりヒドイ人間です」というレベルでネガティブなことを伝えてしまうのは当然NG。好印象どころか会うことすら嫌がられかねません。そのへんのさじ加減は、くれぐれも気をつけてくださいね。

初対面の処方箋3.「実は私...」のフレーズで相手を褒める

仲介者がいない、まったくの初対面でも使えるのがこの処方箋です。
初対面のぎこちなさを崩すのに効果的なのは、相手を褒めること。自分のことを褒められて気分の悪い人はいません。しかし、ただ「御社の◯◯はイイですね!」と言っても白々しいばかり。相手を褒める場合は、「実は私...」のフレーズを使って自分の体験を通して褒めるのが鉄則です。
たとえば「御社のロールケーキ、美味しいですね」という言葉も、このフレーズを使えば「実は私...御社のロールケーキの大ファンで、初任給で5コ買いしたんです。」といった具合に、温度のある褒め言葉に生まれ変わります。
「御社の○○さん、有名ですよね」という言葉であれば「実は私...御社の◯◯さんの大ファンで、仕事術をマネさせてもらっているんです」のようになります。
もちろん、予備知識もなくいい加減なことを言うのは厳禁です。すぐに見抜かれてしまい、悪い印象を与えてしまいかねません。処方箋1.と同じように、事前準備は不可欠。準備がしっかりしていれば、どこからでも相手を褒めることができるようになります。名前、服装、所属...すべてが褒めどころに思えてくるはずです。
初対面で緊張している中、相手を褒めるのは難しい! という方は、まず相手の目を見て話を聞き、丁寧に相槌を打つことから意識してみましょう。目を見ることと相槌を打つことは、相手を尊重しきちんと向き合っているという姿勢を伝える効果をもっています。意識してみると、思った以上にできていないことに気が付くのではないでしょうか。
この処方箋のポイントは相手に対する好意が伝わる、というところ。好意に対しては好意を返したくなるのが人間のサガ。自分の方から「会う以前からあなたのこと、あなたの会社のことが大好きなんですよ」というサインを送れば、相手もあなたのことを憎めないやつだと認識してくれる訳です。

初対面の処方箋4.すべての発言に同意する。

初対面の相手と上手なコミュニケーションを取るには、自分の意見よりも先に相手の意見を尊重することが大切です。そこで少し大げさですが、相手の発言をすべて肯定してみましょう。
「このサービス、良い思わない?」と言われたとき、内心では「う~ん、イマイチ...」と思っていたとしても、それをぐっと我慢して「そうですね! 良いと思います」と相手の意見を肯定する。
嫌な相手に「キミは猿みたいな顔をしてるね」と言われても感情のままに反論せずに、「しわが深いのが悩みです。実年齢よりも老けて見られるんです」といった具合で、肯定的に受け答えするのです。
これは心理学で言う「類似性の法則」をもとにした処方箋。人間には、自分と同じ感性や考え方をした人間に好意を持ちやすいという傾向があります。「このサービス、良いと思わない?」という質問に対して同意することで、「こいつは自分と同じ考えをもっているな。気が合いそうだ」という印象を持ったり「ちょっと自信がなかったけど、こいつも良いサービスだと言っているし間違いないだろう」という安心を感じたり、いずれにしても相手はあなたに良い印象を抱くでしょう。
考えてもみてください。自分の言ったことに「そうかもしれませんね~」とあいまいに返答する人間より、「本当にその通りです、自分も前々からそう思っていました」と肯定的に頷く人間の方に好意を持ちやすいのは自然なことなのです。
特にビジネスの初対面では「コイツは自分にとって役に立つか? 一緒に働いて気分が良いか? もう一度会う価値のある人間なのか?」をわずか数分の間に見定められます。
そこで相手から一目置かれるたけには、その場が「相手の言うことを肯定し、好印象を与えたほうが良い場」なのか、「たとえ相手の言っていることを否定することになったとしても、自分が正しいと思う考えをハッキリと伝えたほうが良い場」なのかを見極め、適切な対応をとる必要がありますね。お互いのことをある程度知っている間柄ならともかく、初対面の場では断然、前者のケースが多いはずです。
自分のことを売り込みたいあまり、「でも」や「しかし」を連発して自説を延々と語るのはまったくの逆効果、マイナスイメージそのものと心得ましょう。

初対面の処方箋5.成果は「次に会う約束をすること」までと割り切る。

初対面で求めるべき成果は、次回はいつ会う(または連絡を入れる)かの約束。これだけです。処方箋1~4は二回目・三回目があってもいいなと思わせる手段であって、主目的は次回の約束であること。ここを間違えてはいけません。
初対面に慣れていない人ほど初対面に多くの成果を求めがち。しかし、どんなに会話が盛り上がったとしても、初対面一回のみの印象は時間の経過とともに薄れて消えてしまうものです。
結果を出す営業は、初対面時に自社のサービスを売り込んだりはしません。初回の成約率は限りなく低いことを経験的に知っているからです。まずは、次回の約束を取り付ける。もしくは、相手を訪問する動機をつくる。そして二回目三回目と会っていく中で、相手を理解する。自分のことを語るのは、その後です。
繰り返しになりますが、初対面で商品を売ろうとする気持ち、これは押し売りです。初対面では相手に「こいつと話すのは悪い気がしないな」などの好印象を持ってもらうこと。そして初対面の最後には、必ず次回の約束をしましょう。次回の約束さえできれば、初対面の失点はいくらでも挽回可能です。そう考えると、ちょっと気分が楽になりませんか。

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