「住宅購入」は人生で最も高い買い物のひとつ。若い世代でこの大きな決断をするのはまだ少数派ではありますが、総務省の家計調査(2人以上・勤労世帯)によると29歳以下の持ち家率は02年の18%から19年は33%に伸びており、若い層で家を買う人は増えているとか。近い将来直面するかもしれない住宅購入について、基礎知識を学んでおきましょう。
1.高額な買い物だけに支払いはローンを利用
住宅購入は高額な買い物なので、ほとんどの人が頭金を払い、残りの金額は住宅ローンを組んで、年数をかけて返済をしていきます。その返済期間は最長35年です。
頭金は住宅ローンを組んで家を購入する際に、代金の一部を支払う現金のこと。最近では頭金ゼロという物件もありますが、金額の目安は「物件価格の2割以上」が安心といわれています。
返済額に関しては、一般的に年間の金額が年収の25%以内が安心できるラインと言われています。例えば年収300万円の人なら、年間の返済額は75万円で月々の返済額は6万2500円となります。
住宅ローンを組む際に重要なカギとなるのは金利。その種類には6カ月ごとに見直しが行われる「変動金利型」、一定期間の金利を固定する「固定金利選択型」返済期間の全期間金利を固定する「全期間固定金利型」があります。近年マイナス金利政策がとられている影響を受け、住宅ローンの金利も歴史上最低水準の超低金利が続いています。
高額な買い物なだけに、金利が少しでも変化すると返済額も大きく変わってきます。住宅ローンを利用するには、銀行ローンや最近CMでも耳にする住宅金融支援機構の「フラット35」などから選ぶことになりますが、金利のタイプなどそれぞれ違うので、自分にあったローンを選ぶことが大切です。
例えば自分がローンを組んで家を買うとしたら、毎月どれくらいの返済額になるのか、シミュレーションができるサイトがあるので、気になる人はチェックしてみましょう。
シミュレーションができるサイトはこちら。
2.住宅購入にかかるお金は住宅価格だけではない!
家を購入する際には物件価格の他に様々なお金がかかります。まず購入する際にかかる「諸費用」。これは登記費用やローン保証料、また売り主と買い主の間に仲介業者が入る場合にかかる仲介手数料などで、住宅の種類によりますが、物件の3~6%で、通常は現金で支払います。
買った後のお金にも注意です。まずは固定資産税などの税金、これは家・土地を持っている限り毎年必ず払うものです。その他火災保険や地震保険などの住まいの保険、マンションであれば管理費や修繕積立金などです。一戸建ての場合は自分でメンテナンス工事を行うことになるので、その分のお金を考えておくことが必要です。
また新しい住まいになると、新たな家具や家財道具も入れたくなります。
手元のお金を頭金にすべてつぎこんでしまうのではなく、物件価格以外のお金についてもゆとりを持った金額を残しておくことが大切です。
3.住宅ローン減税について知っておく
住宅購入の際に少しでも得をしたいのなら、住宅ローン控除の活用は必須です。住宅ローン控除とは、銀行などで住宅ローンを組んでマイホームを取得した人に、毎年、年末の住宅ローン残高の1%を上限に、一定の割合を乗じた分の所得を軽減しよう、という制度です。当初この制度が受けられるのは最長10年間でしたが、2019年。消費税増税対策として、2020年末までに入居した人はプラス3年間延長する特例措置がとられています。今年は新型コロナウイルスの影響で入居が遅れた場合に限り、2021年末までの入居者も対象になり、令和3年度の税制改正で、今後対象となる入居時期がさらに延長され、2022年末まで広がる見込みです。
また年収によって最高50万円まで給付されるすまい給付金があります。住宅ローン控除と合わせて利用できますが、実施予定は2021年末までとなっています。
4.若いうちに家を購入するメリットとは?
若い時に家を購入する大きなメリットはローンの審査に通りやすいということ。例えば退職年齢を65歳とした場合、最長の35年ローンを組むとしたら、逆算して30歳の時点で購入するのが良いタイミングといえます。繰り上げ返済などをすることを想定しても、ローンを組んで35歳までに家を買うというのが理想的ともいわれています。退職をするタイミングでローンを終え、退職金は老後資金に回せる退職後のライフプランにも余裕が出てきます。
また金利が変わったときなど、今借りているところよりも金利が低い金融機関に借り換えをする可能性も出てきますが、50代になると借り換えの審査は厳しくなり、借り換えをするなら40代までが望ましいといわれています。借り換えなどの臨機応変に対応するためには、30代までに家を購入した方がベターと言えます。
5.まとめ
コロナ禍で家にいる時間も長くなったが故、居心地の良い住まいを求める人も多いことでしょう。住まいを充実させるなら購入という選択肢も考えられます。
分譲住宅の広告には「家賃並みの返済額で買える」などのコピーを目にすることも多々ありますが、物件価格だけで決断してしまうのは危険です。物件価格以外の費用がかかること、また大きな買い物なだけに、長年ローンを払い続けること、なども考慮し資金計画をきちんと考えておくことが大切です。