大谷翔平選手が世界一を目指す理由「自分を磨いたらどうなるか、自分に興味」

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今夏は、東京オリンピック・パラリンピックが開幕し、ステイホームでスポーツ観戦を楽しむ日々が続いていますが、東京で勇姿を見せてくれるアスリートたちだけでなく、アメリカで世界を舞台に活躍するスター選手にも熱い視線が注がれています。

「MLBオールスターゲーム2021」に史上初の投打二刀流で出場したロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手。

その活躍ぶりや人柄に関する話題は、海を越えて日本にいる私たちにも届いており、野球に詳しくないビジネスパーソンにも力を与えてくれているのではないでしょうか。

そこで今回は、大谷翔平選手のスター選手としての表情だけでなく、一人の仕事人としての在り方や考え方にスポットをあてて、考えてみたいと思います。

1.世界一の目標、MLBでの1年を終えた際に「5年、10年とやって見えてくるもの」

大谷選手は日本ハムで活躍していた頃から『世界一の選手になりたい』という目標を掲げていました。

MLBで過ごした1年間を経て帰国した2018年11月に開いた記者会見では、「世界一」の目標について、次のように述べています。

『自分がそう思うのか、周りが評価するのかわかりませんが、1年で見えるものではなく、(世界一)そこに向かって頑張って行くことは変わらないです。5年、10年とやって見えてくるものなのではないかと思っています』。

と、中・長期的に「世界一」を目指すビジョンを語ってくれました。

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2. 小さい頃からとにかく野球が好き、MLBでも「毎日球場に行くのが楽しみ」

そこで私は、目標に向かって前進し続ける大谷選手の一番の原動力は何ですか?と質問しました。

それに対し、大谷選手は、

『野球を始めた頃から野球が一番好きで、今になっても変わらずにここまできています。小さい頃は週に2回くらい(野球の練習に通い)、次の週末になるのが楽しみでしょうがなかったですし、そういう気持ちが今まで続いているんじゃないかなと思うので、(MLBでの)この1年も毎日球場に行くのが楽しかったし、グランドでプレーするのも楽しかったので、その延長線上にあるんじゃないかな、と思っています』

と、質問者である私の方に体を向け、真っすぐな瞳と真摯な言葉で答えてくれました。

「世界一」という目標はとても偉大ですが、子供の頃に抱いた「野球が一番好きである」という初心と変わることのない、とてもシンプルな心持ちを明かしてくれました。

3.「不完全だからこそ、もっとやらねばと思う」

実は大谷選手は、MLB入りする直前の2017年11月にも、記者会見を開いています。

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その際、プロ5年目にメジャー入りを決断した理由について、次のように語っていました。

『自分はまだまだ不完全な選手だと思っていますし、もっとやらなければならないことが多い選手だと思っています。そういう状態で(MLBに)行ってみたい気持ちが大きかったです。そこが一番強いのかなと思います。

高校を卒業した時から、(MLBのような)そういう環境で自分を磨いたらどうなるのかと興味があったので。自分に対する興味だと思います。

個人的には継続してきたもの、5年間やってきたことを(MLBで)さらに伸ばしていきたいですし、野球をやっている以上は1番の選手になりたいと思うのが普通ですし、野球に関しては何を持って1番というのは難しいところですけど、それはファンの方々やいろんな人たちが「彼が1番だ」と言ってくれることが選手にとって一番幸せなことです。そういう選手を目指してやっていきたいです』

と、冷静な面持ちで明確な意志を示していました。

4.「迷うことなく進んだ」日本での実績が自信に

さらに、目標に向かう上での自信の持ち方については、

『自分が決めた道に対しては、そこに向かって頑張っていけると思います。

5年間、迷うことなく進んで来ることができたので、この5年間に自信を持っても良いのかなと思うのは事実です。教わってきたことにはすごく自信を持っています』

と、自身の5年間の実績を総括していました。

MLBに挑戦するスタート地点での大谷選手は、日本の野球界における実績に自信を持ちつつも、自身を不完全であると冷静に分析し、その不完全さを完全なものにするべく、新たにMLBに挑戦する覚悟を決め、「世界一」を目指し続ける今後の野球人生をしっかりと見極めていたのです。

5.「世界一」という目標に向けて進むなかで、学び得るステージが上昇続ける

そうした覚悟のもとにMLBで過ごした1年間を通して得たものについて大谷選手は、

『上に行けば行くほど、人間としてすばらしい選手が多いなと感じます。日本もアメリカも関係なく雰囲気や接し方など見習うべきところが多いのではないかなと感じました。

大リーグとプロ野球にどのくらい差があるかということは行ってみないとわからないことも多かったです。文化も含めて違うし、レベルも技術も、スピードも、総合的に高いなと感じました』

と語っており、「世界一」という目標に向けて進むなかで、自身が活躍し、学び得るステージがどんどん上がっていることを実感している様子でした。

その後も、山あり谷あり...。MLBでの野球人生を邁進し続けている大谷選手。

着実に実績を積み上げるなかで、自身のステージをどんどん上昇させています。

6.大谷選手のひたむきな努力はビジネスパーソンにも刺激

自分自身が不完全であることを冷静に分析し、前向きなチャレンジ精神と共に今後の仕事人生をみつめていく姿勢が重要であることを、20代半ばの大谷選手は、すでに悟っているように感じます。

27歳と言えば、一般のビジネスパーソンで言えば、ちょうど第二新卒の年代です。

今後もこの27歳の若者の真っすぐな瞳と実直な言葉と、偉大な目標に向かってステージを上げていく勇姿から、ビジネスパーソンにも通じる心持ちと姿勢を学ぶことができるのではないでしょうか。

原稿:鈴木ともみ

経済キャスター、国士館大学政経学部兼任講師、早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員、Jazz EMPアンバサダー、総合芸術舞台『一粒萬倍 A SEED』アンバサダー、日本記者クラブ会員記者、FP、パーソナルカラリスト。
埼玉大学大学院人文社会科学研究科経済経営専攻博士前期課程を修了し、経済学修士を取得。地上波初の株式市況中継TV番組「東京マーケットワイド」、国際金融・経済情報番組「World Marketz」、「Tokyo Financial Street」(STOCKVOICE TV)にてキャスターを務める他、TOKYO-FM、ラジオNIKKEI等、ラジオ番組にも出演。
国内外の政治家、企業経営者、ハリウッドスター等へのインタビュー多数。
主な著書『資産寿命を延ばす逆算力』(シャスタインターナショナル刊)、『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。

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